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 大沼公園駅にやってきました[①]。函館からそう遠くはないので、函館とセットにして観光する場所としても人気があります。駅自体は1面1線という、必要最小限の設備しか有していませんが、それにしては駅舎は随分と立派で、また有人駅であり、みどりの窓口も営業しています[②]

 これまでは寝台特急・夜行急行列車で通り過ぎるだけで、車窓から眺めてしかいなかった大沼公園ですが、今日は本当に観光をするためにやってきました。とにかく乗って乗って乗りまくるということをしないようになった分、”持ち時間”はかなり増えました。散策路をのんびりと歩くという観光の仕方もありますが、今回は遊覧船で湖内を巡ってみます[③]

 ちょうど3連休のときに著名な観光地に来てしまった以上、相応の混雑があるだろうという覚悟をしていましたが、9:40に出発する遊覧船は、比較的余裕がありました[④]。私が感じていた限り、乗船していたのは全員日本人のようでした。その平均年齢はやはり「高め」であり、私のような20代前半の観光客はいませんでした。まあ、若者向けの観光地ではないでしょうね。

 観光客を乗せた遊覧船は、9:40に船着き場を出発しました[⑤]。すっかり落葉してしまい、だいぶ肌寒そうな姿になってしまった木々が目立ちますが、その足元を見ると、恐らくそれらの木々がつけていたのであろう落ち葉が隙間なく敷き詰められていて、来るべきときに来てさえいれば、もっと豊かな姿を目にすることができたのだろうと思いました。

 朝の函館があのように晴れていたので、それほど離れているわけではない大沼公園も晴れているに違いないと踏んでいたのですが、実際には、思わず落胆せずにはいられない曇天でした[⑥]。事前の天気予報では、今日の道南は雨だとのことだったので、雨に降られていないだけマシだと思うべきなのでしょうか・・・。

 私が乗っている遊覧船は、ゆっくりと湖内を巡っていきますが、それとは対照的な速さを見せつける小型船の姿がありました[⑦]。こういったものもレンタルしているのか、それとも個人の所有物か。スノーモービルなどは、その運転には特別な免許を要しませんが、船を操縦しようと思えば、きちんと免許を取得する必要があるはずですから、「乗ってみたい」と思っても、その道のりは面倒くさそうです。

 雄大に広がる大沼と、その向こうに聳える駒ケ岳は、北海道を代表する絶景ですが、さて今日の駒ケ岳は・・・[⑧]。天気が曇りであるだけならばまだしも、その雲のせいで山頂が見えないとなれば、さすがに幻滅するほかありません。大沼と駒ケ岳に挟まれた平地では、黄色や橙色に染まる木々が、見る人たちへ最後の晴れ姿を披露していました[⑨] [⑩]

 船内にいると景色が見づらいので、ほとんどの時間は後部のデッキにいましたが、そこにいると、函館本線の橋梁の下を潜る瞬間がなかなかスリリングです[⑪]。さすがに頭がぶつかることはありませんが、水面からガーターまでの距離はかなり短いです[⑫]

 遊覧も終わりに差し掛かったころ、大沼で憩うマガモの姿が見られました[⑬]。これから寒さが厳しさを増していくと、その湖面は徐々に凍り付き、とても鳥たちが浮かんでいられるような状況ではなくなります。鳥にとってはありがたくもないことですが、我々人間たちからすれば、湖面の氷結は冬の始まりであり、待ちに待ったスノーアクティビティーができるようになることを意味します。












 遊覧船での観光は約30分で終了しますが、次に乗る列車は10:50なので、まだ時間があります。もう少し大沼公園での観光を楽しんでいきましょう・・・と思ったのですが、下船した直後あたりから雨が降り始めると、それは瞬く間に強さを増し、一気に本降りの大雨になりました[①] [②]。それは駒ケ岳の姿がまるで見えなくなるほどのもので、路面もあっという間に濡れていきました。

 多くの人はどこか雨宿りができる場所へと避難していきましたが、幸い、リュックやカメラバッグには雨用のカバーが標準装備されているほか、私は折り畳み傘もきちんと持ってきました。そこで、雨専用の装備を整えて、引き続き観光を続行します[③]。とはいえ、雨に打たれながら遊歩道を散策すると、観光をしているというよりかは、単に車がなくて苦労している惨めな人にしか思えてきませんでした・・・。

 この後、折り畳み傘程度ではとても防ぎきれないような、スコール級の豪雨に見舞われたため、さすがの私も公衆トイレの入り口付近に避難しましたが、一時の豪雨が過ぎ去ると、空には青空が現れてきました[④]。う〜ん、この透き通るような青い空と白い雲の下で大沼と駒ケ岳が見られれば、それはさぞかし絶景であることでしょう。

 天気が回復していくに従って、駒ケ岳がその姿をのぞかせるようになってきましたが、上の方には、既に雪が積もっているようでした[⑥]。まあ、北海道の山なので、それほど驚くことではないはずですが、冬の訪れも近いということか。11月にもなれば、北海道ならば、例え普通の街中で雪が降ったとしても、もう取り立てて騒ぎ立てるような時期でもありませんしね。

 売店でソフトクリームを買って、それを食べ終わった後、大沼公園駅に戻りました。次に乗るのは、10:50発の函館行きの普通列車です[⑦]。せっかくはるばる北海道までやってきましたが、もうこれ以上北には向かいません。あとは南下していきます。あえてここよりも北で「寝台列車要素」を挙げるとすれば、新得に20系客車が保存されていますが、あれは夏季にしか見られません。












 函館行きの普通列車がやってきました[①]。10:50などというと、大沼公園から帰るというよりかは、今から大沼公園に来るという時間帯のようにも思われるのですが、私と同様にもう帰ってしまう人もいるようで、ホームでは乗客が列をなしていました。列車はキハ40形1両編成で、全ての乗客を座席に座らせることはできず、デッキ等で立ちんぼうになる人もいました。

 先ほどは青空も見えた大沼ですが、私が駅に戻ったころからまた空が暗くなってきて、結局先ほどのような豪雨が復活してしまいました[②]。視界が曇ってしまうその降り方は相当なもので、列車の窓に雨粒が打ち付ける音が聞き取れてしまうほどです。

 この函館行きの普通列車ですが、私はこれを新函館北斗で下車しました[③]。そして、6分の待ち合わせ(820Dがやや遅れていたので、実際には2分程度)で、函館行きの快速はこだてライナー号に乗り換えました。

 この後、私は、五稜郭11:26発の道南いさりび鉄道線の列車に乗る予定となっていますが、このまま820Dに乗り続けた場合、五稜郭到着は11:33となり、その列車には間に合いません。一方、はこだてライナー号に乗り換えると、五稜郭には11:20に着き、乗り換えが成立します。この820Dは、はやぶさ1号→はこだてライナー号が停まらない駅が目的地の乗客を乗せるという役割も持っています。

 七飯の手前で現れる高架橋は、通称藤城線と呼ばれる、七飯〜大沼間を緩い勾配で結ぶ、下り列車専用の支線です[④]。本線でも藤城線でも、七飯〜大沼間の距離はほとんど変わりませんが、上り勾配が本線よりも緩いため、貨物列車はこちらを使います。以前は、速さを必要とする特急列車もそうしていましたが、新函館北斗駅が本線上にあるため、新幹線開業後は、下りも本線経由となりました。

 快速列車として運転されるはこだてライナー号は、途中五稜郭のみに停車し、それ以外の駅は通過します。函館地区ではそれなりに主要な駅として扱われる七飯も通過します[⑤]。上り列車は、先ほどのスーパー北斗5号のような下り列車とは異なり、強制的な運転停車が発生しないため、七飯もそのまま無停車で通過することができます。

 新函館北斗から10分で五稜郭に到着しました[⑥]。ここで降りる人はあまりいませんでした。その下車した数少ない人たちは、皆いずれも軽装で、新幹線とは関係なしに普通の列車として乗り込んだか、あるいはほんの数日だけ本州に出かけていたか、というような、”地元っぽい”人たちが多く、少なくとも、大荷物を抱え込んだ観光客の姿はありませんでした。・・・私を除いて。

 かつてスーパー白鳥号として使用されていた789系は、札幌〜旭川間の特急ライラック号などへと転用するべく、札幌へ転属していきましたが、増結用の車両として使われていた2両編成(先頭車+中間車)×2本は、今も函館に残っているようです[⑦]。uシート車両を製造して組み込めば、1000番代と同等の全車普通車の5両編成が出来上がりますが、さて、今後の行方は。


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