全長676キロの「偉大なるローカル線」
日本最長路線・山陰本線を乗りつくす旅−22


小野田駅/小野田→丸尾/丸尾駅/丸尾→新山口
向こうのホームにやってきたのは広島行きの115系。
ただ、117系の改造車だったようで、見ての通り2扉という115系としては異色の車両でした。

うーん、やっぱり両開き2扉の近郊型車両は、117系と213系の専売特許のような気もするので、115系が2扉というのはやっぱりちょっと変ですね。
小野田線・宇部線 1242M/1862M(123系)
小野田(18:31)〜丸尾(19:22)
折り返しの新山口行きで、丸尾駅まで移動します。
「小野田」「居能」「宇部新川」と聞いて、「あぁあそこにある駅か」と分かる人は結構いるのではないかと思いますが、丸尾と聞いて路線や場所が分かる人はまずいないと思います。

一応書いておけば、丸尾駅は宇部線の駅の1つです。ただし何の特徴もない駅。
宇部線の中にあるただの途中駅。ただの。

この後移動においては、今乗車している新山口行きの1本後の列車で移動しても、岡山駅でサンライズ瀬戸・出雲号に間に合うことが分かっているので、「それならどこか適当な駅で降りるか」と思い、降りる駅として選んだのが丸尾駅でした。特に理由はありません。

宇部新川以東の駅ならどこでも良かったのです。そう思うと、丸尾駅にせず、乗っている最中に「ちょっと降りてみたい」と思った駅で降りれば良かったかも。。。
先ほど下ってきた小野田線を、そのまま逆走。

ただ、座った席が下って来たときとは反対側だったので、窓越しに見える車窓というのは、先ほど小野田線を下って来たときに見たものとは違います。

しかし、ロングシートで車窓を眺めようとすると、体を135度程度捻ることになるので、休み休みにしないと、結構体が委託なりますね・・・。
18時58分、宇部新川駅に到着。ここを始終着とする列車も多いようです。
また1日あたりの乗車人員も、両端を除く宇部線の駅では、唯一1000人を超える駅です。

もちろん宇部線においては主要駅であり、ここで乗客の入れ替わりがかなりありました。

宇部新川駅を出ると、もう時刻は19時になるのですが、さすが西日本というか、まだ太陽が出ているおかげで、周囲はそれなりに明るかったです。
茨城なら、もう陽も沈んで暗くなり、夜の帳が下りていることだろうと思います。
今回の旅で、JR西日本の普通列車に何回か乗って気がついたことなのですが、中づり広告には、首都圏の列車と違って、雑誌の広告がなかったような気がします。

J−WESTカードの入会を勧める広告だったり、ユニバーサルスタジオジャパンへのアクセスについての広告だったりと、自社商品についての広告ばかりだった気がします。

さすがに大阪近郊とかであれば、雑誌の広告もあるかもしれませんが、普段「週刊○○」などの広告ばかりを目にしていた身としては、ちょっと新鮮だったかも。
19時22分、下車駅の丸尾駅に到着。さすがに辺りは暗くなっていました。

私と一緒に2人?丸尾駅で下車した人がいましたが、列車から降りると、そのままそそくさと駅舎へ向かい、しばらくして姿は見えなくなってしまいました。

「さてこれで俺1人になったか」と思いましたが、駅舎の脇には、女子学生が1人座っていました。
・・・こんな夜に、1人で座り込んで何をしているのやら。何だ、恋人でも待っているのか?
列車が発車していってしまうと、辺りは急に静かになり、虫の鳴き声がホームを包みました。

雑音がほとんどない、虫の鳴き声がよく聞こえるという環境に放り出されたところで、ちょっと今回の旅について考えてみましたが、そういえばこの旅ももう終盤です。

この後の列車で新山口駅まで移動し、新幹線で岡山駅へ。そして岡山駅からサンライズ瀬戸号に乗車して、東京に着けば、もう旅は実質そこで終わり。

旅に出る前というのは、移動の予定表を見て「またこれはずいぶん凄い旅程を組んでしまったな」などと思うのですが、いざ旅に出てみると、本当に全てがあっという間です。
簡易委託駅となっている丸尾駅には、乗車券の購入などができる窓口があります。
(「みどりの窓口」とは書いていなかったと思う)

そこには「急行券」「寝台券」という、もう近い将来死語になりそうな切符の名前も書いてありましたが、さて、どちらが先に姿を消してしまうでしょうか。

・・・なんてことを考えてしまうようになるとは、思いもよりませんでした。

そりゃさすがに全ての急行列車・寝台列車が昔のままずっと推移していくわけはありませんが、まさかここまで数を減らしてしまうことになるとは、さすがに思わなかったものですから・・・。
駅舎の屋根の下側に取り付けられている蛍光灯よりも、隣の自動販売機の照明の方が明るいという丸尾駅。まぁ、この駅の特徴を言うとしたら、それくらいでしょうか?(笑)

駅舎の近くには大した灯りがないので、闇の中に佇んでいるという表現が合う駅だと思います。
列車が来ない限りは、本当に静かで、ときにそれが不気味にも思えてしまう丸尾駅。

でも、何というのでしょうかね。「今度の列車は・・・」という放送が、列車が来ていなくてもひっきりなしに流れる都市圏は、親切なのではなくて、ただうるさいだけなのだと分かりました。

列車が来ていなければ何も言わない。列車が来ても、接近放送はない。ただ、時間になればちゃんと列車が来て、出ていって。
こう時刻通りの運行ができていれば、静かな、ある種の「不親切」な方が良いかも・・・。
駅周辺にあるものは、と言えば、駅を出てすぐ近くに歯医者がありました。
鉄道を利用して歯医者に来る人というのがどれくらいいるのかは分かりませんが、とりあえず立地がかなり良い歯医者だということは分かりました。

少し歩いていけばスーパーもあり、また駅舎の脇には飲み物の自動販売機があります。
ですから、何気な〜く途中下車して見ても、食料に困ることはないと思います。

駅のすぐ近くに歯医者があるということで、旅行中に突然歯の痛みなどに襲われても、丸尾駅で下車すれば、一応何とかなるということですね。まぁ、そうなることはまずないでしょうけど。

でも、関口知宏の例の番組では、旅行中に歯の痛みで歯医者に行っていましたね(笑)
上り列車がやってきましたが、接近メロディも放送も、発車メロディも放送も何もないので、誰にも気がつかれないようにひっそりと発着している、という感じですかね。

僅かな乗客を降ろした105系は、やはり加速の音だけを残して静かに発車していきました。
「何か夜ならではの写真を撮りたいな・・・」と思いながら駅の近くをぶらついていたとき、踏み切りの存在が目に入ってきました。

列車が来れば、列車の明かりが光線となるところと踏み切りを同時に写すことができて、ちょっと面白い写真になるかなと思いましたが、もう次の列車とは私が乗る上り列車です。

仕方がないので、とりあえず踏み切りだけスローシャッターで撮影してみましたが・・・、うーん、まぁ普通の写真ではないとは分かりますが、だからといって面白味があるわけでもないですね。

車両などの写真を「普通に」撮ることは、慣れれば何も難しいことではありません。しかし、それ以外の、感性を働かせることが大切な写真というのは難しいですね・・・。
さて、次の列車に乗車することにしましょう。20時01分発の新山口行きです。
この列車で新山口駅まで行けば、それを以て宇部線の全線乗車も果たすことになります。

宇部線という路線は、起点駅と終点駅だけを見れば、新山口〜宇部間の路線であり、どちらの駅も山陽本線の駅がありますから、宇部線を通っては遠回りになります。

これは呉線や岩徳線についても(後者は一時期、山陽本線だった)同じことが言えますが、たまにはこうして遠回りな移動をしてみるのも良いですね。
宇部線1864M (105系)
丸尾(20:01)〜新山口(20:29)
新山口駅の1つ前の駅、上嘉川駅。

真っ暗で、辺りの様子は全く分かりませんでした。私は窓越しに見る車窓が旅の楽しみの1つなのですが、こう真っ暗だと何も見えないことが多いので、夜はあまり好きではありません。

しかし、寝台列車の車内から見る満天の星空は大好きです。あれ以上のものはありません。
裏を返せば、曇りだったり雨だったりしたら、最悪の車窓になりかねないということですが(笑)
20時09分、終点の新山口駅に到着。

こうして宇部線の全線乗車を達成しましたが、総延長僅か33.2キロの路線を宇部〜居能・居能〜丸尾・丸尾〜新山口の3回に分けて乗車したので、あまり実感はありません。

山陰本線は、その距離が距離でしたから、いくつもの列車を乗り継いで全線乗車を達成しても、かなりの実感があったのですけれどもね。

ここから新幹線で岡山駅まで移動して、サンライズ瀬戸号に乗車します。
残す列車も、実質あと2本です。

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