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 こまち13号に乗車します[①]。E3系とE6系がこまち号において共存する期間は終了し、現在は全ての列車がE6系で運転されているため、これ以外の車両が現れることはありません。また、スーパーこまちの名も消えました。

 グリーン車の座席は、革張りの部分と布地の部分の両方があります[②]。E6系は在来線規格の車両であるため、普通車は2+2の座席配列となっていますが、グリーン車も2+2となっていて、座席の小ささは否めません。ただ、いざ座ってみると、とりわけ背もたれ両側のやや立ち上がっている革張りの部分が身体を適度に包み込み、座り心地はなかなかのものでした。それだけに本質的な座席の小ささが悔やまれます。

 在来線規格で設計される車両でありながら、あのやたらと長い鼻先を備えているため、グリーン車は僅か6列分しか座席がないという、かなりコンパクトな空間になっています[③]。同じ空間にいる人が少ないということは、それだけ騒がしさも小さくなるというもので、殊にE6系のグリーン車においては、座席や設備面のみならず、定員の少なさに起因する静かさも、グリーン車を選ぶ同機になっていそうです。

 右手に狭軌の線路が現れました[④]。といっても、これはJRの線路ではなく、第三セクターである秋田内陸縦貫鉄道線の線路です。これが見えると、列車は同線と接続する角館に到着します[⑤]。同線は角館と鷹ノ巣を結んでいて、IGRいわて銀河鉄道線や青い森鉄道線のように、JRの長距離乗車券との連絡運輸を行っているのであれば、ここからそれに乗ってみるのも悪くはないと思っていましたが・・・。

 13:35に到着するのは大曲です。そしてここでは、新幹線(一応)では唯一の進行方向の転換が行われ、これまでは最後尾であったグリーン車が、大曲〜秋田間では先頭となります。”逆向き運転”は大曲〜秋田間のみであるため、座席を回転させない人も多い(上り列車では、秋田発の時点で最初から座席が逆向きにセットしてある)ようですが、前後の人が回転させてくれたため、私も向きを変えられました[⑥]

 神宮寺〜峰吉川間では、狭軌と標準軌が同じ軌道を使用する三線軌条が見られます[⑦]。この区間では、こまち号が走行する複線の標準軌が敷設され、そのうちの一方に在来線用の線路が追加されています。北海道新幹線が開業する際、「新幹線と貨物列車が同じ線路を走る!」ということで、この三線軌条がだいぶ話題になりましたが、実はそれよりも遥かに早くに、三線軌条は既に出現していました。

 羽越本線の線路が車窓に現れると、列車はまもなく終点の秋田に着きます[⑧]。こまち3号(大宮〜田沢湖)は普通車指定席にし、こまち13号(田沢湖〜秋田)でグリーン車にしたのは、後者ならば、最も安い区分のグリーン料金で乗れる(営業キロ87.2kmにつき、100kmまでの料金を適用)からでしたが、1030円のグリーン料金で約1時間乗ることができたのですから、”コスパ”はまずまずでしたね[⑩]



















 次に乗るのは、秋田14:17発の快速リゾートしらかみ5号です[①]。リゾートしらかみ号は、最大で1日に3往復が運転され、5号は、秋田発の最終列車となります。五能線経由ということで所要時間も非常に長く、終点の青森着は19:14です。

 リゾートしらかみ号で使用される車両としては、HB-E300系の「青池」・「ぶな(木へんに無)」編成、そしてキハ40系の「くまげら」編成があり、今日のリゾートしらかみ5号には、くまげら編成が割り当てられていました[②]。そういえば、思い出してみると、4年前の1月に北東北を旅したときにリゾートしらかみ2号に乗っていますが、そのときもこの編成でした。

 指定席券のみで乗れる快速列車ですが、特急型車両と同等のリクライニングシートが配置されています[③]。ただし、布や紙による座席カバーはなく、そこだけ革にして髪の毛が付着しないようにしてあります。座席そのものは平凡ですが、注目すべきはその配置間隔で、特急や新幹線のグリーン車(1160mmが標準)をも上回る、1200mmという数値を誇っています[④]。足元があまりにも広すぎて落ち着きません・・・。

 まだ連休前の平日、そして五能線沿線の観光に出かけるには遅すぎる時間帯(秋田14:17発)ということもあり、列車はガラガラでした[⑤]。「今日は5号の運転は必要ないのでは」と思いつつも、こうして運転日に設定されていたからこそ私は乗れているわけで、大いに感謝しなければなりません。リゾートしらかみ号は臨時の観光列車ですが、平日にもガンガン運転することは、その特徴のひとつです。

 追分〜八郎潟間の開けた区間に入ると、車窓に標高355mの寒風山が出現します[⑥]。私は特に気にかけていませんでしたが、注目すべき車窓のひとつであるとされているようで、車掌による案内放送も流れました。というわけでこの写真をパチリと。

 リゾートしらかみ号では、運転台の後ろに展望スペースが設けられています[⑦]。それこそ人気のありそうな場所ですが、他には誰もいませんでした。そして、しばらくここで全面展望を楽しんでいると、向こうから特急つがる4号がやってきました[⑧]。秋田と青森という主要都市同士を結ぶ列車ですが、1日に3往復しか運転されません。秋田〜青森間の移動需要はあまりないのでしょうか?

 15:06に東能代に到着しました[⑨]。ホームにある発車標では、きちんと「五能経由」の4文字が付加されていて、利用客に”普通の”青森行きではないことを伝えています[⑩]。16:25発の奥羽本線経由の青森行き普通列車は、リゾートしらかみ5号より1時間以上も遅く東能代を発ちますが、青森には19:01に到着し、むしろ早く到着します。ゆえに、普通の青森行きの快速だと思ってリゾートしらかみ5号に誤乗すると・・・。

 7分間の停車の後、15:13に列車は東能代を出ます。そもそもなぜ7分も停まったのか、といえば、それは東能代で列車の進行方向が変わるためでした[⑫]。こまち号で秋田に来て、そしてリゾートしらかみ号に乗り換えるという流れをとる観光客も多いかと思いますが、その場合、彼らは(今まさに自分もですが)、2列車連続で「スイッチバック」を体験することになります。

 そして15:18に下車駅の能代に到着[⑬]。私以外にもここで降りる人が結構いたので、秋田〜能代間の非観光用途での需要もあるようです。一方、能代市は「バスケットボールの街」として知られていて、ホームにも本物のゴールがあり、リゾートしらかみ1号・3号では、シュートを決めて景品を貰おうというイベントが実施されるのですが、5号では行われず、列車はすぐに発車します[⑭]。ううむ、ますます”寂しさ満点”の5号です。












 五能線の能代駅にやってきました。方角の「東」がつく東能代、そして本家の能代と、ここまでは順当ですが、次の駅は「向」が接頭語として付く向能代です[①]。「向」がつく駅自体は珍しくありませんが、それが接頭語として使われている駅は、他には阿武隈急行線に向瀬上(むかいせのうえ)があるくらいでしょうか。ちなみに、向能代の次は北能代となっています。

 やたらと広大なロータリーが印象深い駅前ですが[②]、この駅は、幹線である奥羽本線から外れたところの駅であるため、利便性としてはイマイチです。現に、奥羽本線の東能代駅は、市街地からは離れた街外れにありますが、利用者はそちらの方が多くなっています。車などで東能代へ行き、そこから列車に乗るという人も多いのでしょう。

 特にやることもないので、とりあえず大通りまで来てみました[④]。道路の両側に商店や住宅が隙間なく並んでいて、なるほどたしかに街だなと思わされます。そしてこの大通りですが、ロータリーに繋がる交差点を境に、片側2車線となる鰺ヶ沢方面(先ほどの写真)には、特に樹木等はありませんが、片側1車線となる東能代方面では、歩道にたくさんのイチョウが植樹されていて、見事なイチョウ並木を形成しています[⑤]

 まだ緑色のままの部分も多いですが、季節が季節だけに、それらのイチョウはだいぶ色づいてきていました[⑥]。また、一部のイチョウは成熟が速く、全体が既に真っ黄色に染まり上がっているものもありました[⑦]。楽しめる時期が相当に限定されてしまいますが、もし秋に能代駅を訪れることがあれば、駅からちょっと足を延ばして(350mくらい)、このイチョウ並木の眺めを楽しんではいかがでしょうか。


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