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 13:20発の小牛田行きに乗車します[①]。この後、前谷地〜気仙沼間を結ぶ気仙沼線に乗車するので、これに乗れば、乗り換えなしで前谷地まで行くことも可能というわけです。ただ、そうはいきません。仙石東北ラインとして運転される特別快速に、高城町〜石巻間で乗車しましたが、肝心の接続線をまだ乗車していません。東北本線の支線として、松島〜高城町間0.3kmの営業キロも与えられているので、そこは乗車対象としています。

 先ほどと同じくキハ110系ですが、「奥の細道」の装飾がされた車両でした[②]。これって、本来は陸羽東線・陸羽西線で運用される車両であるはずですが、運用上の何らかの都合で石巻線にやってきたのか、それとも、この装飾にはもはや意味はなく、共通運用となっているのか。外観は普通のキハ110系とはやや異なっていますが、内装は至って普通で、座席の色なども、先ほどのキハ110系と同じです[④]

 最初の停車駅は浦宿です[⑤]。東日本大震災によって石巻〜女川間が不通となった後、石巻〜浦宿間14.5kmが、約2年の歳月をかけて復旧しましたが、浦宿〜女川間は、隣の駅同士で2.3km(被災前は2.5km)という距離でありながら、もう2年もかかってしまいました。女川駅周辺の嵩上げが進むのを待ってからの復旧工事となったから、といった事情でもあるのでしょうか。

 13:35に到着するのは渡波[⑥]。石巻〜渡波間が1年で、渡波〜浦宿間がもう1年という歳月を経て、それぞれ復旧を果たしました。この駅は、四方に広がる住宅街のど真ん中にあるという立地を持ち、石巻〜女川間の駅としては、利用客はかなり多い方です。

 渡波〜陸前稲井間で、整地と道路整備が済んだ住宅地が見えました[⑦]。高台というほどに高地にあるわけではないと思いますが、比較的海から離れた内陸部なので、ここの周囲も含め、住宅の整備が進んでいるようです。以前はただの農地だったようですが、すっかり変わりました。つまるところ、元々はこんな感じだったのが[⑧]、あんな感じになった、と。

 旧北上川を渡って[⑨]、列車は終点の石巻へ[⑩]。列車が到着し、扉を開けた途端、接続する仙台行きの仙石東北ライン・快速列車を目指して皆走る、走る! 私もそれに乗り換えますが、まあ、もう少しのんびりしていきましょうよ。別に座れなくてもいいじゃない。














 11分の接続時間で仙台行きの快速列車と接続しています[①]。接続線が整備された後、仙台〜石巻間の高速な鉄道移動は、全て仙石東北ラインの列車が担うことになりました。これにより、仙石線だけを通して走る快速列車などは廃止され、あおば通・仙台〜石巻間を仙石線で通して走る列車も、震災以前は、日中で毎時2本(うち1本が快速)あったところが、現在は毎時1本(普通列車のみ)となりました。

 車両は専属のHB-E210系ですが・・・、困ったことに、なんと2両編成[②]。仙石線は全て4両編成の205系であるわけで、当然、震災以前に走っていた仙石線経由の快速列車も、やはり4両編成でした。それと比較すると一気に輸送力が半減、というこの事態。平日の日中ですが、仙台行きの快速列車が2両編成ということで、あぶれて立つ羽目になった人が多数散見されました。

 仙台〜塩釜〜高城町〜石巻というルートを、JR東日本は、仙石東北ラインと名付けています[③]。JR東日本とJR西日本は、路線愛称をつけるのが好きなようで、あちらこちらに正式な路線名とは異なる愛称がついています。一方、その対極はJR東海。自社管内の路線に愛称を全くつけていないほか、いわゆる上野東京ラインを、発車標では「(東京経由)」と表示し、新幹線の車内放送では、「東北、高崎、常磐線・・・」と案内します。

 「ハイブリッドディーゼル車」がウリであるHB-E210系は、特殊な機器が満載。屋根上にある蓄電池も、普通の車両では見られませんね[④]























 列車は13:58に石巻を発車します。快速であるため、先ほど乗車した特別快速とは異なり、いきなり陸前山下、蛇田、陸前赤井・・・と3駅連続停車。陸前山下では、日本製紙石巻工場の付近にある石巻港駅(貨物駅)へと至る貨物支線が分岐します[①]

 3連続停車の後、東矢本を通過して到着するのは矢本です[②]。 ここは特別快速の停車駅ともなっているため、都合全ての列車が停車する駅となっています。石巻〜高城町間の駅としては利用客数が多く、みどりの窓口や自動改札機があるなど、たしかに主要駅らしい感じではあるようです。かつては、仙台〜石巻間を完全無停車で走る特別快速(仙石線経由)というものもありました。

 鹿妻を通過します[③]。ここは普通列車のみが停車する駅で、快速・特別快速は全て通過。陸前小野に停車し、吉田川と鳴瀬川を渡ると[④]、復旧に際して移設した新しいルートの区間へと入っていきます[⑤]。この新ルートでは、高架線に入り、内陸部の高台を抜けていきますが、被災以前の旧来のルートは、地上を走り、山(高台)を避けるように海側へ迂回していました。高架線上からは、その痕跡が・・・[⑥]

 14:19、野蒜に到着[⑦]。海が随分と遠くに見えますが、以前のルートでは、上述のように、もっと海に近いところを通っていました。もっとも、大切なことは、景観よりも安全性。駅が高台へと移転したことで、もう一度大津波があったとしても、その危険性は大きく軽減されたはずです。ここでは3分停車して、石巻行きの普通列車と列車交換を行った後に発車します[⑧]

 陸前大塚付近で元のルートに復帰し、列車は松島湾の際を走ります[⑨]。特別快速に乗車したときは、山側の席に座ってしまったため、この車窓を堪能することができませんでした。この列車では、座席が空いていないこともなかったのですが、「さっき見逃した松島湾をこの目に入れねば」との思いから、立ちんぼうになってでも海側の窓のそばにいることにしました。

 高城町を出ると、接続線を渡り、東北本線へと入っていきますが、すんなりとは転線できず、いったん停車させられます[⑩]。その折、高城町行きの普通列車が眼前を通過[⑪]。「ここを無停車で渡れれば、それだけでも時間短縮になるだろうに」と思いましたが、それは宮城県もJR東日本も思っていることのようで、村井県知事は、2015年6月の定例会見で、2・3年のうちにスムーズに乗り入れができるようになるであろうと述べています。

 既によく知られているように、東北本線の塩釜〜松島間においては、東北本線と仙石線が非常に近いところ同士を走る区間があります。陸前浜田(仙石線)の付近では、松島湾の近くに置かれた単線の陸前浜田駅の上を、複線の東北本線が駆け抜けるという状態になっています[⑫]。東北本線側に駅はなく、「仙石線にはあるけど東北本線にはない」という状態が続く結果、塩釜〜松島間の駅間距離は10kmにも達します。

 下車駅の塩釜には14:42に到着[⑭]。仙石東北ラインの快速列車には2つの停車駅パターンがあり、どちらも仙石線内の停車駅は共通ですが、行き先表示機の「快速」が赤色となる快速は、東北本線内は塩釜のみに停車し、緑色となる快速は、同線内は各駅に停車します。では、今乗ってきた快速はどちらだったのか? その答えは、ひとつ上のブロックに掲載している写真にあります。


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