上りのハウステンボス号のグリーン車は、編成最後部である、1号車の後ろ寄りの半室にあります。床面に絨毯が敷かれ、大型の座席が2+1配列で展開する空間には、グリーン車らしい雰囲気と特別感が漂っています[①]。
座席など、主だったところ以外で普通車との差別化が図られている点としては、セミハイデッカーになっていることが挙げられます[②]。通路部分の床と、座席がある部分の床の高さが異なることがお分かりいただけるでしょうか。座席が一段高いところに設置されることで、車窓の眺めが良くなる・・・ということなのかもしれませんが、正直、一段高くなった程度では、あまり変わらないような気もするんですが。
窓と言えば、グリーン車の窓は、普通車の窓よりも高さのある、大きなものが使われています[③]。窓の大きさは、車窓の眺めの良し悪しに直結しますから、この窓の大型化は、意義のあることだと思います。グリーン車と普通車の窓の大きさの違いについては、この写真をご覧いただくと、その違いが分かりやすいかと思います。
783系のグリーン車は運転室の後ろに設けられているため、前面展望をすることができるようになっています[⑤]。上りのハウステンボス号では、グリーン車が最後尾になってしまいますが、グリーン車が先頭になる列車であれば、運転士気分で前面展望を楽しむことができます。
なお、「セミハイデッカーであること」「窓が大きいこと」「前面展望ができること」は、グリーン車が貫通型先頭車に設けられているタイプでは、いずれも当てはまりません。これらが当てはまるのは、非貫通型先頭車に設けられているタイプですので、ご注意ください。
座席の背面テーブルを展開すると現れる謎のくぼみ[⑥]。網が張られていて、小物入れとなっていますが、なぜよりによってこんなところに?
実は、783系のグリーン車には、かつては液晶テレビが装備されていました。残念ながら、テレビは後に撤去されてしまいましたが、その結果、テレビを埋めていた部分がくぼみとして残りました。この小物入れは、テレビを撤去した跡として残ったくぼみを活用したもの、ということなんですね。
さて、783系のグリーン車についてあれやこれやとご紹介しているうちに、列車は新鳥栖、鳥栖と停車して、間もなく二日市というところまで進んでいました[⑦]。この列車に佐賀で乗車した時点では、グリーン車には先客が1人いましたが、その人は新鳥栖で降りていきました。鳥栖ではなく新鳥栖で降りたということは、そこから新幹線に乗って、熊本・鹿児島方面、あるいは広島・大阪方面へと向かう予定だったんでしょうか。
佐賀駅で、「もう夕陽も沈んじゃうなあ・・・」などと思いましたが、19時台も半ばになると、さすがに辺りはすっかり暗くなっていました[⑨]。九州で迎える3度目の夜です。ただ、明日の朝を九州で迎えることはありません。明日の朝を迎えるのは神奈川県内、あるいは東京都内です。
19:35、列車は終点の博多に到着しました[⑩]。11:43発の地下鉄の列車で博多を発って以来、約8時間ぶりの博多駅です。
余談ですが、JR九州の在来線の特急型車両は783系、787系、883系、885系の4種類がありますが、これらの中で私が1番好きなのは783系です。今回佐賀から乗車したのは18:53発のハウステンボス26号でしたが、佐賀から乗車できた博多行きの特急としては、18:14発のかもめ36号、18:36発のかもめ38号もありました。
しかし、前者は787系による運転で、後者は885系による運転です。「今回の旅では、まだ1度も783系に乗車していない。せっかく九州までやってきたのだから、何とかして783系(のグリーン車)には乗っておきたい」と思い、わざわざかもめ36号、38号を見送って、783系で運転されるハウステンボス26号に乗って博多へ向かうことにしたんです。
|