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 日御碕灯台に来たからには、当然、私は中に入場して上まで登ろうと考えていました。そして意気揚々と入口に向かったところ、無情の仕打ち。「強風のため見学できません。ご了承ください。」。風が強いか弱いかで言えば強かったのかもしれませんが、しかしここは言うに及ばず海沿いであり、元々「風が強いのが普通」であるはずで、街中でいう強風とは基準が違う気がします。ううん・・・。

 そう思っていたら、これまでは青空の割合が多かったのが、段々と白雲に覆われるエリアが広くなり、不幸にも曇天へと変わってきてしまいました。灯台の上に登れないならば、せめて一面の海くらい見せてもらいたいものでしたが、泣きっ面に蜂です。海の青というものは、青空の下でこそ映えるものであり、曇りでは苦しい。

 灯台よりもさらに奥の方にある「出雲松島展望地」は、岬の先端にあり、ここまで来ると、左右どちらを見ても人工物はほとんど見当たらず、最果てに来た気分を味わうことができます。奇岩と海、そして山が織り成す風景は、大自然の中に自分が取り込まれたような気持ちにさせてくれます。ふと海面を見れば、泡立ったところの色が変化しており、これがまた景色に彩りを加えます。

 ミョーに傾いてしまっている木は、いったいどうしてそうなってしまったのか。絶え間なく強風に晒され続けることで、木自身が”傾いた状態”を普通だと思い込んでしまったのかもしれません。これだけ斜めに生えてしまっていても、その木は別に倒れはしないので、木の生命力、そして地中に張った根の強さがよく分かると言えるでしょう。




                           















 「経島(ふみしま)」は、ウミネコの繁殖地として知られている島です。鉄道好きの人間にとって、ウミネコの繁殖地といえば、八戸線の車内からも見える蕪島が想像されますが、ウミネコの繁殖地と称するだけあって、ここにも多くのウミネコが飛来しています。当然、周辺ではウミネコが常時飛んでいるので、それを目で追っかけていれば、良い暇潰しにもなります。

 経島の様子を眺めていると、折からの風によって雲も流されていったのか、再び青空が戻ってきました。そして青空が復活すると、先ほどまでどことなくどんよりとした光景に見えた大海原も、また美しき碧を得ました。出雲の大社からもう少し足を延ばすことによって見られたその景色は、自称”絶景ハンター”の私の記憶にも刻まれました。これがあるから旅はやめられない・・・。

 日御碕灯台を模したであろう「もしもし灯台」は、公衆電話の電話ボックスが灯台状になったものです。というわけで、これは先ほど見た公衆有線ではなく、普通に全国どこへでもかけられる電話です。もっとも、やはり今は携帯電話の事態ですから、これもどれだけ利用されているのかはかなり怪しいと思いますが、見た目が見た目なので、とりあえずオブジェとしての価値はあるでしょう。




         







 戻りのバスに乗ろうとすると、「ICカード準備中」との表示が。今回は松江・出雲ミニぐるりんパスで乗るので、私には関係ありませんが、地方のバス路線でもICカードが使えるようになるのは、非常にありがたいことです。路線バスというのはどうしても細かな金額になりやすく、しかし一方でちょうどの小銭を用意できないことも多いですから、ICOCAでピピっとやれたらどれだけ楽なことか。

 ごくわずかな乗客を乗せて、バスは出雲の大社を目指してゆきます。日御碕に観光に来ている人はそれなりにいたように思いますが、やはりバスの本数が本数ですから、大多数は自家用車かレンタカーで来ているようでした。公共交通機関なら、あらゆる絶景に対して余所見ができるというのが、大きな利点にはなってくるのですが・・・(自分が運転していたらそうはいかない)。

 バスの行先は出雲大社ですが、私は途中の稲佐の浜で降りました。出雲の大社まで来たからには、ここも外しておきたくはありません。


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