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 まついそ公園出発後、第2の休憩場所を目指します。道幅が広く、3ナンバーの中型セダンでも走りやすい一方で、県土の大半を山が占めている岩手県らしく、非常にアップダウンが激しい道が続きます。長い下り坂が続き、3速〜4速程度で抑速しながら慎重に走るべきときもあれば[①]、車のコーナリング性能を試すかのような急カーブが現れるときもあります[②]

 なかなか衝撃的だったのは、もはやジェットコースターとも言うべきこの道[③]。勢いよく下ったかと思えば、その先にはすぐに上り坂があります。気を抜いて普通の惰性走行をさせると見る見るうちに速度が上がるため、違反レベルに達しないように速度を抑えつつ、上り坂に差し掛かったときは、後ろの車が詰まらないように、しっかりとアクセルを踏んで速度の維持に努めます。

 そして私は第2の休憩スポットに到着しました[④]。休憩スポットといっても、Google Earthの空撮画像からでも分かるほど広いところでもなければ、Google マップに施設名が出るような場所でもなく、道路の脇に簡単な舗装地が整えられた程度のものなので、発見には苦労しました[⑤](もう1か所休憩場所が欲しいと考え、「何かないか」と思いながらストリートビューを見ていたら発見)。

 いま私が走っているところは、「しもへいグリーンロード」なる道です[⑥]。休憩スポットに立っていた解説の看板曰く、この道は「農道」とのことですが、ここまで走ってきた限り、我々が農道と聞いて一般的に想像するようなものとは、明らかに違いましたね[⑦]

 本州に戻ってきたということもあってか、昨日北海道で見た紅葉と比べると、全体的に落葉の速度は遅いようで、まだそれなりに色づいたものが残っています[⑧]。道路からだいぶ離れたところに生えている木々も多いですが[⑨]、運転中でも十分視界に入るような近いところに生えるものもあり、そのスリリングな構成の道路とも相まって、なかなか楽しいドライブです[⑩]

 今回使用している車、マークX[⑪]。この個体、どうやらこれでもかと装備を省いた最廉価グレードのようで、パワーシートなし、プッシュスタートなし(今時鍵を刺して回すなんて)、ステアリングの革巻きなし、寒冷地配備なのにリアワイパーなし・フォグランプなしなど、結構幻滅しました(軽自動車を借りて最廉価グレードならともかく、マークXクラスを借りて最廉価グレードって・・・)。












 全長1500mほどの袋森トンネルを駆け抜けます[①]。徹底的に装備を省いた最廉価グレードではありますが、オートライトはさすがについていて、トンネルのような暗所に入ると、自動的にヘッドライトが点灯しました。

 ここまで、綺麗に整備された走りやすい道路が続いてきましたが、途中、工事中のために未舗装となっている区間がありました[②]。車体全体が大きく振動するような悪路で、クリープに毛が生えた程度の速さで走るほかありませんでした。レンタカーである手前、豪快に突っ切った結果石を跳ね、車体に傷をつけて余計な費用がかかった・・・なんてしたくもないですしね。

 右に左にうねる道[③]。こういった形状の道を、速度制限いっぱいくらいの速さを維持しながらでも安定して走り続けられるのは、やはり重心の低いセダンで、また前後・左右に長い(4750mmと1795mm)3ナンバーのマークXだからというところでしょうか。

 本当はこのまま目的地(龍泉洞)まで通して走るつもりでしたが、その途中で、素晴らしい絶景を眺められそうで、かつ駐車ができそうな場所が設けられているところを見つけたため、急遽そこに立ち寄ることにしました[④]。さあ、その絶景とは・・・?

 こちらです[⑤]。目の前に広がるその一面に紅葉を湛えた山と、それを横目にループしながら下っていく道路。紅葉の全盛期を過ぎてしまい、ただの枯れ木となってしまったものも少なくないのが残念ですが、もしちょうど見頃のときに訪れることができていたら、いったいどれほどの息をのむ光景が見られたことでしょうか[⑥]

 旅をする中で日本全国どこに行っても、だいたい必要最低限の利便性はありますし、コンビニに駆け込めばだいたい地元の店舗と同じものが食べられますから、どのあたりに「旅先らしさ」「非日常感」を見出すのかと問題があります。日本国内であり、言葉もそのまま通じる以上、それはやはり「その土地だからこその景色を見ること」に尽きるような気がします[⑦]



















 もはや未乗車の路線の制覇に執着しなくても良いため、今回の旅は、全体的に”余裕”があります。そのため、田沢湖を訪れたり、大沼公園を訪れたりしてきたわけですが、岩手のこの辺りに来たとなれば、やはり龍泉洞を見学せずに帰ることはできません。そこで、今日は、ブルートレイン日本海に行く前に、龍泉洞を訪れることにしていました[①]

 入場料は1000円ですが、その1000円で、龍泉洞の入場券と龍泉新洞科学館の入場券の両方を受領できます。しかし、今回は時間がないため、龍泉洞のみを見学していくこととします[②]。驚くべきことに、どちらの入場券も有効期間がないため、後日に行使することも可能とのこと(が、また岩泉に来ることなんてあるのか・・・?)。さあ、それでは龍泉洞の中に入りましょう[③]

 噂通りに澄んだ綺麗な水ですが、実は、台風21号による増水等のため、龍泉洞は、10月23日の午後からしばらくのあいだ閉鎖していました[④]。数日間閉鎖が続き、その後営業を再開したものの、「水の透明度が落ち、濁っています」とのお知らせが出ていました。これが透明度が完全に回復した姿なのかは分かりませんが、並みの水でないことはたしかです。

 洞内を歩いていると、しばしば何かが頭上を飛行する場面を目撃することになります。その正体はコウモリです[⑤]。暗く、人気(ひとけ)もあまりない龍泉洞は、コウモリにとっては格好の住処であり、現在5種類のコウモリがここに生息しているとのこと。特殊な能力で自在に飛べるのは分かるのですが、とはいえ狭い龍泉洞内。コウモリにぶつかりそうになり、思わず頭を下げることもありました。

 観光地として整備されているとはいえ、ここはあくまでも天然の鍾乳洞であるため、極力その自然な状態を維持するようにされています。道はお世辞にも広いとは言えないですし、頭上からは常時水が垂れ落ちてくるため、その直撃を避けるためのプラ板も設置されています[⑥]。でも、この「探検している感」って、やっぱりワクワクしてくるものがありますよね。

 第1地底湖へ繋がる階段にやってきました[⑧]。龍泉洞内の大きなアップダウンは階段によって結ばれますが、どうにもこうにも暗く、また滲み出してくる水と高湿度によって床面は常時濡れているとともに、1段1段の面積が狭いため、階段の上り下りには危険が伴います。しかし、その先にある地底湖の光景は、龍泉洞の象徴であるとともに、遥々ここまで来た甲斐のある美しさを持っています[⑨]

 今、「高湿度」と言いましたが、外界から隔離された洞窟となる龍泉洞は、常に高湿度に保たれています。その値は実に91.2%[⑩]。気温は10.5度と平凡なものですが、岩泉に行くということで、一応それなりの防寒装備をし、そのうえでの湿度91.2%なので、梅雨に匹敵するこのジメジメっぷりにより、ハッキリ言って見学中はかなり暑かったです(見学中は結構動き回るので)。

 順路通りに進むと、この先は展望台に導かれます。そこで階段を上り下りするわけですが、その上りは165段、下りは107段で計272段と、結構大変な道のりです[⑪]。龍泉洞の中に何とかして階段を設けているため、先ほどと同様に1段当たりの面積は狭く、そして傾斜が急であるため、半ば運動をしている気分になります[⑫]。また、やはり足場が濡れているため、特に下りのときは、滑る恐怖も伴います。

 地底湖、先ほど通った通路、そして長年の歳月が織り成した特徴的な岩面[⑬]。何の装飾をしなくとも美しいですが、その照明に青色の光を選んだことは、龍泉洞が持つ神秘的な雰囲気を引き出すために一役買っているように思います。

 見学を終えて外に出ると、辺りはすっかり暗くなっていました[⑭](長秒露光)。さて、例の場所に向かいましょうか。


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