−36−

※各画像はクリックすると拡大します。
また、各画像に対する説明文は、画像の拡大時に同時に現れるようになっています。



 「上野に到着するまでにはまだ時間がある」と思い続けていましたが、早いもので、列車は大宮にまで達しました。大宮まで来ると、「上野まではあと●●分・・・」というような感じで、到着までの残り時間が気になり始めます。一部の鉄道ファンに見られるような「長く乗っていたい」という思いがあるわけではありませんが、上野に到着すること=旅の終わりですから、旅の終わりを迎えることが恐ろしく、怖いのです。

 最後の区間くらい、自分の部屋で過ごそうかと思いましたが、本当に私という人間は落ち着きがないもので、「JR東日本のソロは狭いけど、JR北海道のソロはどうなのだろう」ということが気になってしまい、5号車(オールソロ・JR北海道)へ向かってしまいました。

 その途中、食堂車の業務用扉の前に、ダンボールやごみ袋が置かれているのが目に入ってきました。お客は、きれいに盛り付けられた料理しか目にしませんが、調理をするときには、当然、それなりの量のごみが発生するわけです。いや、何というか、現実を見せつけられるような感がありましたね。上等な料理を提供するグランシャリオでさえ、”出るものは出る”んだな、と。

 上段の部屋で、明らかに空室だと判断できる部屋は見つかりませんでした。ただ、下段に1室、扉が開け放たれ、荷物も全くないという部屋があったので、その部屋を覗いてみました。上段と下段という違いがあるので、単純に比較することはできませんが、今覗いてみたJR北海道タイプのソロは、室内で完全に直立できるだけの天井の高さが確保されていて、たしかに広そうでした。

 やがて、上野到着前の放送が流れ、降り支度を始めなければならないという思いに駆られます。飛行機や新幹線を利用する場合と違い、北海道・長万部から東京・上野まで、ずっと在来線で、ゆっくりコツコツ、地道に進んできたので、それ相応の”距離”と”時間”を感じることはできました。ですから、旅の終わりに当たって、あっけなさを感じることはないでしょう。とは言っても、手段が何であれ、旅の終わりは悲しいものです。




















 えーっと・・・、着いちゃいましたね。上野駅に。長万部から14時間9分もの時間をかけてここまでやってきたわけですから、「ついに戻ってきたぜえ上野駅!!」というような実感は、十分にあります。ただ、今回は、出発日・到着日を含めると、8日間も旅をしていました。今、上野駅の13番線ホームに降り立ったことで、「とうとう旅が終わってしまうのだ」ということに関しては、何だか実感がわきません。

 上野駅の13番線は、いわゆる地上ホームの一角であり、上部に屋根がある関係で、昼間であっても、太陽の光がろくに入ってきません。そのため、蛍光灯を点灯させなければならず、独特の薄暗さに包まれています。昼でも夜でも、環境がほとんど変わらない場所と言うこともできます。

 そんな13番線で北斗星号を見ていると・・・、これが上り列車であることや、これから降りてきたということなどが信じられなくなってきます。まるで、発車前の下り列車を見ているような気分になってくるんです。今は食材の積み込みを行っていて、それが終わったら乗降扉が開いて、そうしたら車内に入って・・・。今この瞬間、7日前の上野駅13番線に立つ自分の姿を第三者的な視点で眺めた映像が、頭をよぎりました。

 札幌発が土曜日であり、また、昨晩のパブタイムがかなりの混雑だったので、「結構乗っていたんだろうな」と思っていましたが、11号車の開放式B寝台、10号車のデュエットなどを眺めてみると、これらには、未使用の区画がいくつかありました。開放B寝台車の人気がないので当然として、デュエットが空いていたのは、本格的な観光シーズンにならなければ、2人で乗る人はあまりいない、ということでしょうか。

 北斗星号は13番線に15分ほど停車した後、10:20、回送列車として、推進回送でホームを去っていきました。ヘッドマークを掲げ、機関車を先頭にして駆け抜ける姿が格好良いのは言うまでもありませんが、ヘッドマークを見せつつ、後ろ向きに去っていく姿も、なかなか悪くないと思います。「北斗星」と書かれたヘッドマークが、私をまた北海道へと誘っているような気がして・・・。











さて、こうして、約1週間にも及ぶ壮大な旅が幕を閉じました。
正直に言わせてもらうと・・・、実際に旅をしている最中よりも、旅が終わった後、この旅日記を書くことの方が、よっぽど疲れました(笑)

2月6日の晩から制作に取り掛かりましたが、結局、完成まで、そこから約2か月半もかかってしまいました。
ただ、時間をかけた分、内容のあるものに仕上がったのではないか、と自負しています。

36ページにも及ぶ長いものとなりましたが、1ページから36ページまで全てお読みになった方がいらっしゃるならば、
私としては、それほど嬉しいことは他にありません。本当にありがとうございます。

今のうちにもう明かしてしまいますが・・・、実は、2014年の夏も、北海道へ行こうかと思っています。
未乗車の日高本線と宗谷本線を乗りつつ、利尻島へ上陸する案を1つ考えてみています。


                  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20
21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  31  32  33  34  35  36


DISCOVER どこかのトップへ

66.7‰のトップへ