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 増結される3両編成(右)が近づきます[①]。どこの駅のどの列車でも、連結・解結作業というのは、多くの人の注目を集めます。そして誘導員の指示に従いながら基本編成に近づき、しらさぎ1号は無事に9両編成となりました[②]。顔を合わせた先頭車両の前照灯が点灯したままですが、これは仕様であり、ここが車両同士の連結面(転落しやすい)であることを警告します。

 米原駅の在来線ホームは、JR西日本の管轄です。そのため、駅名標も、JR西日本様式のものになっています[④]。特急南紀号・快速みえ号の通り抜けのために使われる伊勢鉄道線が含まれているのを除けば、青空フリーパスの有効範囲は、当然、JR東海線のみなので、米原は、同パスで下車することができる、唯一のJR西日本の駅です。

 停止位置目標には、車両形式も併記されていました[⑤]。「383系」とありますが、昨日のダイヤ改正により、1日に1往復だけ走っていた、通称「大阪しなの」が廃止され、383系が米原駅にやってくることはなくなりました。更に、485系と583系が目を惹きますが、前者は、雷鳥号の米原迂回運転時用のものが、後者は、急行きたぐに号が定期列車として走っていたころのものが残っているのでしょうか?

 米原駅は、東海道本線・北陸本線・近江鉄道線が接続し、JR東海とJR西日本の境界駅となっていることから、しばしば大きな駅(都市の駅)であると勘違いされますが、実際には、それほど立派な駅ではありません。駅前もこの通りです[⑥](裏口の写真ですが、表口も正直・・・)。駅舎の向こう側に東横インが見えていますが、2015年3月にこの東横インが開業するまで、駅周辺のビジネスホテルは、1軒しかありませんでした[⑦]

 東口(裏口)の駅舎の中から、近江鉄道線への乗り換えができます[⑧] [⑨]。次の列車の発車まで約50分ほどあるからか、近江鉄道の駅の付近には、人影はありませんでした。本線は米原と貴生川を結んでいますが、JR線で草津経由で行くよりも遅く、実用性は薄いです。

 青空フリーパスを使用している都合上、これよりも西へは向かえないので、いま米原に到着したばかりですが、東へ向かって引き返していくこととします。乗車するのは、9:21発の特急ひだ25号です[⑪]。大阪発高山行きの列車で、大阪しなのが廃止された3月26日のダイヤ改正をも潜り抜け、何とか生き延びました。実のところ、わざわざ米原までやってきたのは、このひだ25号に乗るためでした。

 いわゆる「大阪しなの」は、新快速を追い越したり、大垣を通過したりと、なかなか面白い列車であり、「いずれは乗ってみたい」と思っていました。しかし、せっかく名古屋方面を行く機会(この旅)を得たものの、ダイヤ改正後(大阪しなの廃止後)の名古屋入りであり、結局、大阪しなのに乗ることはできませんでした。そこで、「だったら”大阪ひだ”に乗ろう」と思ったわけです。

 ”大阪発着列車らしさ”をより感じるために、本当は、草津あたりから乗車し、JR西日本管轄区間をひだ25号で通過したかったのですが、時間の都合上、それは叶わず、米原からの乗車となりました。まあ、JR東海の区間といえども、大垣〜米原に乗り入れるひだ号は、この大阪ひだしかないわけですから、米原から乗車しても、一応、「らしさ」は、少なからず感じ取れることでしょう。

 8番線に向かおうとしたところ、上郡(5:11発)よりやってきた列車から下車してきた客の波に飲み込まれそうになったため、一時退避[⑫]。ここで下車する人も、乗り換える人も、あるいは用を足しに行く人もいますが、いずれにせよ、この人波は、青春18きっぷの時期ならではかもしれません。

 8番線には、ひだ25号に先駆けて米原を出る特別快速が停車していました[⑬]。JR西日本においては、新快速が在来線普通列車の頂点に立つ存在ですが、JR東海では、それは第2位の存在となり、頂点に立つのは、この特別快速です。

 隣の7番線には、9:34発の敦賀行きが停車していました[⑭]。2両という短い編成ですが、たとえ少々混雑したとしても、521系という「車両の新しさ」がもたらす快適性は、その移動を楽にしてくれるはずです。






















 2号車の指定席券を持っているため、「特急ひだ 2号車」の乗車口の前で待機します[①]。私以外にも、ひだ25号に乗車しようとしている人が何人か見られましたが、米原よりも人口が多く、利用客数も多い駅でありながら、野洲・近江八幡・彦根といった駅は通過となっているため、そういった駅の利用客が、普通列車や新快速で米原へやってきて、そしてひだ25号に乗り換えるということもありえそうです。

 キハ85系3両編成のひだ25号がやってきました[②]。この後、岐阜で、前に名古屋からやってくるひだ5号を連結するため、先頭は貫通型車両となっています。東海道本線も北陸本線も電化されている米原駅では、当然、気動車は珍しい存在であり、「米原に姿を見せる気動車」は、1日に1往復だけが運転される大阪ひだのキハ85系のみとなっています。

 キハ85系では、普通車でも足置きが付いています[③]。また、座席間隔は1000mmに設定され、床は一段高く、客室内は全面絨毯敷き、そしてワイドビューを名乗るにふさわしい大きな窓。これらに加えて、電車に負けない性能をも与えられたキハ85系は、「特別急行」に求められる風格を十分に備えています。これで振り子が備えられていれば、正真正銘の「化け物」になれましたが・・・。

 留置線の221系と223系を見ながら、キハ85系は加速していきます[④]。下に見えている線路は、北陸本線の線路です。この付近では、東海道本線の線路は上下線でそれぞれ分かれ、この留置線や、高等技術専門校「テクノカレッジ米原」を挟み込んでいます。

 満席ではありませんでしたが、ひだ25号の乗車率は上々のようです[⑤]。車内で空席案内(サイバーステーション)を見たところ、ひだ25号は「△」回答が返ってきました。ちなみに、検札のときにやってきた車掌は、しらさぎ1号で検札にやってきた人と全く同じ人でした。米原から先(敦賀・京都方面)はJR西日本の管轄なので、当然、しらさぎ1号の乗務は米原で終えていますが、まさか、私と同じようにひだ25号で折り返すとは・・・。

 近江長岡の手前で、大きく削り取られた山が見えました[⑥]。当然、何かのために削り出しているのでしょうが、その目的は何なのでしょうか。ここでの林地開発許可を得たうえで、岩石の採取を行っているようですが、その目的は解明できませんでした。

 関ヶ原通過後、複線でやってきた東海道本線の線路は、3手に分かれます[⑧]。何やらややこしいですが、今キハ85系が走っている線路は、当然上り本線。では、残りの2線は何なのかといえば、築堤を通っている線路は、大垣(南荒尾信号場)〜関ヶ原間に敷設されている、垂井駅非経由の下り特急・貨物専用の迂回線(勾配が緩い)で、その奥に見えている線路は、ほぼ普通列車専用で垂井駅を経由する垂井線です。

 そんなわけで、その分岐部を過ぎた後に寄り添ってくる線路は、”普通列車しか走らない線路”です[⑨]。このとき、下りの特急・貨物列車は、迂回線の方を通っていますからね。そして垂井を通過しますが、上記のことを総合すると、「垂井駅を通過する」という行為は、上り列車でしか体験できず、下り列車では体験できないということになります[⑩]

 南荒尾信号場で、3つに分かれていた線路が合流します[⑪]。こちらは上り本線、真ん中は迂回線、その向こうが垂井線です。南荒尾信号場を通過し、再び普通の複線に落ち着いた東海道本線は、大垣車両区のそばを通り[⑫]、大垣駅へと入っていきます。

 大垣の次は岐阜です[⑬]。”大阪ひだらしさ”があるのは岐阜までで、ここから先は、走行路線という点では、普通のひだ号と同じになります。























 先ほど、「普通のひだ号と同じになります」と申し上げましたが、「走行路線という点では」という限定がついていたことに、皆さんはお気づきになっていたでしょうか。つまり、ある点では、まだ”大阪ひだらしさ”があるということです。では、それをご覧いただきましょう。

 ひだ25号は9:55に岐阜駅の3番線に到着しました。しかし、発車時刻は10:10となっていますが、なぜか2分ほどで扉を閉め、列車は岐阜駅を発車してしまいました[①]。しかも、後ろ向きに。で、列車は、岐阜駅の西方にある引き込み線へと入りました。隣には313系がいます[②]

 ん、「美濃太田」行き?[③] 美濃太田は高山本線と太多線の駅ですが、どちらも非電化路線であるため、電車である313系は絶対に乗り入れることができません。そのとき、視線を下の方へ向けると、「キハ25-1101」と書かれた車両番号が[④]。この車両は、電車の313系ではなく、「あまりにも313系にそっくりすぎる」ことで有名な気動車、キハ25形でした。

 そして引き込み線でしばらく待機した後、キハ85系は再度前進し、今度は4番線に入線しました[⑤]。ここで名古屋からやってきた特急ひだ5号と連結し、列車は10:10に岐阜を発車。しばらく高架が続く東海道本線と分かれ、単線・非電化の高山本線を進んでいきます[⑥] [⑦]

 と、こうやって書いてみたところで、「さっぱり分からん」となるのが当たり前なので、もう少し詳述してみましょう。もうひとつの点での”大阪ひだらしさ”は、岐阜駅でのひだ25号との連結作業にあります。より正確に言えば、その連結作業の方法にあるのです。

 大阪からやってきたひだ25号は、岐阜で名古屋からのひだ5号と連結します。普通、連結作業というと、どちらかが先にホームに入っていて、そこに後からやってきた列車が近づき、連結する・・・という方法をとりますが、ひだ25号とひだ5号の連結作業では、そのような流れにはなりません。

 まず、ひだ25号が9:55に3番線に到着します。ここでいったん乗降扉を開けますが、これは「降車専用」の開扉であり、乗車はまだできません。2分ほどで扉を閉めると、ひだ25号は逆走し、岐阜駅の西方にある引き込み線に入り、しばらく待機します。その後、4番線に名古屋からのひだ5号が入ってくると、ひだ25号は前進し、今度は4番線に進入。そしてひだ5号との連結作業を行い、それが済むと、今度は「乗車専用」の開扉を行うのです。

 「降車専用の開扉と乗車専用の開扉がある」、「いったん引き込み線に退避する」、「降車と乗車が違う番線(ホーム)」。このような特殊な連結方法をとることにより、ひだ25号には、走行区間以外にも”大阪ひだらしさ”が宿っています。では、なぜこんな連結方法なのかというと、岐阜駅に、通常の連結作業を行うときに必要な「誘導信号機」がないからとのこと(これだけではまるで説明になっていませんが、私もよく知らないもので・・・)。

 「まもなく、進行方向右手に犬山城が見えてまいります」との観光案内放送が入ったので、窓越しの景色に注目してみましたが・・・、えっ[⑨]。いや、たしかに城は見えていますが、あんなにも遠くで、こんなにも小さくしか見えないとは・・・。しかも、レンズをテレ側にして撮影してこの程度ですから、肉眼で普通に見ていると、本当に何が何だかさっぱり分からないような大きさになります。

 複線電化の線路が現れました[⑩]。これは名鉄各務原線の線路で、単線非電化の高山本線に対して複線電化と、格差を感じます。両線の線路が合流すると、列車は鵜沼に到着します。名鉄の駅は新鵜沼を名乗り、ホームも、JRのものとはやや離れたところに置かれています[⑪]。鵜沼と新鵜沼は橋上の自由通路で結ばれ、その愛称は、「鵜沼空中歩道」です。

 鵜沼発車後、右手に木曽川が見えてきました[⑫]。この後、ずっと木曽川に沿って北上していくのかといえば、そのようなことはなく、美濃太田から先は、木曽川から分岐する飛騨川に沿うようになります。そして10:30に下車駅の美濃太田に到着しました[⑬] [⑭]


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