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※各画像はクリックすると拡大します。



















 弘前駅です。奥羽本線における主要駅というだけあって、駅構内には側線があり、そこには701系が留置されていました[①]。と、これは特に語るべきことはない日常の光景ですが・・・、おや、その側線の向こう側に、今や貴重なED75形が見えるではありませんか[②]。その隣にはDE10形も。ED75形を使う臨時・団体列車の情報は聞いていませんが、工事列車の運転でもあったのでしょうか。

 実は、弘前駅は明後日も訪れることになっています。そこで、市街地に面する側の中央口は明後日に出て、今日はそれとは反対側の城東口に出てみました[③]。駅舎の向こうには、背の高い建物やホテルが見えています。一方、城東口はというと、一軒家が多数連なる住宅街が広がっていて、普段であれば、いわゆる「閑静な住宅街」なのでしょう[④]。もっとも、今日はそうでもなかったわけですが。

 城東口のすぐ近くにある広場が騒がしかったので、「今日は何かの祭りが行われているらしいな」などと思っていたところ、「JR東日本弘前運輸区一般公開」と書かれた立て看板が目に入りました[⑤]。なるほど、どうも賑わっているなと思ったら、これがその正体でしたか。そして同時に、先ほどのED75形の存在にも合点がいきました。なるほど、これのために呼んできたのか、と。

 このような祭りがあることは把握しておらず、当然、訪れる予定にもなっていませんでしたが、「さっきのED75形に会えるはず」との期待を抱いたため、駅周辺を適当にぶらついて時間を潰すのではなく、急遽弘前運輸区に行くことにしました[⑥]。「実は事前予約制でした、なんてオチがあったりして」という不安もあったのですが、飛び入り参加も歓迎されました。

 単に車両を展示しているだけではなく、本当はもっと様々なコンテンツがあるらしいのですが、時間もないので、とりあえずすぐにED75形のもとへ向かいました[⑧]。鉄道好き歴も長い私ですが、物心がついたときには、既にED75形の旅客列車での定期運用はなく、また、地元付近は貨物でも運用エリア外であったため、ED75形をまともに目にしたのは、今回が初めてです。

 交流専用機ということもあってか、直流専用機や交直両用機よりも全長が短く、”中身が詰まっている”ように見えるのが、ED75形ひいては交流専用機の外見的特徴です[⑨]。これに12系などを牽引させるイベント列車を走らせれば、相当な騒ぎになりそうですが、良くも悪くも「交流専用機」であることで、関東には入線できないので、上野や大宮で大騒動・・・とはならずに済みそうです。

 車両基地での静態展示とはいえ、ED75形がやってくるので、さぞかし多くの鉄道ファンに撮られているのだろう・・・と思ったら、案外さほどでもなく、人が映り込まない写真も簡単に撮れました[⑩]。弘前運輸区を訪れている人たちを観察してみると、今日はどうも子供が多いようでした。まあ、それに、失礼ながら「弘前」ですから、来る人の数もたかが知れています。

 その隣ではDE10形が展示されています[⑪] [⑫]。元々入換専用機として開発されたという経緯もあり、外からでは分かりにくいですが、運転台が横向きについているという構造をしています。短時間で進行方向が変わるような使い方をするときには便利でしょうが、あけぼの号の迂回運転時など、旅客列車の牽引で使用するときには、それでは機関士が辛そうです。

 本当はもう少しじっくりと見て回りたいところですが、何せこの公開イベントがあるという前提で旅程を組んでいないため、15分と居られないうちにタイムアップ。ここから更に奥羽本線を北進しますが、次に乗るのは、快速リゾートしらかみ1号です[⑬]












 12:53発の快速リゾートしらかみ1号に乗車して新青森を目指します。なぜ終点の青森ではなく、ひとつ手前の新青森で降りる?という疑問が当然出てくることかと思いますが、その答えは下の段にて明らかになります。

 車両はHB-E300系のブナ(木へんに無)編成でした[①]。五能線とは2つ先の川部で接続しているため、リゾートしらかみ号は、弘前で方向転換を行います。快速列車という立場もあってか、各座席の白い布カバーはかけられていませんが、その代わり、背もたれの上部には「RESORT HYBRID」のロゴが入った革製のミニ枕がついていて、むしろ普通の座席よりも豪華仕様です[②]

 5分後の12:58に青森行きの普通列車がありますが、520円の指定席料金を払うだけでリゾートしらかみ号の空間を手に入れられるため、その普通列車に乗る理由はありません。また、今回は訳あって、新青森まで急いでいるのですが、普通列車が新青森まで42分かかるのに対して、リゾートしらかみ1号は29分で走り抜けるので、その速さが必要だったというのも、ここでリゾートしらかみ号に乗車する理由です。

 撫牛子〜川部間などでは、進行方向左手に名峰岩木山を望むことができますが・・・、今日の見栄えはちょっとイマイチでしたね[③]。山頂付近に雲がかかってしまっています。今は、雪があるのはまだ山頂だけ(この写真を見る限り、山頂にも雪はないように見えますが)ですが、冬になれば、上から下まで雪化粧し、地上も一面が雪になっていることも相まって、印象的な車窓が見られます。

 列車は川部を通過します[④]。ただし、五能線から川部にやってきたときに既に停車しているため、川部で乗下車したい人も不便はありません。弘前から青森に向かうときにも停車すれば、世にも不思議な「同じ駅に2度停車する列車」として売り出せそうですが、まあ、余計な混乱を招くだけのことでしょう。ちなみに、リゾートしらかみ号は、「1度の運転で3度の方向転換を行う」という売り出し要素があります。

 弘前〜新青森間を無停車で駆け抜けて、列車は13:22に下車駅の新青森に到着しました[⑤]。新幹線との接続駅ということもあり、多くの人が下車した・・・と言いたいところですが、写真の人々は、今降りてきた人たちではなく、実は今から乗る人たちです。今日は新青森13:20着の臨時はやぶさ51号の運転日であり、リゾートしらかみ1号が、青森までの連絡列車として機能しました[⑥]

 ちょうどこのとき、隣には、津軽新城行きの普通列車が停車していましたが、その行き先表示機を見てみると、「新青森・津軽新城」という併記表示になっていました[⑦]。つばさ号の「山形・新庄」もそうですが、終着駅だけでは「この列車は○○駅を通るのか?」という疑問を生じさせかねない場合などに、このような併記が使われることがあります(これにより、その左側の駅を必ず通ることが分かる)。












 新青森駅にやってきました[①]。北海道新幹線の開業によって幾分影が薄くなった、というところかもしれませんが、東北新幹線の八戸や九州新幹線の新八代などとは異なり、今でも新青森を始終着とする列車が結構あるため、”存在感”は健在です。

 さて、ここからはバスに乗ります[②]。リゾートしらかみ1号を青森まで乗り通さなかったのは、青森まで行くとちょうど良い具合のバスがなく(13:29着/13:10発、14:50発)、この先の旅程が成立しなくなるため、そして「新青森まで急いでいた(ゆえにリゾートしらかみ号に乗った)」のは、これから乗るバスが新青森13:43発であり、新青森13:40着となる普通列車では、乗り換えの成功が疑問視されるためでした。

 そしてバスに揺られて辿り着いたのはここ[③]。ご覧ください、その名は「津軽海峡フェリーターミナル」です。今日はこの後、北海道(函館)に行くことになっていますが、今回、私は、渡道の手段として、新幹線ではなくフェリーを選びました。

 知っての通り、この旅は、「かつての寝台(夜行)列車たちとの再会」をテーマに据えていますが、残念ながら、その経由地等の都合上、今日はこれといった”寝台列車要素”には出会えません。そこで、「それならば、青森〜函館間でフェリーに乗り、懐かしの青函連絡船(もどき)=昔の時代=寝台列車の時代、ということにしてはどうか?」と。このフェリーという選択は、そのような苦肉の思考から生まれました。

 乗船受付の締め切りも近かったので、さっさと船内に乗り込みました。津軽海峡フェリーが青森〜函館間に就航させる4種類の船舶のうち、今回は「ブルーマーメイド」なる船種に当たり、スタンダード・ビューシート・コンフォート・スイートの中から、私はビューシートを選択しました。リクライニングシートが大量に並び[④]、それが正面の窓を向いていることで海が見える、というのが、名前の由来にしてウリです[⑤]

 ちなみに、今回の運賃は2480円(ネット割引)と、実に安価でした。青森駅・新青森駅〜青森港のバス代(200円)と函館港〜函館駅のバス代(310円)を加算しても、青森〜函館間を2990円(ビューシート)で移動できることになります。一方、鉄道の場合、青森〜函館間は、乗車券3570円+新幹線特急料金3930円(座席指定なしの特定の場合)となり、その合計金額は7500円です。

 なるほど、フェリーは割引料金を持ち出しているのに、鉄道は通常料金を持ち出しているのは不公平だ、とも思いましたが、仮にえきねっとのトクだ値40を使ったとしても、新青森〜新函館北斗間は合計4350円(通常期)。また、トクだ値は、新幹線駅→新幹線駅の乗車券しか買えないため、この場合、別途青森〜新青森(190円)と新函館北斗〜函館(360円)の乗車券が必要になります。つまり合計4900円。

 ・・・というお話にならない具合なので、今回フェリーを選んだことにより、実際に旅費も節約されています。そして、北海道新幹線のあまりの高値に嫌気が差しているのか、実はフェリーの利用客は増加傾向にあります。新幹線の開業による”函館フィーバー”を考慮する必要はありますが、青森〜函館間で1年度にフェリーを利用した人の数は、2015年度の558000人から、2016年度は576000人に増加したとのことです。

 係留用のロープが切り離されると、まもなく出港です[⑥] [⑦]。「秋が、波間に消えていきます。」・・・なんて。


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