◆8月18日◆
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 おはようございます。今日は8月18日・日曜日です。今回の九州旅行も、今日が実質の最終日です(あれこれと列車に乗った後、最後は例によってサンライズ瀬戸号で東京へ帰ります)。起床した後、とりあえず部屋の窓のカーテンを開けて、熊本駅の様子を見てみましたが、そのときにはステンレス製の415系1500番代の姿がありました[①]。九州の415系1500番代は、常磐線のものと違い、帯色が水色となっています(常磐線は青色)。

 「熊本駅は中心市街地から外れたところに位置している」ということを何度かご案内しましたが、熊本駅の問題はそれだけではありません。駅の正面入り口にあたる白川口の方では、すぐ近くを白川が通っていて、裏側にあたる新幹線口の方には、今度は花岡山があります[②]。これらの川と山に挟まれた場所に位置する熊本駅は、駅周辺の土地に余裕がなく、大規模な開発工事などを行いにくいんですね。

 鹿児島中央駅の駅前には、路面電車の停留所がありましたが、それは熊本駅でも同じです。白川口からほど近いところに、熊本市電の「熊本駅前駅」があります[④]。市電の乗り場は、写真のように大きな屋根の下に設けられていますが、この屋根は熊本駅の駅舎から途切れることなく連続して続いているので、市電の乗り場とJRの熊本駅の間を雨に濡れることなく相互に行き来できます。

 今日はまず、宇土〜三角間を結ぶ三角線に乗車します。乗車するのは7:24発の普通列車の三角行き[⑥]。三角線には「あまくさみすみ線」という路線愛称があり、その名前は発車標でも使用されていますが、シールの下に隠れてしまった「三角線」の文字がうっすらと見えます。

 3番線にやってきました。列車は2両編成でしたが、これはキハ31形とキハ40形の混結でした[⑧]。昨日、キハ40系には散々乗ったので、もちろん私はキハ31形の方に乗ります。キハ31形への乗車の経験はないので、今回が初乗車です。






















 キハ31形の座席は転換クロスシート[①]。どうも0系の廃車発生品っぽいよなと思っていたら、実際にもその通りだったようで、キハ31形で使用されている転換クロスシートは、0系の廃車発生品を使用しているそうです。キハ31形は、速度や走る路線のことを度外視すれば、あの0系の転換クロスシートによる旅を楽しめるという、ある意味では奇跡的存在とも言える車両です。

 7:24に列車は熊本を発車します。三角線の終点駅である三角へと行く列車ですが、宇土までは鹿児島本線を走ります。その鹿児島本線の線路は、宇土駅を過ぎるあたりまで九州新幹線の高架橋にほぼ並行していて、僅かな時間でしたが、N700系のさくら401号との並走も発生しました[②]

 最初の停車駅は川尻。この駅で、三角からやってきた熊本行きの普通列車と遭遇しました[③]。三角線は宇土〜三角間を結ぶ路線ですが、全ての列車が熊本まで乗り入れているため、熊本〜宇土間では、鹿児島本線の列車だけでなく、三角線に直通する列車も利用できます。そのため、結果として同区間では、利用できる列車の本数が多くなっています。

 川尻の次は富合[④]。普通の名前の駅ですが、2011年3月の九州新幹線開業のダイヤ改正に合わせて新設された、新しい駅です。駅名標の中央下の絵を入れる部分(JR九州様式の駅名標では、この場所に何か絵を入れるのが基本)には、800系とN700系が描かれていますが、なぜ新幹線の車両の絵なのか?駅の開業日が九州新幹線全線開業の日だからでしょうか?

 いえ、もっと納得のいく理由がありました。富合駅の近くに、九州新幹線の熊本総合車両所があるんですね。列車の車内からも、電留線に停車するN700系の姿などを見ることができました[⑤]。富合駅の駅名標に描かれていた絵は、ちょうどこの電留線で見える新幹線車両たちの並びを描いたものだったのかもしれません。

 宇土を出ると、いよいよ鹿児島本線と分かれて、三角線内を進んでいきます[⑥]。三角線内に入って最初の駅である緑川から隣の住吉までの約3.2qは、線路はほぼずっと直線を維持したまま敷設されています。曲線らしい曲線もなく、ずっと真っ直ぐと延びる直線を快走する場面というのは、インターネット上のほかのサイトでは全くと言って良いほど触れられていないようですが、三角線の見どころの1つではないかと思います。

 住吉〜肥後長浜間では、島原湾の海岸線に沿って走る区間があります[⑦]。が、そんな区間があるとはつゆも知らなかった私(車窓の見どころとか、そういうのはあまり下調べしない)は、山側の座席を選んでしまっていました。
 盲腸線は行きと帰りで全く同じ区間を通らなければならないため、私はあまり好きではありませんが、”行きの列車で失敗したことを帰りの列車で取り返せる”という点ではありがたいですね。ええ、三角からの戻りの列車では海側の座席に座りますよ。

 一方、山側では、典型的な農村の風景が展開される区間があります[⑧]。肥薩線のスイッチバックのようなものもなければ、車窓の見どころも海ぐらいで、急行も特急もないし、単線で非電化だし、路線距離も25.6qしかなく、ちょっと地味な感じがする・・・というのが、私の三角線のこれまでの印象でした。もっとも、現在は特急列車として、A列車で行こう号が走っています。これで少しは地味さが薄くなったでしょうか。

 8:17、終点の三角駅に到着しました[⑩]。これで三角線の全線乗車は完了です。三角駅は1つの路線の終点駅でありながら、単式1面1線という構造であり、構造だけ見れば、まるで列車交換ができない途中駅であるかのようです。































 駅舎の中は木材が多用され、照明は球形のものを吊り下げ、また改札口で暖簾が使われていますが、これは観光特急であるA列車で行こう号の運転開始に合わせて、三角駅をリニューアルした結果によるものです[③]。もっとも、A列車で行こう号が三角線内で停車するのは、この終点の三角のみであるため、こうした駅のリニューアルは、三角線のほかの駅では行われていませんが・・・。

 駅前の様子[④]。駅のすぐ近くに三角港があるため、駅舎を出てすぐのところから、もう向こうの方に広がる海が見られます。三角線が建設されたのも、そもそもは三角港へ接続する路線を造ることが目的でした。

 駅舎は、てっぺんに十字架のついた、キリスト教の教会風のもの[⑤]。なぜキリスト教の教会風なのかと言えば、やはり、このあたりがかつてキリスト教の布教が広まった地域で、また、三角駅がある宇城市に隣接する上天草市が、あの益田四郎の生まれふるさと(もちろん、当時は上天草市なんて言いませんでしたが)であったからでしょうか。

 すぐそこに港があるので、港の方まで行きました。ここから見える島々は、天草諸島の島々でしょうか[⑥]
 それにしても、今日も良い天気ですね。私の旅は比較的天気に恵まれる場合が多く、冬の北東北など、まともな天候で済むはずがなかろうということが最初から分かっているような例外を除いては、雨に遭ったことはほとんどありません。

 海や港でよく見かけるフナムシ[⑦]。このフナムシというものは目がよく見えるのか、あるいは感覚がとても優れているのか、人間が近づくと、それをすぐに察知して、1匹の例外もなく逃げていってしまいます[⑧]。で、逃げられたということでその場から去ると、人間がいなくなったということが分かるかのように、元の場所にまた戻ってきます。

 今日は日曜日です。埠頭では、釣りをする人が散見されました[⑨]。どうでもいい話ですが、私が好きな魚は鯛です。

 もう1つ、どうでもいい話を。このような看板を見つけましたが、「近づかない」ではなく「近ずかない」となっていました[⑩]。この程度の間違いをするのも、それを見逃すのもどうかと思いますが、直していないというのはいかがなものですかね。そりゃもちろん、この看板が言いたいことはわかりますが、たった1文字を修正することくらい、そんなに大変なことでもないわけですから、修正するべきではないかと思うんですが・・・。

 熊本県のご当地キャラクター、くまモン。三角駅の近くにある喫茶店の販促用のポスターに登場していました[⑫]。熊本県内においてくまモンがご当地キャラクターとして活躍することは至極まっとうですが、最近、このくまモン、どうやら全国展開しているようで。全国各地の「ご当地くまモン」のストラップが制作されたり、”埼玉”西武ライオンズがくまモンとのコラボグッズを制作したり・・・。
 こういう具合に、何か物が全国へ向けて広まっていくのは良いことだと思いますが、くまモンは”ご当地キャラクター”ですからねえ・・・。

 そろそろ、次の列車の発車時刻です。これから乗車するのは、9:07発の熊本行きの普通列車です[⑮]。三角線の定期列車は普通列車のみで、それ以外の列車としては、臨時列車の特急A列車で行こう号があるのみです。

 ホームに、A列車で行こう号のタペストリーがありました[⑯]。三角線に乗車するにあたっては、行きも帰りも普通列車では面白くないので、どちらか一方はA列車で行こう号に乗車しようと思っていました。ただ、下り初便の1号は熊本10:36発で、上り初便の2号は三角11:21発。どちらに乗るにしても時刻が遅く、A列車に行こう号に乗っていては、その後の旅程がうまく繋がらないということが判明したため、今回は乗車をあきらめました。

 そんな中、せめてこの9:07発の熊本行きが快速列車でもあってくれれば、行きと帰りの列車が異なっていて、まだ旅にも面白みが出るんですが・・・、残念ながら、この列車は普通列車です。車両は行きと同じキハ31形+キハ40形の2両編成[⑰]

 行きはキハ31形に乗車しました。そこで、帰りはキハ40形に乗車しようかと思いましたが、「いや、でもやっぱりこっちは昨日散々乗ったから」と、帰りもキハ31形に乗ることにしました。


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