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 九州鉄道記念館にやってきました。門司港から乗車する帰りの列車のこともあるので、あまり長くは見学できませんが・・・。

 入館料は大人1人300円と安価。「門司港からの帰りの切符をお持ちの方は2割引」とのことだったので、門司港からの帰りの乗車券を提示した私は、それよりもさらに安い、240円で入館することができました。展示内容の違いもあるので、比較して高い安いを論じることはできませんが、参考までに申し上げますと、鉄道博物館は大人は1人1000円、小中高生は500円です。

 まずは屋外に展示されている車両を見て回ります。国鉄色で塗装されたボンネット型の485系を見ると、何だかほっとするような感じがしますね。真っ赤にされたり、白を基調とした塗装にされたりと、485系にも様々な塗装の種類がありましたが、やっぱり赤色とクリーム色を組み合わせた国鉄色こそが一番だと思います。

 その隣には青色とクリーム色の塗装をした車両があり、「おお、これは581系だ」と言いたいところなんですが・・・。ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、実は九州鉄道記念館にある581系(もどき)は、”引退した581系の保存車そのもの”ではなく、”近郊型化の改造をされて715系になったものに、581系の国鉄色の塗装を施したもの”なんですね。

 そのため、見た目こそ国鉄色に塗られて581系のようになっていても(2ドアになっているなど、本当は見た目ですら581系ではないんですが)、車内は普通列車として走っていた715系時代のまま。デッキもなく、吊り革が下げられ、ロングシートが置かれているなど、残念ながら581系のそれであるとはとても言えません。記念館側は、これは581系であると主張しているようですが、3段寝台が展開する(ボックスシートが展開する)581系を期待して車内に入ると、がっかりするかもしれません。

 屋外の車両展示場の一番奥には、14系の緩急車がありますが、これは2013年8月9日から展示を開始したばかりのもの。外観・車内ともに、富士・はやぶさ号で走っていた末期のころの状態がほぼそのまま残されていて、洗面所やはしご、壁に埋め込まれた座席なども全て健在です。九州行きの寝台特急、1度は乗ってみたかったんですけどね・・・。

 展示されている車両を一通り見終わったら、本館の方へ行きました。本館には鉄道に関連するものを販売する売店があるんですが・・・、ここで奇妙なものを発見しました。

 ヘッドマークや特急シンボルマークをシールにした、という商品があったんですが、そこで見つけたのがこれ。「新幹線こだま」とありますが、どう見ても151系のヘッドマークです。というか、新幹線車両はそもそも列車名のヘッドマークを掲げて走りません・・・。しかも、運転区間は「SHIN OSAKA⇔HAKATA」とありますが、在来線の151系こだま号の運転区間は、東京⇔大阪・神戸でした。何なんでしょう、この商品。

 本館の2階には「門司港駅展望コーナー」があり、そこには、885系の普通車の座席と、883系の普通車の座席が置かれています。実際に列車に乗らなくても、その座席の座り心地を体験することができます。ちなみに、883系は全車両が更新工事を受け、普通車の座席も表地が交換されるなどしました。このコーナーにある座席は更新工事を受ける前の登場時のもので、登場時の883系のオリジナルの座席が今でも残っているのは、おそらく九州鉄道記念館が唯一でしょう。





















 門司港駅に戻ってきました。旅程の都合上、残念ながら、九州鉄道記念館にはあまりいられませんでしたが、もう少し時間があれば、もっとじっくりと各展示物を見たかったですね。

 自動改札機に茶色の塗装が施されていましたが・・・、これもレトロな雰囲気を出すための一環なのでしょうか?[①]そういうことまでするのなら、もういっそのこと、「自動改札機ではなくて有人改札にしてしまえば・・・」と言いたくなりますが、さすがにそうするわけにはいかないんでしょうね。利用者の少ない駅ならそうできたかもしれませんが、門司港駅は1日あたりの乗車人員が5000人以上あるという、そこそこの利用者がある駅です。

 これから乗るのは10:55発の鳥栖行きの普通列車[②]。これに乗って小倉に戻ります。そして小倉からは、今回の旅の主役とも言える、485系のにちりん号に乗車します。

 1番線へ向かうと、隣の2番線には、鋼製の415系が停車していました[③]。JR東日本(常磐線)からは姿を消した415系の鋼製車ですが、JR九州では今も現役として走っています。JR東日本の鋼製の415系には、車体側面上部の色帯はありませんでしたが、その色合いはJR九州のものとほぼ同じ。見ていると、どことなく懐かしさを感じます。

 さて、門司港に来るときは813系でしたが、これから乗る鳥栖行きは811系です[④]。JR九州初の普通列車向けの新形式車両で、見た目も車内もいたって普通。木や革の多様に走り出す前の、健全な?ころのJR九州の代物です。車内の座席は転換クロスシート[⑤]ですが、これはJR東日本圏内では一切目にすることがないものなので、”旅行中で遠出しているからこそ味わえる”ものの1つです。

 10:55に列車は鳥栖に向けて門司港を発車。進行方向右側に海が見える区間もあります[⑥]。「遠出しているからこそのものといえば・・・、普通列車の車両の蛍光灯にカバーがついている[⑦]なんていうのも、JR東日本圏内では見られないな」なんてことを思っているうちに、列車は、もう小倉駅周辺の市街地が見えるところまで進んでいました[⑧]

 列車は11:09、時刻通りに小倉に到着しました[⑨]。小倉の発車は11:23で、ここで14分間小休止します。その間に、博多方面へ向けては、11分に荒尾行きの快速列車、21分に博多行きの特急きらめき号が発車します。博多方面へ急ぐ人はこれらの列車を利用するようにという案内が、小倉到着前の車内放送でされていました。




















 小倉駅の在来線ホームの上には橋上駅舎があり、その下にあたるところは、太陽の光が入らず陰になるので、比較的涼しいです[①]。この後は485系で運転される特急にちりん83号に乗車しますが、11:21発の特急きらめき号があるので、ホームの移動はそれを撮ってからすることにしました。

 6番線に787系のきらめき号が入線してきました[②]。その6番線は11:11発の荒尾行きの快速列車が使用していたため、入線は、発車の約5分前くらいでした。小倉が始発駅ですが、入線から発車までの時間は短く、なかなかあわただしいようです。

 11:21発の特急きらめき9号は小倉始発の博多行きの列車[③]。途中戸畑、黒崎、折尾、赤間に停車し、所要時間50分で博多に到着します。小倉〜博多間の営業キロは67.2qで、その距離から計算すると、本来ならば同区間の自由席特急料金は800円なのですが、好敵手となる高速バスや新幹線に対抗するために、小倉〜博多間の自由席特急料金は格安の500円に設定されています。

 きらめき9号の発車を見送って、にちりん83号が発車する1番線にやってきました。階段を下りてホームに向かっているちょうどそのときに、485系(大分発小倉行きの臨時特急にちりん82号)が入線してきましたが、いやぁ、結構な数の人が降りてきましたね。485系による臨時のにちりん号といっても、趣味者相手のお楽しみ列車としてではなく、繁忙期に合わせて輸送力増強を目的として設定されているわけですから、その目的を十分に果たしているなと感じましたね[④]

 小倉駅の1番線に佇む485系[⑥]。奇抜な赤一色でも、首をかしげたくなる緑一色でも、目がちかちかするような赤、青、緑、黄を組み合わせた色でもありません。485系が最も輝き、美しく見える国鉄色です。国鉄色の485系はJR東日本にもありますが、JR九州の国鉄色の485系には、JR東日本車には取り付けられていない、JNRマークが先頭部側面にきちんと取り付けられています(ここがポイント!)。

 にちりん83号は11:42の発車です[⑦]。そろそろ乗り込もうということで、指定券で指定された3号車に乗り込んでみると・・・・、この見事なまでのガラガラっぷり[⑧]。お盆休みも後半に入り、Uターンラッシュが始まろうとしているという頃に大分方面へ向けて走る臨時列車であるということや、にちりん83号の発車の3分前の、11:39発の大分行きの885系ソニック号があることが原因でしょうか。大分方面へ向かう人がいるにしても、普通の人は、車両が新しくてスピードも速いソニック号に乗りますよね。
 ちなみに、ガラガラと言っても、3号車には他に3人の乗客がいましたが、皆いかにも同業者という感じがする人たちでした。

 座席はこういう感じのもの[⑨]。普通車です。この国鉄色Do-32編成の残念なところは、グリーン車がないところですね。グリーン車があれば、それはもう迷うことなくグリーン車を選択するんですが・・・。

 さて、発車時刻が近づいてきました。この485系のにちりん号に乗らんがために、今回の旅行の行き先は九州になりました。たった1つの列車の存在が、旅行の行き先を決めたんです。「主役」への乗車は、存分に味わっておかなければ。


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