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 快速エアポート151号で小樽へ向かいます。エアポート号はその名の通り、新千歳空港を発着する空港アクセス列車ですが、本数が多く、また速達性が高いので、空港とは全く関係のない区間で利用する人も多いです。そのことは、既に何度か記したような覚えがありますが、それは小樽方面においても同じです。空港から来た列車に、私のように札幌から乗車し、琴似・手稲・小樽方面へ向かう人も多数います。

 そんな人気のエアポート号ですから、6両あっても、やはり混み合います。そこで、私は、予め指定席券を購入しておきました。乗車時間は32分と短いですが、それでも、やはり座っていきたいものです。エアポート号の指定席券は300円と、JR標準の510円(いずれも増税前)よりも安価ですし、また、座席も、転換クロスシートの自由席とは異なり、特急型車両並みのリクライニングシートです。これは指定席に乗らない理由がありません。

 デッキ付きの車両でリクライニングシート(情報表示機は枕木方向)となれば、近郊型の721系と言えども、快速列車と言えども、乗っているときの気分はまるで特急列車。非常に快適な時間を過ごすことができます。通常よりも安価な指定席料金もありがたいですね。

 銭函を通過すると、小樽築港の辺りまで、函館本線の線路は、石狩湾のすぐそばを、海岸線に沿うようにして伸びます。手の届きそうなところにまで波が迫る車窓は迫力満点で、冬ならば、色味を失った極寒の海を、夏ならば、澄み切った青い空と透明感のある紺碧の海を眺めることができる、函館本線でも屈指の絶景区間です。エアポート号では、A席が海側にあたります。

 海岸線を走り続けた列車が、にわかに内陸に入ったかと思うと、そこは小樽築港駅。札幌からは25分の所要時間です。そこから3分で南小樽に到着し、更に4分で、終点の小樽に到着します。小樽駅では、行き止まり式となっている5番線への到着でした。

















 押しも押されもせぬ有名観光地、小樽。札幌から快速エアポート号で32分でやってこられるという立地の良さがあるので、札幌近辺の手軽に行ける観光地の1つとなっています(函館や富良野、旭川って札幌から意外と遠いですからね・・・)。

 そんな小樽も、残念ながら、今回の私にとっては、「臨戦態勢を整える基地」というところ。これから先の山線区間への乗車、あるいは北斗星号への乗車に備えて、食べ物(パブタイムまでの繋ぎ)や飲み物の購入、用便を、ここ小樽で行っておきます。

 観光地として有名な小樽ですが、前述のように、札幌から割と近いので、札幌のベッドタウンとしての一面も持っています。駅前すぐそこにある17階建てのマンションは、その事実をよく表しているものだと思います。一方、人口は減少が続いていて、全盛期には20万人はあったという人口は、現在、12万人台に突入しています。また、2010年4月には、過疎地域の指定を受けました。

 駅舎は、上野駅とよく似ているもの。2010年9月に開始された工事によって、1903年の駅開業当初の外観が取り戻されました。駅舎のすぐ前に信号機が立っていますが、これは邪魔なこと極まりなく、どんな角度から駅舎を撮影しようとも、必ず駅舎に串刺しになるという厄介者。まあ、安全のために信号機が必要なのはよく分かりますが・・・、それなら、まず、横断歩道の位置は何とかならなかったのでしょうか・・・。

 駅周辺の歩道には、ロードヒーティングが万遍なく仕込まれているようで、各歩道上には、雪はほとんどありませんでした。北海道の全てのところがそういうふうになっていると嬉しいものですがね(無理な話ですが)。今回、私がスーツケースを採用しなかったのは、雪道で車輪がまともに転がらなくなる可能性を恐れたためでした。その心配をしなくて済むのなら、間違いなく、スーツケースを使っていました。

 小樽からはいよいよ、函館本線の山線区間に入ります。ふつう、山線という言葉は、函館本線のうち、長万部〜小樽間を指して使われることが多いようですが、この区間には、定期の優等列車がありません。名前の通り、山あいを通る線形の悪い区間である上に、約140kmの距離がありますが、そんな区間を普通列車で行くので、これから乗る16:53分の長万部行きの普通列車も、長万部の到着時刻は19:42。約2時間50分もかかります。

























 16:53発の長万部行きの普通列車に乗り、長万部へと向かいます。

 優等列車の走らない、単線非電化となっている山線区間だけに、私は、ローカル線のような気分でのんびりと移動できることを期待していたんですが・・・、それどころではありませんでした。4番線に停車しているキハ150形へ近づいたときに見えたのは、車内でひしめき合う大勢の乗客。その中に混じる外国人の姿。まるで通勤時間帯の山手線を見ているかのような、絶望的な混雑。

 一体全体どうしてか、この日の16:53発の長万部行きの普通列車は、ありえないほどに混雑していました。もはや「混んでいる」などという段階ではなく、両足で立てることがありがたくさえ思える、大都市の通勤列車と同等なほどの大混雑ぶりでした。

 1両編成だったというあたり、普段は、1両でも十分に対応できるくらいの乗客数なのでしょうが・・・、この日は・・・。また、一つ目についたのは、外国人(欧州人?)の数がとても多かったということ。そのほとんどは、スキー板やスノーボードを持ち込んでいたので、恐らく、ニセコのスキー場へ行こうとしていたのでしょうが・・・、そういう人たちが集中してしまったことも、混雑の原因の1つだったのかもしれません。

 「もしかしたら緊急増結があるかもしれない」と期待しましたが、結局、そんなことは行われないままに、列車は小樽を発ちました。1月26日からずっと旅を続けているだけに、疲労はかなり蓄積しており、列車内で立っているのも、なかなか楽ではありません(特に膝と足の裏がまずい)。早く空いてくれよと願いながら、停車駅を消化していくのをひたすら耐え忍びます。

 地元の人や学生は、各停車駅でそれぞれパラパラと降りていきましたが、外国人の下車の第一波は、ニセコよりも手前にある、倶知安でした。倶知安を出て2つ目のニセコで、残った外国人の乗客も全員降りていき、ようやく、車内も空いてきました。ニセコから先はガラガラと言っても差し支えないくらいの状況になり、「あの混雑は一体なんだったのか」と思わずにはいられませんでした。

 特急北海号は、山線区間を通る最後の定期特急列車でした。1986年、特急北海号は廃止、急行ニセコ号は臨時列車となり、山線を経由する定期優等列車が消滅しました。山線を普通列車でゆっくり、地味に移動するのは、残念ながら、快適でもなければ面白くもありません。特急北海号が今も走っていれば、山線の乗車も、もう少し楽しいものになっていたでしょう。

 終点の長万部には、19:42に到着します。長万部で降りたのは5人くらいでした。







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