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 茂辺地駅にやってきました[①]。北斗星広場に来るときはタクシーを利用してしまいましたが、「茂辺地にある」というそもそも立地的不便さこそあるものの、広場自体は、茂辺地駅から徒歩3分程度という近さのところにあるため、帰りは列車を利用しましょう。

 駅周辺は「閑静な住宅街」という様相ですが、沿線人口が少ない上磯〜木古内間の途中駅としては、茂辺地は、これでも「周辺が一番発展している駅」となります[②]。Google Earthで見て分かったことではありますが、海に近すぎて市街地ができにくいという事情があるとはいえ、他の途中駅は、「これではあの本数も納得だわ」という程度の街並みにしかなっていません。

 駅舎内には、北斗星号の保存が実現したことを知らせるポスターがありました[③]。このことがどの程度市民に広まっているのかは分かりませんが、少なくとも、タクシーの運転手には「茂辺地の北斗星まで」で通じて、特に案内をしなくても、茂辺地駅ではなく北斗軒の前まで連れて行ってくれましたので、「知る人ぞ知る」という具合ではないようです。

 駅を跨ぐ自由通路も兼ねた跨線橋が、2面3線のホームを結んでいます[④]。特に冬場は、ホームに出て列車を待っているというのも大変ですから、跨線橋の中で待つのもアリでしょう。せいぜい1両〜3両の気動車列車が、1日に9往復走るだけの区間(上磯〜木古内)としては、線路がやたらと重厚な造りに見えますが、JR北海道からの経営分離後も、ここには、重量級の貨物列車が多数往来しています[⑤]












 木古内行きの列車がやってきました[①]。キハ40形1両編成ですが、「ながまれ号」と呼ばれる団体用の車両が充てられていて、その外観は、普通のキハ40形とは大きく異なります。しかし、その奇抜な外観とは裏腹に、地元住民の応援メッセージを書いたシールがあったり、団体運用時に置くテーブルを固定するための金具があったりしたこと以外は、車内は、普通のキハ40形とほぼ同じでした。

 五稜郭〜上磯間は、特にこれという面白い車窓はない道南いさりび鉄道線ですが、上磯〜木古内間では、素晴らしい絶景に出会うことができます。それは、この雄大な函館湾の眺め[②]。上磯〜木古内間は、海沿いを走る区間が長く、このような絶景をよく見られます。

 私自身は、この区間はもう何度も通過していますが、ここで昼間に函館湾の美しい車窓をじっくりと見たことは、ほとんどありません[③]。というのも、江差線(道南いさりび鉄道線)を通過するときは、そのほとんどが夜行列車への乗車中であったためです。また、北斗星号やカシオペア号の寝台は、江差線内では山側となるため、夜や朝の真っ暗な函館湾を見た記憶すらも、ほとんど残っていません。

 海沿いの区間を通るため、陸地の変化に合わせて、線路も右へ左へと移り変わります[④]。写真のように、道南いさりび鉄道線は電化されていますが、全ての列車がキハ40形で運転されているため、この電化設備は、ここを通過する貨物列車のために残されているようなものです。江差線時代も、特急列車は電車(789系・485系)でしたが、普通列車は全て気動車(キハ40形)でした。

 茂辺地駅では切符を買うことができない(自動券売機はなし。平日・土曜の7:30〜13:00は、窓口の営業がありますが、なぜか函館方面の切符しか売らない)ため、運賃は、乗車駅を証明する整理券を取ったうえで、車内で現金で支払います[⑤]。ちなみに、茂辺地〜木古内間の運賃は590円。JR北海道時代は360円だったようなので、約64%の値上げということになります。

 そして列車は終点の木古内に到着しました[⑥]。どうやら、道南いさりび鉄道に移管された後も、北海道の駅特有の「本場の味 サッポロビール」の広告がついた縦型の駅名標は存続しているようです。普通の駅名標を見ると、親切に「北海道新幹線 乗換駅」との文言がある一方、隣の駅は片方にしか書かれておらず、”在来線としての海峡線”が、実質的に消滅していることを感じさせます[⑦]



















 今回乗車したキハ40形は、「ながまれ号」なる団体専用の車両でした[②] [③]。”専用”とは言っても、9両しか車両を保有しない道南いさりび鉄道が、その9両の中で、本当に一般列車には充当できない特別な車両を持つわけにもいかないので、平時には、このように普通の列車でも運用されています。ただ、それが逆に「一般の車両と大差ない内装」という縛りを加える要因になっていますが。

 在来線のホームを見て、私はやや不思議に思いました[④]。「かつて本州〜北海道を結ぶ大動脈・江差線の駅として機能し、特急列車も停車していた駅にしては、あまりにもホームが情けなさすぎやしないか(屋根はほぼないし、ホームの長さは短いし、幅は狭すぎるし)」と。そして後日、私は、特急列車等が使うホームは別にあって、それは新幹線の開業によって既に撤去されたということを知りました。

 今も昔も、木古内は主要な駅であることには変わりありません。しかし、道南いさりび鉄道としては、徹底的に省力化を行っているようで、木古内ですら窓口は置いていないようです[⑤]。一応、木古内発着の「定期券」だけは、JRの窓口で販売しているようですが・・・。道南いさりび鉄道直轄の窓口は、函館の”本社社屋”にしかなく、各駅にはひとつたりともありません。

 次の列車まで少し時間があるので、駅の外に出てみましょう。まずは在来線側の南口から[⑦]。新幹線の構造物自体と一体化し、なかなか立派な新幹線側(北口)と比べると、駅舎はやや小ぶりでおとなしめ(それでも、新幹線の開業に合わせて新築したものなので、三セクの駅の割には豪華)ですが、木古内町の市街地はこちら側にあります[⑧]。郵便局、病院、役場などへは南口から行きます。

 一方、新幹線側(北口)の駅舎はこのような感じ[⑨]。背後に新幹線の高架橋が控えているので、自然と巨大な造りに見えてきます。こちらは市街地側ではないので、街並みとしてはやや寂しいものがありますが、209台分の無料駐車場が整備されています[⑩]。車で木古内駅まで乗り付け、そこから新幹線で遠出するという人も多いことでしょう。

 もはや在来線で本州に戻るということは叶わず、また木古内から船や飛行機に乗れるはずもないので、次は新幹線に乗車して本州へと戻ることにしましょう[⑫]。新幹線木古内駅の開業後約1年間の平均乗車人員は100人程度なので、「自動改札機でなくても何とかなる」数値ですが、まあ、新しく造る新幹線の駅で、今時わざわざ有人改札にすることはさすがにありませんね。ただし通路は2つだけです。

 これから乗車するのは、14:57発の東京行きのはやぶさ26号です[⑬]。新函館北斗〜盛岡間の各列車の停車駅には、多様なパターンがあり、各駅停車はもちろん、いわて沼宮内を除く各駅に停車、木古内・奥津軽いまべつを通過して新青森から各駅に停車など、様々なものがあります。はやぶさ26号は「木古内・奥津軽いまべつに停車して、新青森・八戸のみに停車」というパターンのようです。

 北海道にある新幹線駅ということで、ホームは全面的に屋根で覆われていて、どんなに強烈な吹雪のときでも安心です[⑭]。ご覧のように、通過線が1本しかありませんが、これは上り線用の通過線。隣の奥津軽いまべつも、やはり通過線は1本しか有していませんが、そちらは下り専用のもの。通過待ちを行わせることができる駅が、上下で分散されています。


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