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 大田市大森地区にある「龍源寺間歩」と呼ばれる場所は、早い話がかつて銀を採掘していた場所の遺構であり、実際に中に立ち入って見学することができます。しかし、ここは少々奥まった場所にあり、バス停「大森」からは、歩いて45分、自転車で15分がかかるとされています。往復で45分ならいざ知らず、片道で45分もかかるならば歩く理由はないので、自転車を借りましょう。

 電動アシスト付き自転車を借りて、新緑のサイクリングロードへ。20度にも満たないような日であれば、切って走る風が気持ち良いくらいであり、汗ばむほどではありません。行きは緩やかな上りが続きますが、電動アシスト付きなので、それに労することもないです。周囲360度に広がる緑と青い空、揺れて擦れる葉が奏でるBGM。人出も少ない月曜日ということも相俟って、ちょっとした幸せな時間が流れます。

 銀採掘の坑道は今でも新しいものが発見されているということなのか、「発掘調査中」として規制線が張られているところも。一般向けに公開されている間歩は、現在はこれから行く龍源寺間歩のみですが、いずれはそれ以外の新しい間歩が開かれる可能性もあるのかもしれません。

 瑞々しい緑が出迎えてくれる龍源寺間歩事務所で入場券(410円)を購入し、龍源寺間歩内へ進みます。




                           















 間歩内は観光用に整備されているとはいえ、それはせいぜい照明が取り付けられているという程度のことであり、全体的には往時の状態を色濃く残しています。その雰囲気はまるで洞窟のよう・・・というよりは、まさに洞窟そのものであり、男子たるものならば、生来の冒険心をくすぐられるかもしれません。歩みを進めるたびに反響する足音が、より一層探検の気分を盛り立てます。

 坑道は岩の中に掘り進められており、入口に扉があるというわけではない以上、常時外界と繋がってはいますが、奥に行けば行くほど屋外からは隔絶された世界となり、段々と肌寒くなってゆきます。間歩内の気温は通年で10度ほどに保たれているとも言われており、夏ならば涼しいを超えて寒く、冬ならばむしろ暖かく感じられることでしょう。

 間歩内には今でも水が滲み出しており、地面が常時濡れているポイントや、一定間隔で天井から水滴が滴り落ち続けているポイントもあります。後者に関しては、水を出す天井はその部分が変色していたり、水滴を受ける床面はそこが削れるのではなく逆に盛り上がっていたりと、岩盤から何かしらの成分を取り込み、そして十年百年の単位で出水が続いていることを窺わせます。

 龍源寺間歩は全長600mほどの長さを誇りますが、一般向けに公開されているのは入口から160mくらいの地点までであり、そこに達すると、1988年に観光用に新たに掘られた道に誘導され、屋外へと脱出することになります。160mという長さは短いものかもしれませんが、歩くたびに変化する道幅や高さのおかげもあり、歩き応えは悪くありません。




                       













 「ここは島根県です」と赤文字で大書きされていますが、島根県と鳥取県を取り違えるような不届き者に困らされているのでしょうか。だいたい、漢字も読みも別に似通っているほどのことでもないとは思うのですが・・・。

 時間がなかったのでスルーしましたが、龍源寺間歩を出てから200mのところに、”佐毘賣山(さひめやま)神社”があります。石見銀山の守り神であり、拝殿は急階段を上った先にあります。龍源寺間歩が観光地として整備されている以上、到達困難地とは言えないでしょうが、都市にある神社とは全く異なった趣を持っています。ここが人で溢れかえるということはないでしょうしね。

 行きの道は上り坂が続くものだったので、電動アシスト付き自転車さまさまでしたが、帰りの道は逆に緩やかな下りが続くことになるので、電動アシスト付きである必要性はほぼ皆無です。ペダルを漕がずとも、勝手に一定以上のスピードが出ます。そのときに身に受ける風の心地良さといったら、もうこの上なく素晴らしいものであり、新緑の季節ならではの境地に至れます。

 木造平屋建ての校舎を持つ大森小学校は、一見、廃校跡が残っているものかと思いましたが(失礼)、現役の小学校です。衛星写真を見てみると、「本当にここで小学校が成り立つのだろうか?」と思ってしまうくらいの小さな集落にあり、実際、2021年4月時点での全校児童数も14名ということのようです。一方、その年の新入生は5名とのことで、14÷6=2.33人/学年と考えると、むしろ例年よりも新入生は多かったのでは?


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