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 北海道の風を受けながら辿り着いたのは、ラベンダー畑駅でした。夏のラベンダー観光の時期に開設される臨時駅であり、開設期間中は、富良野・美瑛ノロッコ号が停車します。通常の定期列車は全て通過となっているのですが、その理由はよく分かりません。マイカーでなく公共交通機関での来訪を促進したいとかであるなら、どう考えても普通列車も停めた方が良さそうですが・・・。

 近傍にあるファーム富田の様子は、駅からでも少し窺うことができます。花畑やラベンダー畑は、人工的に整備したものであることに違いはありませんが、それでも、整備した後に花々がどのように咲き誇るのかは、まさに自然のいたずらに任せられているというもの。そこに見える景色は、やはり自然の賜物なのです。




                           















 当たり前といえば当たり前だと思いますが、ファーム富田を訪れる人のほとんどは、自家用車はレンタカーで来ています。私のように富良野線で来ているという人もいないわけではありませんが(現に一緒に降りた人がいるわけで)、明らかに少数派です。まあ、1日に3往復しか運転されない臨時列車でしか来られないともなれば、やむを得ないことでもあります。

 ファーム富田は、過去に1度訪れたことがありますが、そのときは9月でした。9月というのは、既にラベンダーの刈り取りが終わった後であり、ファーム富田=ラベンダーという意味においては、とうに見頃を過ぎていることになります。しかし、今回は7月という、まさにラベンダーが見頃のころに来ることができました。他の花々も含めて、もうまさに百花繚乱とはこのことです。

 ファーム富田で見られる絶景を語るためには、私の言葉はいらないことでしょう。全ては写真が語ってくれます(←単に文章を書くのが面倒くさいだけ・・・)。一面を覆うラベンダーの紫色に圧倒されますが、それらを補完するような白、桃、黄、赤などの花々もまた、このうえなく美しい存在です。あまりにも広大なので、太陽が陰るとその影響がもろに出るのが玉に瑕ですが、いやはや素晴らしい。

 しかし、何よりも驚くべきことは、このファーム富田が入園無料だということでしょう。ここはあくまでも農園であり、見せることでお金を稼ぐ観光地ではない(農作物を栽培することで稼いでいる)ということだかららしいのですが、これが入園無料は恐れ入ります。1,000円はもちろんのこと、2,000円くらい課しても罰は当たらないでしょう。




                           















 あるロックバンドの歌は、こう語りました。「愛されないのは生き続けるから」、「愛されないのは枯れないから」、「永遠にずっと変わらないなんて、燃えないゴミと一緒じゃないか」。なるほどその通りで、我々が人や動物を愛するのは、それが命果てるまでしか続かない”有限のモノ”であるからです。寿命がなく際限なく同じままであり続けるなら、わざわざ慈愛を注ぐでしょうか。

 花もきっと同じです。もしある花が季節も関係なく、年数も関係なく、ずっと同じ姿を維持して咲き続けていたら、人々はその花を愛することはないでしょう。時期が来たら枯れ果て、そして月日が過ぎて来るべきタイミングが来たとき、再び命の輝きを最大限に解き放つ。永遠に続くことがないものにだけ、人は愛を込められるのでしょう。

 ・・・と、まあそういうわけで、このファーム富田に咲き誇る花々も、いつでも見られるものではありません。あくまでも見頃の時期にだけ、その命の輝きを見せるのです。我々は、線香花火のように儚い花々の命を目撃しながら、彼らが魅せる演舞を観賞する。この旅日記は、1年以上が経過してから書いていますが、当時見たラベンダーは、もうすべて刈り取られています。

 ちなみに、ファーム富田に隣接して「とみたメロンハウス」がありますが、これはファーム富田とは特に関係がありません。名前は同じ「富田」ですが。が、ファーム富田側にとみたメロンハウスからの眺望を遮る塀が立てられ、また「とみたメロンハウスからの持ち込みは断る」とも掲示されていて、少なくとも仲が良いわけではないのは間違いありません。

 先ほどもお伝えしたように、ラベンダー畑駅に停まる列車は、富良野・美瑛ノロッコ号の3往復のみです。「上記以外の列車は中富良野駅へ」、「その他列車のご利用は中富良野駅へ」と書かれていますが、やはり少なくとも私にとっては、富良野・美瑛ノロッコ号以外の普通列車を停車させない理由がよく分かりません。


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