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 恵比島駅から隣の真布駅までを徒歩で移動します。このまま恵比島で次の列車を待っていても待ち時間が長すぎるので、このようにすれば、真布駅の訪問も行えることになります。徒歩での距離は約3.3kmで、多少時間はかかりますが、歩くことが不可能な距離ではありません。北海道と聞くと、どうしても駅間距離も長い印象があるかもしれませんが、近いところは近いのです。

 北海道らしい真っ直ぐに伸びた道路、緑豊かに実ってきた農作物、そして僅かに描く諧調が美しい青空。25度もないような気温は、スーツケースを転がしながら歩いても苦にはなりません。一定のリズムを鳴らす我が足音、それにずっとついてくるスーツケースの音。普通、3.3kmも歩くのはそれなりに大変なことですが、とても気持ちの良い散歩になりました。




                   











 真布にやってきました。板張りのホームに木造の駅舎。周囲が開けているので”秘境駅”という感じはないかもしれませんが、普通列車でも一部は通過する駅であり、到達するのが容易ということはありません。いま、JR北海道では利用客僅少な駅の整理を進めていますが、このような出で立ちであること自体が利用客が少ない証であるわけで、いつまで持ってくれるのか・・・。

 板張りのホームの上を歩けば、木材同士が擦れ合う音なのか、あるいはそれが撓む音なのか、ギシギシという音が鳴ります。駅名標の両隣の駅はシールが貼られたものとはなっておらず、石狩沼田駅と恵比島駅が共に長年存続し続けていることが分かります(もし廃駅になっていれば、隣の駅がシールになるので、最近廃駅があったことが分かる)。

 枕木方向に木材が配置されていたホームから一変、レール方向に床材が配置された待合室内は、当然他には誰もいません。ちょっとした勉強部屋くらいの小さな小屋ですが、それでも私ひとりで占有してしまえば、それは大変な贅沢になります。駅前を通過していく車の音だけが目立つ空間ですが、ふとちょっと物思いに耽りたくなるような、そんな場所・・・。

 利用客視点で見れば良いことでも、我々のような旅行客視点からすれば、もしこの待合室やホームが長年の風雪に耐えられなくなって鉄筋建築やコンクリート製になれば、風情がなくなったと言って見放してしまうかもしれません。普通の駅舎やホームをわざわざ手で触ろうとする人はいませんが、こうも木・木・木だと、なんとなく手が伸びてしまう。真布駅は、そんな雰囲気に満ち溢れています。




         







 キハ150形の普通列車に乗って深川を目指します。タタン、タタン・・・とリズムを刻んで走る列車の様は、まさにローカル線の普通列車のそれ。網棚と同様、”枕木”という言葉も、実態と名称が一致しないことが増えてきていると思いますが、線路に目をやってみると、そこにあるのは本当の枕木で、名前通りのものになっていました。

 わざと手を抜いているということはありませんが、とはいえこのようなローカル線を万全に保守できる体制があるのかというと、そのようなことはなく、列車は直線でも左右に振られることがあります。そしてその線路は、よく見てみると、例え直線であっても歪みが生じていて、それが乗り心地に直接反映されます。まあ、これもまた乙なものではあるんですが。

 単線非電化の留萌本線の横に複線電化の函館本線が現れると、まもなく終点の深川です。


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