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 大森地区の集落は「大田市大森銀山伝統的建造物群保存地区」に指定されており、銀山によって栄えた街の景観が保持されています。石州瓦を纏う建物が連続する風景は、なるほどたしかに良い意味で「令和とは思えない浮世離れした眺め」を作り出しており、ただただゆっくりと歩いていくだけでも観光になります。

 そういうわけで、大田市内で”町並み保存条例”における”保存地区”として指定されている大森地区では、家の新築はもちろんのこと、増改修や修繕にも市の許可が必要となっており、今ある風景を壊さないための管理がなされています。その一方で、保存地区内において伝統的建造物群の維持に資する工事を行う場合には補助金を出す、という取り組みも行われているようです。

 衛星写真で見てみると分かりやすいですが、大森地区は、明らかに市の中心市街地から離れた、それもまた奥まった場所であるにも関わらず、山間部にまとまった集落を形成しています。現代基準で考えると「なぜここに人が集まっているのか?」とも思ってしまいますが、昔ここは銀の採掘と精製で賑わっていた場所だったという歴史を知ると、(これは炭鉱の街もそうですが)不便そうな場所であっても栄えていることに納得します。

 場所が場所なので、郵便局は銀行は、街並みに溶け込む造りになっており、遠くからは判別不能です。もしここにコンビニがあれば、当然のようにそのコーポレートカラーとは無関係に茶色の店舗外観に仕立てられることでしょう。




           







 伝統的建造物群保存地区を抜けて、大森バス停で大田市行きのバスを待ちます。たわわに実った藤の花は、新緑の緑に負けないくらいのまばゆさであり、生い茂る木々の中で自らの存在を主張します。栃木県のあしかがフラワーパークのように、とにもかくにも藤の花が結集した圧倒的光景も素晴らしいですが、この花って、案外”ささやかにいる”くらいの方が似合うかもしれません。

 私は13:00発のバスに乗りましたが、この時間帯は、12:52・13:00・13:12・13:26・13:57と、不思議とバスの運行頻度が高くなっています。朝夕に本数がピークを迎えるのは普通のことですが、超ド昼間に本数が最も多くなるバスというのも、そうそう見かけないような・・・(まあ、場所がら、通学生よりも街や病院に出かける高齢者の利用を前提としていそうな感もありますが)。




           








 大田市で13:38発の特急スーパーまつかぜ10号を待ちます。大田市駅にはみどりの窓口がありますが、これもいつまで残るかは時間の問題でしょう。島根県内でみどりの窓口があるのは松江駅だけ、という時代も、決してそう遠いものではないと思います。いや、利用客数の数でみれば、松江駅だって怪しいかもしれませんが。

 ホームを見ると、客車列車時代から嵩上げされていることが分かりますが、しかしステップがない車両に対してはまだまだ低いです。それこそ特急列車(キハ187系)相手となると、ホームと車両の間の隙間と段差はなかなかのもので、人によっては注意が必要です。特急は特急でも、もし、24系の出雲号ならば・・・。

 今回は石見銀山だけをサッと見てきましたが、大田市には他にも見どころがあるようです。そういうものを隅々まで探索し尽くそうと思うと、本当に人生の時間は足りません。


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