●2月23日●
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 連結された2両の間は、通り抜けが可能です。西日本にいると、特急くろしお号、特急やくも号において、”貫通扉があるのに使わない(通り抜けができない)”というシーンに遭遇することがありますが、JR北海道では、通り抜けができない2本以上の編成が連結することはありません(たぶん)。しかし、1000番代以降のキハ261系では、先頭車両前面の貫通扉が使用されることはなく、それゆえに先頭車両が中間に入ることがありません。

 貫通幌は、暑い日と寒い日を繰り返し潜り抜けてきたということを感じさせるような、歴戦の猛者の雰囲気に満ち溢れています。まあ、こんな変な表現をせずとも、ようはボロボロだというわけですが。北海道の寒さは言うまでもありませんが、昨今では、内陸部なら夏に30度に達する日も見られますから、この貫通幌は、1年間のうちに、約50度ほどの気温の変化を受けていることになります。

 キハ40形は1両単位で便所も備えられているので、この列車には、都合2か所の便所があります。新しい特急型車両・新幹線車両では、いわゆるウォシュレットが取り付けられたピカピカの洋式便器も導入されていますが、ここにあるのは、あまりにも寒々しいステンレス製の和式便器。染み付いた青色の洗浄液が、より一層その漢字を強くさせています。私は、少なくともここで「大」はできません。

 さて、そうこうしているうちに、やっと大雪1号が通過していきました。この飛び石連休には、キハ183系が目当ての人々も多く出陣しているでしょうから(ま、私もそうですね)、あちらにはそれなりに乗客が乗っているのでしょう。列車の窓越しに見た対向列車のブレブレの写真といえども、キハ183系が本当にいなくなってしまった今では、これも貴重な記録写真です。

 白滝で列車を降ります。かつては奥白滝、下白滝、上白滝、旧白滝というシリーズものがあった白滝も、ついに本家本元の白滝が残るのみとなりました。4つも派生駅があったのに、東西南北新という「ありがち」な接頭語がついたものはひとつもなかった、というのが面白いところです。そして雪が強まる中、2両編成のキハ40形は、白闇へと消えてゆきました。




                           















 瀬戸瀬ではそうでもなかった雪の降り方も、幾分強まってきただろうかという白滝駅です。もっとも、北海道にいるからには、この程度の雪で慄くわけにはいきません。さすがにこれくらいの雪で驚くことは当然ありませんが、ただ1点だけ不安なのが、履いている靴が何シーズンかを越して履き続けている雪靴なので、いずれ水が中にしみ出してくるのではないかということ・・・。

 特急列車が停まる駅だと言っても、白滝はもはや無人駅です。優等列車が停車するからには大きな駅なのだろう、という考え方は、北海道においては、必ずしも当てはまりません。1日平均の乗車人員はもはや10人を切っており、駅の存続自体が考えられるべきときが遠くない気もするのですが、逆に「なぜここに特急は停まるのか」が好奇心として気になってきます。

 そのような地であっても、鉄道で交通系ICカードは使用できませんが、駅舎内に設置されている飲料の自動販売機では、全国共通交通系ICカードをはじめとする各種電子マネーが使用できる模様。SMART ICOCAは、J-WESTカードによるクイックチャージができるので、クイックチャージをしたICOCAで飲み物を買えば、実質自動販売機でクレジットカードを使えたようなものです。

 駅前には旅館らしき建物がありますが、地図には何も出てこないので、もう廃業してしまっているのでしょう(実際、これだけの積雪を放置するということは・・・)。それでも郵便ポストは、1日に2回の収集があることになっており、これは郊外のちょっとした街と比べても、違わないものがあります。本音は週に3回程度の収集にしたいところかもしれませんが(毎日2回は苦しそう)。

 網走等の沿岸部と比べると、内陸の白滝の積雪量はさすがのもの。ホーム上の目盛りによれば、雪は1mあるかないかくらいのところまで成長してきているようです。ホームではスコップが雪の塊に突き刺さっており、除雪しても除雪しても追いつかないような激闘が繰り広げられていたことを偲ばせます(が、これって、要は人間側が敗北したということでは)。近年のJR北海道で流行りの「写真撮影用構図」です。

 ホームに屋根は全くないので、雨風雪を凌ぎたければ、駅舎内で待つ必要があります。が、もうまもなく列車が来ると分かっていると、「少しくらい我慢してやるか・・・」という気持ちになり、つい吹雪に吹かれてしまいます。北海道の雪は水分が少ないので、ガンガン雪を浴びたとしても、持ち物が濡れてしまう憂き目は、だいぶ起こりづらいです。




                           















 特急大雪4号に白滝から乗車します。先ほどの普通列車を降りて大雪4号に乗り換える、という行動パターンをとった人は、他にもうひとりいました。こんな妙なことをやる人が私以外にもいるとは。

 北海道フリーパスを所持していますが、ここではグリーン車に乗ります。キハ183系に別れを告げるためには、いかに北海道フリーパスを持っているといえども、グリーン車にも乗らなければなりません。そこで白滝〜旭川間ならば、営業キロ85.9kmということで、特急料金もグリーン料金も、100kmまでの区分帯に収まります。そのため、この区間での乗車としました。

 グリーン車は、以前は北斗号で使われていたハイデッカータイプであり、キハ183系の初期型車両を置き換えるために、北斗号から大雪号・オホーツク号に回されてきました。私は、勝手にこれをJRになってから改造で製作したものだと思っていたのですが、実際には国鉄時代から存在しているとのこと。当時としては先進的な存在であったことは間違いないでしょう。

 窓越しに見える景色は、冬の北海道そのものであり、凍れる大地とはこのことか、と思わされます。このままモノクロ写真に変えても大して変化はないのではないか、と思ってしまうほどのモノトーンな眺めは、天気としては”悪い”はずなのに、どこか自分が「やっぱり冬の北海道を旅するならこうでないとね」と求めていたものもであります。

 ハイデッカーグリーン車は、視点の高さがポイントですが、肩口に回りかけている窓の大きさもポイントです。屋根に向かって上窄まりになっていくところにも窓ガラスは伸びており、空がよく見えます。パノラマグリーン車が消えてゆき(キハ85系、381系など)、2階建て車両やハイデッカー車両も消えてゆく(371系など)現代にあっては、特徴ある素晴らしい車両だと思うのですが、またひとつ「平凡」が増えてゆきます。

 グリーン車で過ごす時間は、快適そのもの。終点の旭川で列車を降りても、あれならもう何時間かは乗っていられそうだ、と思えるくらいでした。到着した車両は、下り特急大雪3号となるために、車内整備を受けます。その間、大雪4号に乗っていた人、またこれから大雪3号に乗ろうとする人たちの間では、写真撮影の時間が始まります。


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