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 本殿の方には行けませんが、しかし外周を回ることはできます。仕方がないので、それでお茶を濁すほかありません。出雲の大社は、敷地のいたるところに社があるので、そういう意味では充実しています。本殿と外界を遮るための壁は低く、外を回っていても、中の方に何があるのかはなんとなく分かりますし、桟の隙間から中を窺うこともできなくはないです。

 正直なところ、出雲の大社そのものは「期待しすぎると・・・」というものでしたが、一方で、西方にある祈祷や結婚式などに使われる神楽殿は、長さ約13m・重さ約5.2tがある巨大な注連縄を擁しており、これの見応えは抜群です。しかも、そのようなものを地上に置かずに吊り下げているのですから、なおのこと迫力があります。

 もうまもなく5月になろうという頃、藤の花も見頃を迎えています。いかにも日本的な建築物の数々に、これまた日本的な可憐さのある藤の花、そして大きく揺らめく日章旗。”洋服”で来ていることが場違いなのではないかとすら思ってしまうようなこの空間は、なるほどたしかに行ってみる価値はあるのだろうと思います。

 「公衆有線」なるシールが貼られた、電話ボックスのようなそうでないようなもの。これは早い話が、地域内限定で使用できる電話システムのようなものですが、NTTの固定電話はおろか携帯電話全盛期の今となっては、これを使う人もそういるわけではないようで、電話機の汚れぶりはなかなかのものです(結局、旧大社町で展開される「大社ご縁ネット」も、2023年3月末で廃止)。




         







 出雲の大社を後にして日御碕灯台へと向かいます。夕方こそ1時間に1本程度はあるようですが、観光に向いた日中の本数はいかんともしがたく、バスの時刻にうまく合わせに行くのには難儀しました。それならレンタカーを借りれば・・・ではあるのですが、せっかく新幹線&やくも早特3でかなり安上がりな旅程が作れそうだった手前、「どうせならなるだけ安く・・・」という思いが勝りました。

 バスは海沿いを進んでゆきます。バスは普通の路線バスサイズですが、くねくねとした道も難なく走り抜けてゆきます。途中には放棄された旧トンネルらしきものがありましたが(笹子隧道)、調べてみると、これは中での離合が難しいサイズだったようで、現在はこれに変わる新しいトンネル(新笹子隧道)が掘られ、バスもそちらを通っています。

 出雲の大社のバス停からは30分弱ほどで日御碕灯台のバス停に着きます。ちなみにですが、新幹線&やくも早特3のオプションとなる松江・出雲ミニぐるりんパスでは、JR線のみならず、日御碕灯台までのバス(一畑バス)も乗り降り自由となっています。




                           















 灯台があるようなところなので、ある程度”最果て”ではあるはずですが、とはいえここもれっきとした観光地。飲み食いするためのお店もあります。ということで、14:00ごろの少し遅い時間になってしまいましたが、ここで「タツザワミサキカフェ」にて昼食と行きましょう。目当てにしていた海鮮丼が既に出払っていたので、やむを得ずカレーと相成る・・・。

 昼食後、日御碕灯台の方へ。穢れのない白一色で仕上げられた伸びやかな肢体が、空に向かって真っすぐと伸び、その頂上にあるランプが、眼下に広がる日本海を見張ります。私は特別に灯台マニアというわけではありませんが、しかし良いものは良いと分かりますし、カッコイイものはカッコイイと分かります。その立ち姿は、まさに白亜の美。塔高43.65mは、1903年の完成時からずっと日本一です。

 日御碕は柱状節理による奇岩が見られる場所でもあり、その見どころは灯台だけではないと言えます。もちろん、紺碧の海もそうですね。出雲の大社まで来たら日御碕まで足を延ばした方が・・・と私は思いますが、公共交通機関だけでは少々面倒であることは事実。でも、行ってみれば、その苦労を補って余りあるリターンも得られます。


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