毎年、8月には泊りがけの旅行をするのが恒例となっていて、2012年は、2007年に1回目のそういう旅行をしてから、6回目の夏旅行でした。
鉄道旅行を繰り返していくと、当然ながら、だんだんと未乗車の路線は減っていってしまいます。しかも、当たり前と言えばそうかもしれませんが、
本数が多い、特急が走っているなど、全線乗車の難易度が低い路線をついつい先に乗ってしまうので、未乗の路線は、本数が少なく特急もない
路線、例えば中国地方のローカル線や東北地方のローカル線など、難易度の高い路線が多くなりました(少なくとも本州においては)。

しかし、本州を脱出して九州や北海道を旅行するには、かなりの費用と期日が必要です。お金はそんなにあるわけではなく、それに暇でもない。
「本州の中で、比較的全線乗車の難易度が低く、かつ未乗車の路線はないのか?」と、自分の過去の乗車記録を思い出しながら探したところ、
そういう路線がありました。それは飯田線、大糸線、そして高山本線。

「なら、今年の夏はそれら3路線を乗り潰してこようではないか」と考え、今回の旅行の乗車路線は決定されました。
路線選びの動機としては、不純っちゃ不純ですね。日本最長路線を乗りつくすとか、雪国へ行くとか、そういう明快な理由ではないし。



●8月19日●

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※各画像はクリックすると拡大します。


東海道新幹線633A こだま633号(700系)
東京(6:56)〜熱海(7:45)

新大阪行きこだま号①

なぜか普通車は満席②

700系は入線済み③

B編成での運転④

田町車両センターの様子⑤

通過待ちは宿命⑥

熱海に到着⑦

駅名標⑧

CMもやっていたっけか⑨

 飯田線、大糸線、高山本線のうち、まず一番最初に乗車するのは飯田線。飯田線といえば、豊橋〜辰野間を結ぶ路線。まずは起点の豊橋駅へ向かうために、東海道新幹線に乗るべく、東京駅へとやってきました。

 これから乗車するのは6:56発の新大阪行きこだま633号です[①]。このこだま633号と、その30分後に出るこだま635号は、のぞみ号とひかり号に空席があるという状況にも関わらず、どういうわけか、終点まで満席となっていました[②]。こだま号は各駅停車という性質上、短距離の利用が主であるため、指定席の利用はそんなにはない(指定席の両数の少なさがそれを物語る)と思っていたんですが・・・。

 15番線ホームへと上がると、既に列車は入線していました[③]。300系が引退してしまったために、車両も700系かN700系の2種類しかありません。こだま633号は700系による運転です。

 行き先表示機へ目をやると、そこにあったのはLEDの行先表示機[④]。16両編成の700系で、LEDの行き先表示機というのは、JR西日本所属のB編成である証です。こだま633号が新大阪行きであるということが示すように、今回こだま633号に充当された700系B編成は、JR西日本所属の編成でありながら、東海道新幹線内しか走りません(こだま633号の後どういう運用になるのは分からないけど)。こういう運用もあるようです。

 列車は6:56の定刻に東京駅を発車しました。まずはこれで熱海へ。東京駅発車時点では満席ではなかったものの(新横浜や品川からも割かし乗ってきますからね)、混み合っていました。こだま633号は東京6:56発で、高松・出雲市からのサンライズ瀬戸・出雲号は東京7:08着。ひょっとしたら車窓からその姿を見られないだろうかと思って、しばらく車窓を注視していましたが[⑤]、結局姿は確認できず。

 品川、新横浜で新たな乗客を迎え入れて7:31に到着するのは小田原駅。ここでは5分停車して、後続の列車を先に行かせます。この通過待ち[⑥]というのは、まさにこだま号の宿命というところでしょう。何の予告もなく、いきなり自分のすぐ右を超高速で列車が突っ走っていく・・・。その通過の瞬間には、ビュンという音が一瞬聞こえるとともに、こっちの列車も揺れるんですが、この抜かれる瞬間が結構怖い。
 しかも、こだま号は乗る機会がほとんどないので、私自身通過待ちには慣れておらず、その怖さも倍増です(よく乗る人は耐性あるのかな)。

 下車駅の熱海には、東京から49分の7:45に到着[⑦]。熱海で降りる人も結構いるんですね。熱海駅は相対式2面2線なので、追い越しは絶対にできません。こだま号であっても通過待ちは100%起こらないと言い切れる、数少ない駅の1つです。

 次の列車まで少し時間があるので、駅構内へ降りてみましたが、柱に「新幹線でEco出張」のポスターがありました[⑨]。ちょうどこれを宣伝し始めたころは、関東地区でもCMを流していたので、「新幹線でEco出張」という言葉を聞く機会もそれなりにあったんですが、CMの放送が終了してからは、全くと言ってよいほど聞かなくなりました。今回、久々に「新幹線でEco出張」という言葉に出会いました。







東海道新幹線635A こだま635号(700系)
熱海(8:12)〜熱海(9:40)

こだま635号に乗車①

700系、でもC編成②

グリーン車に乗車③

まあ座席は大きい④

こだまだからね⑤

今日は良い晴れ⑥

フットレスト⑦

間もなく豊橋⑧

定刻で豊橋に到着⑨

 熱海でこだま633号を下車しましたが、今回は、それで在来線に乗り換える・・・、といった動きはしません。引き続き新幹線で西進し、豊橋を目指します。複数の列車を乗り継いでも、新幹線の改札口を出なければ、新幹線特急料金は通算できることはよく知られていますね(ラッチ内乗り継ぎ)。

 次に乗車するのは、名古屋行きのこだま635号[①]。633号で7:45に到着し、635号で8:12に出るので、待ち時間は都合27分というところ。まあ、これくらいの時間なら、ずっと改札内に居ろと言われても我慢できます。1時間くらいになると、うーん、というところですが・・・。

 こだま635号は700系[②]。ただし、今度はJR東海のC編成でした。先頭部側面に「JR700」のロゴが入っているかどうかを見るのが、C編成とB編成を見分けるもっとも容易な方法でしょう。C編成は入っていません。

 この列車に豊橋まで乗車しますが、グリーン車に乗車します[③]。東京→豊橋の全区間をグリーン車に乗車すると、営業キロ293.6キロで、4000円のグリーン料金を徴収されますが、これを熱海→豊橋にすると、営業キロ189.0キロで徴収されるグリーン料金は2670円となります。「グリーン車には乗りたいが、お金はあまりかけられない」ということで、わざわざ熱海でこだま633号(普通車)→こだま635号(グリーン車)という乗り継ぎをしたんです。

 こだま633号の車内で普通車→グリーン車という移動(同一列車内での設備変更)をするのでも良かったのかもしれませんが、外の空気を吸って気分転換でもしておこうということで、熱海で「下車」し、列車の乗り換えとしました。ちなみに、同一列車内での設備変更は、以前に1度やっています。

 座席はグリーン車らしく、たしかに大きいです[④]。快適な移動ができることは間違いないでしょう。が、のぞみ号・ひかり号のグリーン車と違い、おしぼり配布のサービスがこだま号では行われないので、「ただデカい座席に座るだけ」というところかもしれません。

 こだま635号も、こだま633号と同様に、普通車は終点まで満席と東京駅では案内されていましたが、グリーン車はガラガラ[⑤]。人が極端に少ないという環境・居心地の良さがあるという点については、のぞみ号・ひかり号でグリーン車に乗る場合よりも優れていると言えるの・・・か?

 今日はこの後、→豊橋→飯田→辰野→岡谷と移動していきますが、いずれの地域も今日は晴れ。窓からもさわやかな晴れ模様が見えます[⑥]。今回に限らず、私は旅行をするときは、天気に恵まれる傾向にあります。このときは例外でしたが。

 号数が変われども、こだま号の宿命である通過待ちは避けられないもので、熱海の次の三島で2本、その次の新富士で2本、その次の静岡で1本・・・などなど。こだま号に東京(品川・新横浜)〜新大阪(京都)まで乗ったら、いったい何本の列車に抜かれるんでしょう。通過待ちを快感とするマゾヒズムの人にはおすすめかもしれません。

 通過待ちと居眠りを繰り返しながらも列車は順調に西進し、もう間もなく豊橋というところまでやってきました[⑧]。そして9:40に、こだま635号は定刻で豊橋に到着しました[⑨]。人口37万人の豊橋市の中心駅と言うこともあってか、降りる人が多かったのは覚えています。なお、こだま635号は豊橋でも通過待ちをしたようです(笑)








◆豊  橋  駅◆


自由通路①

ご当地キャラってやつ②

路面電車が残存③

駅舎④

反転フラップ式とは⑤

いよいよ飯田線⑥

謎の行き先表示機⑦

373系3両編成⑧

飯田行き⑨

超幅広⑩

 豊橋駅です。新幹線改札口を出るとすぐそこに、左右に延びる自由通路があります[①]。そしてその自由通路のど真ん中に居座るのは、「トヨッキー」を名乗るご当地キャラ[②]。手に持っているのは手筒花火とのこと。身長140cm、体重はないしょだそうで。

 駅舎を出ると、そこは大きな跨線橋と言っていいようなところ(ちょっと言葉ではうまく伝えられない)なんですが、そこから下を通る道路を見ると、まず目に付くのは線路と架線柱。そうです、豊橋には路面電車が走っているんです[③]。高規格な専用線路を超高速で走る新幹線から、急曲線あり道路と一緒にのんびり走る路面電車、という対極的な走りをする列車への乗り換えも可能です。

 様々な系統の路線バスが発着する豊橋駅ということで、次のバスの時刻と行き先を案内するコーナーがありましたが、そこで使われていたのは反転フラップ式の案内器[⑤]。見る人が見れば懐かしい、と思うのでしょう。ちなみに米原駅は、つい最近まで東海道新幹線最後の反転フラップ式発車標を持つ駅でしたが、LEDの発車標に取り替えられたそうです。

 さて、飯田線の起点の豊橋駅にやってきたということで、次からは飯田線に乗車します。これから乗るのは、10:08発の特急伊那路1号[⑥]。新幹線からの乗り換えなので、特急券には乗継割引が適用され、特急券は半額になっています。

 伊那路号が発車する4番線から、名鉄線が使用する3番線に停車する列車が見られたんですが、そこに停車していたパノラマスーパーの行き先表示機がなんだかおかしい[⑦]。LEDと言うにはあまりにも高精細できれいすぎるし(あと暗い)、一方、何となく文字がギザギザしていて、幕と言うには文字の滑らかさが足りない。どういうことなのか。
 実はこの行き先表示機は、液晶であるそうです。液晶画面を行き先表示機に採用しているという車両は数少ないでしょう(少なくともJRでは皆無)。

 4番線には既に伊那路号が停車していました[⑧]。3両編成の373系。かつては日本最短の電車特急だったこともありましたが、現在は、JR四国のいしづち号が2両編成(8000系)で運転されることもあるので、日本最短ではなくなりました。なお、それでも伊那路号は、「日本最○○」という記録を持っています。それは何か? 日本で最も平均速度(表定速度)が遅い電車特急、です。約51km/h。

 では伊那路号に乗り込みますが、目につくのは、373系の乗降扉の幅の広さ[⑩]。特急型車両だというのに両開きで、開口幅は1300mm。近郊型車両の113系のそれと全く同じです。583系は700mmなので、約2倍・・・。



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