伊那田島駅は1日平均の乗車人員が27人で、これは飯田線でもかなり少ない方の部類に入ります。それくらいの人数なら、きっと喧騒もないような居心地の良い駅なんだろうと思って、今回は伊那田島駅での途中下車を旅程中に含めました。
1面1線の駅のホーム上には、コンクリート造りの待合室があります[②]。ポイ捨てのゴミやクモの巣はまだいいとして、見たこともないような得体の知れない虫(白色をした、セミのような虫とか)や、やたら大きい蛾、虫の死骸がたくさんあるのはちょっと耐えられないです。実際居ていられる場所ではなかったので、この後、後続の列車に乗るときも、ホーム上で待ちました。
この駅は農村の中にあるといったところで、駅の近くにはビニールハウスや畑が広がっていました[⑤]。その向こうには青々とした山が聳え立ち、その上には青空。そして自分以外に人なんていないわけですから、ここはたしかに居心地が良い駅です。
駅の近くにあるものを見て回ったりしていると、上りの天竜峡行きがやってきました[⑥]。先ほど乗車した下り岡谷行きは、行き先表示機が幕でしたが、この天竜峡行きは同じ313系でもフルカラーLEDが行き先表示機でした。313系は1999年から走っている車両ですが、未だに製造が続いています。同じ313系でも行き先表示機の仕様に違いがあるのは、この長い製造期間のたまものでしょう。
ちょっと場所を移動して、今度は飯田線の線路(具体的には架線柱と架線)を含めて、山々と青空を撮影[⑦]。いかにもローカル線が走るところらしい景色だと思います。ここに何でも良いので、何かしら列車が入っていたら、カレンダーで採用されそうな写真になりそうな、ならなさそうな。
伊那田島駅には屋根つきの駐輪場があります。そこに、「本会からのお願い」なる注意書きが掲示されていますが、制作日時は「昭和五十一年二月(1976年2月)」。そのときに作ってから、一度も作り直したりはしていないようですが、制作から既に36年が経過しています。伊那田島駅を守る会の会長の名前や、幹事の名前も記されていますが、もはやその方々がご存命なのかどうかさえも分からないところです。
踏切があることを示す道路標識は、1986年からは電車の絵が描かれたものが採用され、従来のもの(蒸気機関車の絵)も順次取り換えられていますが、それまでの蒸気機関車の絵の道路標識もまだ残存しています。伊那田島駅の近くにも、ありました[⑨]。当然ですが、飯田線は電化されていて、走る列車は全て電車です。列車とは「汽車」だった時代をしのばせます。
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