●2月23日●
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 遠軽で何をどうするということもないので、タクシーに乗って瀬戸瀬駅にやってきました。料金は4,370円ですが、まあこれくらいならギリギリ我慢できます(いかにタクシーを用いて駅訪問をするといっても、5,000円を超えてくるとちょっと苦しい)。

 このご時世に非札幌圏で普通列車のみが停車する駅が生き残っているという時点で、筋金入りの秘境駅というわけではない、ということになりそうですが、いつ廃駅になってもおかしくないので、こうして訪れられそうな機会があるときに訪れておきます。運賃表を見ると、遠軽駅の左側が”不自然な”ことになっていますが、これが答えです。

 瀬戸瀬に停車する列車は1日3往復しかありません。タクシーで来てタクシーで帰るというような真似はしないので、当然、列車の時刻に合わせてこの駅を訪問しています。狙いは13:39発の旭川行きです。

 ここは言うに及ばず無人駅ですが、駅舎には「JR社員 休憩室」があります。恐らく、冬期の除雪要員がこの部屋に詰めるのでしょう。JR北海道にはいくつもの無人駅がありますが、線路上の大雑把な除雪は除雪車やモーターカーにやらせるとしても、駅ホームや分岐器、踏切、その他は、結局人力でやらなければいけないので、冬には無人駅に除雪作業員が現れることがよくあります(そしてアルバイトも募集する)。

 ホームに出たときに、雪山ができていて歩く場所がなかった、ということになっていないことが、瀬戸瀬駅もきちんと除雪されていることの証明です。待合室への扉は、雪掻きを怠れば、あっという間に開け閉めできない代物になりますが、駅前側もホーム側も除雪が行き届いており、扉は左右にスムーズに動きます。

 向こうの方から何か音が聞こえると思って注目してみると、除雪作業員が線路の除雪に当たっていました。恐らく分岐器か、踏切の除雪を行っているようです。温暖な地にあっても赤字になるような路線が、北の大地に放り込まれてしまえば、本州の暖地ならまず存在しないような除雪作業という手間と費用が追加で求められるのですから、そりゃあJR北海道も苦しいというものです。




                       













 もはや番線を割り当てる必要もなさそうですが、一応、瀬戸瀬駅は、網走方面が1番線、旭川方面が2番線ということになっているようです。またちらちらと雪が舞ってきた中、列車を待ちぼうけるのは結構な苦痛・・・でもないのは、幸いにして、今日が比較的暖かい日だったからなのかもしれません。

 瀬戸瀬駅の周辺には、いくつかの民家がありますが、もはや集落と言えるような集積はありません。駅前のすぐにも家がありますが、空き家になってから相当な期間が経過したと思わせるような朽ち方で、冬と夏を繰り返しているうちに、いずれ冬期の雪で倒壊してしまうのではないかという気配もあります。しかし、遠めに覗いて見ていると、そこにはかつてたしかに人の暮らしがあったのだと思わせる遺物が散見されます。

 さて、人はいなくなったものの、今では代わりに猫がこの空き家を使っているようです。ここで見かけたのは、2匹のシャム猫風のコンビでした。北海道の片田舎で野良猫をやっているのだと推測するには、あまりにも健康的でありすぎる見た目だったので、地域猫か、あるいは近所の家で飼われている猫だったのかもしれません。

 いかにも冬毛と感じさせるようなふんわりとした姿ですが、とはいえ冬の北海道で屋外に居続けることは困難であるはず。空き家の中というのは、さぞかし散らかっていて、家財道具等がうず高く積もってさえいるのかもしれませんが、猫にとってはかえって好都合という可能性もあります。そのような雑然としたところに潜り込んでいけば、結構暖かそうですよね。

 適当に時間を潰すこと十数分、旭川行きの普通列車がやってきました。私が初めて北海道に来たとき(と言っても、所詮は2008年で、別に昔でも何でもなく、モロに”最近”ですが)からずっと見ることができている「北海道標準色」のキハ40系は、ある意味、まさに北海道に来たという感覚を与えてくれる存在かもしれません。




                         














 ガラガラの普通列車に揺られて白滝を目指します。列車は2両編成でしたが、少なくとも私が乗車した1両目については、他の乗客は1人だけでした。ただ、これも2両連結するにふさわしい乗客があると見込んでいるからそうしているのではなく、単純に峠道を走るためのエンジン出力を確保するために、嫌々2両連結しているだけのように思われます(祝日なのにこんな乗車率でいいのか?)。

 丸瀬布は、特急大雪4号以外の全ての列車が停まります。その大雪4号では、注意喚起のために「丸瀬布には停まりませんので、お気を付けください」という放送も流れます。ただ、丸瀬布ひとつを通過したところで、劇的に所要時間が短くなるわけでもないですから、いっそ停まってやればとも思います。幸い、その約30分前に普通列車(これ)があるので、それに乗って白滝で乗り換えるという選択肢はとれます。

 下白滝では、下り特急大雪1号との行き違いのために小休止。ここも元々は駅でした。別に誰の迷惑になるということもないはずなので、車内をうろうろと探索します。車内は両端がロングシートになっていますが、中央部はボックスシートになっていて、そのうちの両端は、車両真ん中側を向いた2人掛けのみ(向かい合わない)の席になっています。ちょっと狭そう。

 JR北海道には、内外装をリフレッシュしたキハ40形「北海道の恵みシリーズ」もありますが、このキハ40形は”素”のまま。飾り気も何もありません。荷物棚は、文字通りの「網棚」。隠す気のないネジ。内装は金属とプラスチックで至れり尽くせり。連結部に出れば、抗菌という文字が似合いそうな緑色の壁に、模様もない座席。道具としての鉄道車両を地で行くような造りと言えます。

 ”メカメカしい”と言いたくなるような運転室とは対照的に、助手席側に計器類はありません(まあ、そりゃそうか)。一般旅客が立ち入れぬよう、ロープで立ち入り禁止の意思が示されていますが、デッキにまで学生があぶれてくるような時間帯には、ここの中に入ればさぞかし立ちやすかろう・・・という想像をしてしまいます。


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