全長676キロの「偉大なるローカル線」
日本最長路線・山陰本線を乗りつくす旅−9


和田山→浜坂/浜坂駅
竹野駅を出ると、進行方向右側には日本海が見えるようになります。

・・・が、私の座席は山側のA席。私としてはやっぱり森林よりも日本海を見たいので、D席に移ろうかと思いましたが、「一応指定された座席にいておこう」、ということで自重しました。

あ〜、事前に下調べしてD席にしておけば良かったな!まったく!
リクライニング起動のつまみを見て、「そういえば、最近の車両の座席はボタンを押してリクライニングするものばかりだから、つまみで、っていうのは久しぶりかも」とちょっと思ってみたり。

ちなみに、東京→京都間で乗車したN700系のグリーン車の座席のリクライニングの起動は、「肘かけの上面に設けられた前後に動くつまみで行う」という、実に変わった方式。
鎧駅を通過してしばらくすると、列車は架け替えられたばかりの余部橋梁を渡ります。
走行音が静かだったような気がしましたが、やはり新しいコンクリート橋になったからでしょうか。

このときばかりは、もう私も我慢できなくなって、日本海側のD席に一時的に移動しました。
最初からD席にしておけば、こんなこともしないで済んだのですが。。。
新・余部橋梁を通過する前後の車窓をご覧いただけます。ご覧になる場合は、こちらをクリックしてください。
デジタル一眼レフカメラのシャッター音も入っています。耳障りで申し訳ないです・・・。
橋梁上からは、綺麗な綺麗な日本海を眺めることができます。

よく、絵では海や川の水を青色で表現しますが、実際に水の色が水色だったり青色だったりする海は、かなり数が限られていると思います。
でも、この日本海の海なら、そのまま描いても青色に・・・。
”不完全な”アルプスの牧場の車内チャイムが流れ、間もなく終点の浜坂駅に到着するという放送が流れると、和田山駅からの1時間25分の乗車も終了です。

グリーン車の乗客が全員降車し終わった後、客室内の画像をパチリと。

なるほど、こうして見てみると、普通車と勘違いされそうな気もします。
でも、それは良くも悪くも国鉄時代の状態を今までほぼ保ってきたことの賜物と言えます。

キハ181系の引退。うーん、寝台列車が廃止されるときによく聞く言い回しなのですが、こういうとき、「こうしてまた昭和(の象徴)が消えていく・・・」なんて言うのかな?

平成生まれのガキんちょにはちょっと分からないですが、キハ181系が引退するということに対しての寂しい気持ちは、1人の鉄道ファンとしてよく分かります。
暑い暑い浜坂駅のホーム。そこに佇むキハ181系。

私以外にも結構な数の人がキハ181系を撮影していましたが、そのほとんどは、先ほどはまかぜ1号に乗車していたと思われる人たちでした。

撮影している人たちの顔ぶれを見ている限り、私が一番年少なのは間違いなさそうでした。
「全盛期のキハ181系も知らんくせに」と言われてしまいそうですが、そんな自分もキハ181系が大好きだということは同じです。どうか、お許しのほどを。
鳥取砂丘を描いたヘッドマーク。
キハ189系では、もうこの味のあるヘッドマークも見ることはできなくなってしまいます。

国鉄時代はある車両が汎用型として導入され、それが全国各地であらゆる列車で使われ、ヘッドマークでその列車名を示したわけですが、JR化後は列車ごとにその列車での運用に特化した車両を導入することも増えました。

結果として、ヘッドマークを掲げるまでもなく、その車両自体が「その列車」を示すことになったわけですが、さてそれが本当に良かったことかどうかは。
前照灯。ここから放たれる光で暗闇を切り裂き、トンネルを突き抜け、夜には月明かりの下に一筋の真っすぐな光を走らせる。

この前照灯の光がどこか柔らかい感じがするのは、白熱電球だからこそ成しえる「業」
キ ロ 1 8 0 − 1 2

今時の車両は、車両番号がステンレスの切り抜きである方が珍しいのではないでしょうか。だいたいはただのペイント(シール?)で、字体も普通のゴシック体。

それらに文句を言うつもりは全くありませんが、でもやっぱり国鉄型車両で見られる、ステンレス切り抜きのこの独特の書体をした車両番号が放つ良き「古めかしさ」は、何か私を魅了するものがあります。
はまかぜ1号として到着したキハ181系は、この後、13時30分発の大阪行きのはまかぜ4号となるため、すぐに折り返し準備を行います。

そのため、気がついたら方向幕は既に「大阪」に切り替わっていました。

ここから大阪駅までは3時間40分の道のり。グリーン料金は4000円になります。
いや、さすがにあれに4000円はちょっとなぁ・・・。
駅名標。JR九州では、特急も停まるような主要駅でも国鉄時代の駅名標がそのまま残っていたりしますが、JR西日本の駅は主要駅に限らず、地方の小さな駅も全てJR西日本様式に変わっているような気がします。

今まで、JR西日本の駅で国鉄時代の様式の駅名標は見たことがありません。
その一方、発車標は古めかしい反転フラップ式。
最新型車両となるキハ189系と、この発車標の共演は果たして見ることができるでしょうか。

キハ181系とは物凄く合いますが、キハ189系には合わないような気もします。やはり。
最後に、大阪方先頭車の前照灯が点いた姿を撮影。

凛々しいですね。本当に何というか、素直に「格好良いなぁ」と思ってしまいます。
力走している姿に格好良いと思っているのではなくて、「特別急行」として堂々たる雰囲気を醸し出しながらホームに停車している姿に格好良いと思いました。

特急というのは華のある列車だと思いますが、数が増えすぎればあまりにも「開き過ぎた華」になってしまい、本来あるべき特別さや格別さがなくなる気もします。
急行が中心で、それを補完するための「特別な急行列車」が特急でした。今はどうでしょう。

3往復という数。キハ181系という車両。編成両数こそ特急が輝きを持っていたころとは程遠いものになってしまいましたが、はまかぜ号は今も「特別急行」らしさがあると思います。
キハ181系の撮影もそこそこにして、更に山陰本線を下ります。

次は今回の旅で初めての普通列車。はまかぜ1号が鳥取行きなら、もちろん鳥取駅まで乗車していましたが、鳥取行きは下り最終の5号だけです。

今から乗車する普通列車は土曜・休日のみ走る列車で、平日は走っていません。
平日だとはまかぜ1号が浜坂駅に到着する4分前に出る普通列車の次は14時31分と、はまかぜ1号との接続が考慮されたダイヤとは言えません。

つまり土曜・休日に限ってはまかぜ1号と接続する普通列車を走らせるというわけですが、さて好評なら平日もそうしてくれるでしょうか。楽しみです。
2番線・3番線の発車標ももちろん反転フラップ式。

13時30分発ということで、大阪行きのはまかぜ4号と時刻上は同時発車となります。

まだまだ山陰本線を下ります。
浜坂駅で、全676キロの約3/10です。

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