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 宍道駅に辿り着きました。名前の通り、宍道湖に最も違い駅ではありますが、今回の目的はそれではありません。今回ここで降りた目的は、駅から歩いて5分ほどのところにある「八雲本陣」です。まあ、身も蓋もないことを言えば、本当にここを目的としていたというよりかは、次に乗るのが木次線で、それまでの時間潰しとして行くのですが・・・。

 八雲本陣は「旧木幡家住宅」とも呼ばれ、数々の有名人も訪れたとされる旧家です。こういったものを品評する能力は皆無(笑)ですが、ただひとつたしかなことは、1LDKのマンションに住んでいるだけの身からすると、とにかくその広さに驚かされます。殊に住まいという種類においては、豪華とか贅沢とかいうのは、機能として優れているときよりも、やはり”広さ”があるときに具現化される気がします。

 昔ながらの日本庭園も残されているその空間は、若人(20代後半に差し掛かっていますが!)の行く観光地としては幾分地味なのですが、それでも最近はこういうところに足を運ぶことも増えてきました。以前は、観光といえば、風光明媚な景色や展望台のようなところばかりを追い求めていましたが、少しずつ嗜好が変わってきたのかもしれません。

 ここに限らないと思いますが、観光地化される以前はひとつの住居として使われていたわけで、時折”やたらと生活臭のする”場面に出くわすこともあります。いくら1733年に建てられたものといっても、電気は来ていますし、水道もありますし、浴槽だってあります。そして洗濯機も・・・(2006年までは旅館としても営業していたとのこと)。




                         














 駆け足で八雲本陣を見学して、宍道駅に戻ってきました。11:27発の備後落合行きに乗ります。ちなみに、今は「松江・出雲ミニぐるりんパス」を使用していますが、山陰本線から分岐する路線という意味では、境線は全区間がフリーエリア内に入っているのに、木次線はなぜか漏れています。よって別途料金を支払って乗ることになります。

 冬季には”冬眠”に入るのが風物詩の木次線ですが、もう少しで5月という頃にあっては、もちろん雪などあるはずもなく、緑が我々を出迎えてくれます。幹線と比べると明らかに不十分な保線状態は、ローカル線にありがちな揺れを伴う旅路を演出します。もちろん、本当は、こういった”悪いこと”を前向きに考えてはいけないのですが(寝台列車が遅れて「長く乗れて良かった」と喜ぶのと同類)。

 各駅に停まりながら辿り着いた出雲大東は、木次線の途中駅としては最も利用客数が多い駅であるとされていて、駅前には、かつて使用されていた腕木式信号機が保存されており、その姿は列車内からも見ることができます。木次線は2001年にCTC化されたということですから、そのときまで使われていたということになるのでしょうか?

 木次も過ぎて、列車はより一層ローカル線感が強まる区間へと進んでゆきます。後ろの窓からを遠くを見ると、線路が陽炎の中に揺れています。夏ではないので、もちろん「暑い」というほどではありませんが、今日は暖かい日となるようです。




                         














 やくも号の中でも藤の花を見ましたが、木次線の中でも目撃することができました。この時点で、ゴールデンウィークに「あしかがフラワーパーク」へ行くことが決まっていたので、その前哨戦?ともなりました。緑を見て、トンネルを抜けて、エンジンを唸らせて・・・と、そこで流れているのは、他でもない”ローカル線の時間”です。

 出雲八代駅の配線に違和感を覚えるのは当然のことで、ここはかつて相対式2面2線であったのが、片一方の線路が引き剥がされたことにより、片側1面1線の構造になってしまったのです。交換設備を廃するということは、それだけ列車本数が少なくなっているということであり、木次線が衰退していっていることが分かってしまいます。

 木次線はローカル線であるため、当然速度を出しにくい場所であることはたしかですが、それでも時折「そこまで遅く走るか?」という区間に当たります。毎度おなじみ、JR西日本のローカル線にはよくある(実は227系がガンガン走る呉線にもありますが)、最高速度を15km/hや25km/hといった極端に抑えている区間です。ある意味、「JR西日本のローカル線にやってきた」と思わせる場面・・・。

 途中の出雲横田では、後ろの車両が切り離されてしまうということで、前の車両に移っておきました。それと同時に、ここは12分ほど停車するので、いったん列車の外に出て深呼吸。JR西日本では、地方部にもラインカラーを導入したため、そういった路線では、そのときに駅名標が新しいものに交換されています。それゆえ、木次線といっても、駅名標は案外ピカピカです。


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