全長676キロの「偉大なるローカル線」
日本最長路線・山陰本線を乗りつくす旅−25


岡山→東京
ラウンジで待つこと約15分、ようやくシャワー室が空きました。

利用可能時間は6分ですが、これはご存知の方も多いと思いますが、お湯が出る時間であって、シャワー室にいられる時間のことではありません。

私は6分もお湯を使わないので、いつも2分半くらい余してしまいます。
しかしせっかく310円を払って利用しているのですから、使い切らないともったいない。

そういうわけで、体を流して洗って、頭も洗ったあとは、シャワーを壁にかけて、呆然と立ち尽くしながら全身にお湯を浴び、残り時間を消費しました(笑)
シャワーを浴びてさっぱりして、自室に戻ってきました。
相変わらずリュックのせいで扉が閉まりづらいので、やはり半ば力づくで閉めます。

シャワーを浴びている間に、列車は兵庫県内に入って姫路駅を過ぎ、いわゆるアーバンネットワークの圏内に入っていました。時刻は既に0時を過ぎました。

これまでは山々が主な車窓でしたが、住宅やビルに変化。
車窓の変化に合わせるかのように、サンライズ瀬戸号もそれなりに飛ばし始めました。
(それでも130キロでは出していない。勿体ないな〜。)
かっ飛ばす285系の車内からの車窓をご覧いただけます。ご覧になる場合は、こちらをクリックしてください。
上りのサンライズ瀬戸号(出雲号)に乗るのは今回が6回目ですが、これまでは全て進行方向右側の部屋でした。しかし、今回は6回目にして初めて、左側の部屋となりました。

進行方向右側にある個室の扉には鏡が貼り付けられていて、その鏡には、窓越しに見えている景色がそっくりそのまま映っています。ほら、これで左側の部屋からも、右側の車窓が・・・。

駄目だ自分でも「くだらないことしているな」と思って呆れる(笑)
0時12分、三ノ宮駅に到着。しかしホームは右側にあるので、ホーム上の様子は分かりません。

ただ、三ノ宮駅停車中に、通路を歩く足音が聞こえてきたので、ここ三ノ宮駅からもソロに乗車した人がいるようだ、ということは分かります。

ところで、サンライズ瀬戸号の前身、瀬戸号の上りが三ノ宮・大阪に停車していたことの名残で、三ノ宮や大阪から利用する人は、サンライズ出雲号ではなく瀬戸号を選ぶことが多いと聞いたことがあるのですが、本当でしょうかね?
三ノ宮駅から約20分で0時32分、大阪駅に到着。
サンライズ出雲号は併結していないのですが、ホームの発車標は、岡山駅と同じように「出雲・瀬戸」と表示されていました。「出雲」を消すのが面倒くさいのでしょうかね?

大阪駅を出ると、次の停車駅は静岡駅。新たに乗客を拾うのは、恐らくここが最後でしょう。
ここでもソロに何人か乗り込んできました。

しかし、大阪駅も随分と綺麗になりましたね。夜行列車にありがちな「気だるさ」を吹き飛ばすような感じがして、大阪駅から乗るとしたら、清々しい旅立ちになる気がします。
大阪駅の隣、新大阪駅は通過。ホームの明かりも消されていました。
新大阪から新幹線乗り換えで乗車、という需要はさすがにないのでしょうかねぇ?

まぁ新大阪は隣に大阪が停車駅としてあるからともかくとしても、上りは京都駅に停めてみたら面白いのではないかな、と思います。停めてみたら、利用も結構あるのではないかと思いますが。

この後、流れ行く夜景を楽しみましたが、あまり夜更かしをしすぎると体にも良くないということで、京都駅を通過した後、窓のブラインドを下げて、眠りにつきました。

・・・でも、何度味わっても、静かな個室内から窓越しに見る夜景というのは素晴らしいと思えます。いつまで見ていても飽きないし、見ていたいのですけれどもね。
走行音だけが個室内に響き、他人の干渉もなく、闇の中に煌めく光を眺める至福の一時が・・・。
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2010年8月23日
目が覚めると、辺りは既に明るくなっていて、時刻は5時14分。
列車は富士駅を出て、沼津駅に向かっているようです。

「目覚めたら雨だった」という気だるさが個人的には好きなので、ちょっと雨が降っていることを期待したのですが、残念ながら曇りでした。
それなら、まだ快晴の青空とさんさんと煌めく太陽・・・、という方が良いですね。

この後個室から出て、洗面所に向かい、コンタクトレンズの装填と髪型のセットをしました。

それをしている最中に列車が沼津駅に停車したため、ちょっと車内から顔を出して、下りる人がどのくらいいるか確認してみましたが、10人いたかいなかったか、という程度でした。
5時43分、熱海駅に到着する直前、この後朝のライナー列車として運用されると思われる、185系の姿が見えました。

この185系のような、よく見かけるお馴染みの車両や、JR東日本様式の駅名標を見たりすると、「あ〜あ、もう帰ってきてしまったのか」と思わずにはいられません。

それでもサンライズ瀬戸号に乗っている間はまだ旅が続いているので、余計なことは考えないで「まだ旅が終わったわけではない」と自分に言い聞かせます。
時刻は5時47分。まだ新幹線は動き始めていません。

そういえば2日前、向こうに見える新幹線の線路を、東京6時発ののぞみ1号で走り抜けて、山陰本線の起点駅の京都へ向かった・・・。

その線路を今、逆方向の東京方面へ向かいながら、在来線から見ていると何か変な気分です。
富士〜沼津間で目覚めたときは曇天でしたが、空を覆っていた雲はどこかへ行き、輝く朝日が見えてきました。うーん、まだ何となく眠いですが、一気に目が覚めるほど眩しい!!

先ほど、”「目覚めたら雨だった」という気だるさが個人的には好き”と書きましたが、もちろん、眩しい朝日に迎えられる爽やかさも大好きです。

そして特にすることもないので、窓越しに流れる光景をぼけーっと見ていると、何人か沿線でカメラを構えていた人がいました。朝早くからお疲れ様です。
まぁ、まさか出雲号なしの瀬戸号単独の7両編成で来るとは思っていなかったでしょうが・・・。
「おはようございます。今日は、8月22日・・・」というおはよう放送が流れました。
この日付の案内は夜行列車ならではのものですから、これを聞くと、夜行列車に乗っているということを改めて実感しますね。

さて、今日は月曜日。この後停車した横浜駅では、通勤ラッシュがもう始まっていたようで、列車内だけでなく、ホームも大混雑という状況でした。

窓一枚を隔てて、中は天国、外は地獄。
「はは〜ん、いいだろ〜!」とちょっと優越感にも浸りますが、列車を待つ人たちが物珍しそうにこちらを見つめることはなく、浴びせるのはさっさと行かねぇかなと言わんばかりの冷たい視線。

平日はこれが毎日繰り広げられているのかと思うと、面白いと思うやら思わないやら。
途中、駅を発車したE217系と並走しました。

さて、勝負はどうなることやら?
なーんてことを思っているうちに、あっさりと抜かれてしまいました。

こちらは先ほどからずっと一定の速度を保って走っていますが、あちらはグイグイと加速していくので、まぁ仕方がないですね。

一応、サンライズ瀬戸号を抜いていったE217系が次の駅に停車している間に抜き返したのですが、やっぱり1度でも抜かれると何か悔しいな・・・。
こちらは、寝台”特急”です。やはり何事でも普通列車に負けるのは悔しいですね。

・・・と書いてしまったら、普通列車よりも遅い通勤特急とかは全廃になってしまいますな(笑)
最後の途中停車駅、横浜を出ると、もう次は終点の東京。
品川駅からは山手線の列車も窓越しに見えるようになり、立ち並ぶ高層ビル群と共に、東京に帰ってきたことを強く感じさせます。

下車するために荷物を持って通路に出ると、ソロは全ての部屋に使用形跡がありました。

観光によく使われ、乗ること自体が目的となるような北斗星号やカシオペア号と違い、ビジネス向けの列車だと言えるサンライズ瀬戸号では、あまり「名残惜しさ」はありません。

それでも、岡山から長駆732.9キロを1晩かけて走り抜いてきたことによる「ついに東京に着くのか!」という感覚は、「なんだもう東京か」という新幹線では味わえません。
岡山から8時間35分の所要時間で7時08分、定時で東京駅に到着。

普段は15両編成で発着する普通列車に負けないような、長い14両編成が東京駅の9番線に威風堂々と佇みますが、今日ばかりは身軽な7両編成。
10両、15両という列車が発着する中にあっては、ちょっと浮いていたかも。。。

さて、日本最長676キロの山陰本線を全線乗車する旅は、今これにて終了しました。
真っすぐ行くのではなく、あえて回り道をして幡生まで行く。回り道だったからこそ見えたもの、感じたもの、得られたものがたくさんありました。

ちなみに、サンライズ出雲号は駅の放送によれば、11時15分到着予定とのことでした。
定時からは約4時間遅れということですね。まだ浜松にも達していないか?

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