◆11月2日◆
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 日付は変わって11月2日。旅の2日目と相成りましたが、1日目が実質的に”何もしていない”日なので、むしろ今日こそを1日目として取り扱っても不都合はありません。というか、その方がなんだか内心的にはスッキリしそうです。

 ただいまの時刻は5:31。私は馬喰町駅の改札前にやってきています[①]。昨晩泊まったトレインホステル北斗星は、駅出口のすぐ脇にあるというこの上ない好立地であるため、「宿から駅への移動時間」を考慮する必要はほとんどありません。このような早朝ともなると、やはり起床するにも気合が必要ですが、せいぜい5〜10分程度ではあるものの、”移動時間”の分だけ遅く起きることができます。

 東京のど真ん中、しかも平日は木曜日。とはいえ、さすがに5時台から動き始める人は多くなく、駅構内も閑散としています[②] [③]。この後、何人かの人がここを通りましたが、皆改札に入ることはなく、駅構内を自由通路代わりとして、反対側へと行ってしまいました。

 「あの!寝台列車北斗星が、宿として蘇りました![④]。改札口前の壁に、トレインホステル北斗星の宣伝広告がありました。いわゆる列車ホテルと比較すると、本物の車両そのものではないので、”再現度”は劣らざるを得ませんが、自分の区画でWi-Fiが利用できたり、コンビニがすぐそこにあったりと、「宿」にあるべき利便性では勝っている、というところだったように思います。

 さて、そろそろ列車に乗りに行きましょうか。これから乗るのは、5:40発の横須賀行きです[⑤]。自宅を普通に出発したのでは間に合わないような早い時間帯の列車特有の「変わった行き先」や「日中にはない種別」ではありませんが、東京行きと久里浜行きが大勢を占める中で、横須賀行きはそれほど多くは設定されていないようで、ちょっとは珍しいようです。

 改札を通った後、ホームに辿り着くためには、上野駅の新幹線ホームに向かうときを思わせるような長いエスカレーターを下る必要があります[⑥]。総武快速線は東京〜錦糸町間において地下区間を通過し、馬喰町駅の位置も、当然マイナス海抜です。実際、馬喰町駅は、かつて国鉄・JRの駅で一番「低い駅」だったこともあります。その深さは、このエスカレーターを通じてよく伝わってきます。

 ホームに降り立って耳に入る、小川のせせらぎのような音。その発信源を突き止めると、雨でもないのに、ましてや屋外でもないのに、たくさんの水が絶え間なく流出していました[⑦]。よく知られているように、総武快速線の地下区間では大量の地下水が湧き出していて、それらは専用の導管によって品川区の立会川に排出されている・・・のですが、これは導管で処理しきれない分が溢れ出ているということでしょうか?












 5:40発の横須賀行きがやってきました[①]。先ほど、随分と閑散としている改札口をご紹介しましたが、いざホームに降りてみると、それなりの人がこの列車を待っていました。馬喰町駅では、上の欄でご覧いただいた改札口(東口)以外にも、もうひとつ改札口(西口)があるので、そちらは人の出入りがあったのかもしれません。

 列車は5:45に東京に到着します[②]。多くの人が降りていきましたが、その中には、東京6:00ちょうど発ののぞみ1号に乗り換える人も多いことでしょう。この後、品川には5:54に到着しますが、やや忙しい乗り換えにはなるものの、そこで品川6:00発ののぞみ99号に乗ることも可能です。いずれにせよ、512Fは、各方面の初発の新幹線に接続する大切な列車でもあります。

 地下区間を走ってきた列車は、品川駅の手前で地上に上がります[③]。11月ともなると、やはり日の出も遅くなっていて、6:00前という時間帯では、空がまだ明るくなりきっていません。今はまだ眠りに就いている品川の街ですが、この後8時台になると大変なことに・・・(就職活動のときにラッシュの品川駅の実情を知りました)。

 さて、今回は実はグリーン車に乗車しています。私の記憶が正しければ、E217系のグリーン車に最後に乗車したのは、2008年4月であり、「9年半も乗っていないのだから久々に」とグリーン車を選びました。普通車は馬喰町の時点でもかなり乗っていて、「グリーン車を選んだのは正解だった」と思ったものでしたが、グリーン車の客は徐々に減り、西大井で5号車の2階席は皆出払ってしまいました[④]

 青空に飛行機雲を描き、一路上昇する航空機[⑤]。今日はこの後北東北に向かっていきますが、東京対北東北では、盛岡は言うまでもなく、秋田と青森も、今は鉄道がかなり優勢というところでしょうか。ただ、東北新幹線はいい加減乗り飽きてきており、最近は「不便と分かっていても、たまには飛行機でも使おうかな・・・」と思っています。まあ、今回は結局新幹線になりますが。

 1分、また1分と空は明るさを取り戻し、6:10頃には、ビルの合間から眩しい朝陽が現れました[⑥]。まさにオレンジという色合いのその光は、独り占め状態のグリーン車を神秘的な空間に仕立て上げてくれました。と同時に、昨晩は例の事件に伴い、体が警戒状態に突入し、1時間と眠ることができなかったのですが、その眠気を取り払う清涼剤にもなりました。

 そして6:16に横浜に到着[⑦]。私はここで下車し、次の列車に乗り換えます。












 私が乗車していた横須賀行きが到着すると、その後すぐに隣の10番線に6:17発の君津行きがやってきました。そして吐き出される多くの人、乗り込んでいく多くの人[①]。3連休が控えてはいますが、今日は2日であり、ただの木曜日で平日です。お盆や年末年始の平日ではありません。世の中は普通の平日として動いているのに、こんな場違いな格好と気分をした人間が、こんな時間帯に横浜駅にいていいものやら!?

 各ホームでは、既に通勤ラッシュの本格化に向けての前哨戦が始まっていましたが、駅前に出てみると、ホームの喧騒とはまるで無縁のような、実に平和でおとなしい世界が広がっていました[②]。ホームで目撃したあれだけの人たちは、ある路線から別の路線に乗り換えるために横浜駅に降り立った人たちで、改札外から乗りに来る人はまだあまりいないということなのかもしれません。

 横浜といえば高島屋(なのかは知らない)。この2017年は、日本プロ野球では、セ・リーグ3位のDeNAが日本シリーズに進出しましたが、そのような出来事が起これば、地元の百貨店が見逃さないはずはありません。駅を出てすぐそこにある高島屋でも、”応援セール”が開催されていました[③]。そのミソは”応援セール”と銘打ってあることで、決して”優勝”ではないわけですね。

 事前に確認した天気予報によると、今日の北東北の天気はすぐれないとのことでした。今、横浜の空を見上げてみると、見ていて気持ちの良い秋晴れです[④]。天気の悪いところから良いところに抜けていくときは良い気分になりますが、あえてわざわざ天気の悪いところに向かっていくのだと思うと、あまり良い気分にはなりません。冬なら雪が期待できますが、11月上旬ではさすがに雨でしょうし・・・。

 相も変わらず、横浜駅は工事中です[⑤]。「現在」でもなく、「このときは」でもなく、「相も変わらず」。1928年に現在の場所での営業を開始して以来、横浜駅で工事の槌音が途絶えたことはありません。いつもどこかで何らかの工事が行われていて、そしてついたあだ名は「日本のサグラダ・ファミリア」。もしかしたら私が生きているうちの完工すらもあり得ないかもしれません。

 さて、次に乗る列車はというと・・・、これです[⑥]。6:39発の東北本線直通の宇都宮行き。まだ6時台半ばであるにも関わらず積み残しが起ころうとしているその列車に、登山にも使われる大型のリュックを持って勇猛果敢に突撃・・・はしません。「寝台列車」をテーマに掲げたこの旅行において、なぜわざわざ横浜にまで足を運んだのか? その答えはもう明らかですね。次の列車は、東京行きのサンライズ瀬戸・出雲号です。

 とはいえ、横浜から上りのサンライズ瀬戸・出雲号に乗るなどというのは酔狂中の酔狂で、JR東日本としてもそのような想定はなく、列車がやってくる7番線には、サンライズ瀬戸・出雲号の乗車位置案内がありません[⑦]。今回は当然ノビノビ座席であり、出雲の方に乗るため、5号車に乗車することになりますが、先ほどの宇都宮行きの停車位置を参考に、5号車が来る場所を適当に予想しなければなりません。


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