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 北比布駅〜塩狩駅をドライブしつつ塩狩駅を目指します。塩狩は、2021年3月のダイヤ改正で廃駅になる駅ではありませんでしたが、小説”塩狩峠”の舞台になった駅ということもあって(中学生のときの読書感想文に使った覚えが・・・笑)、どうせなら立ち寄ってみたいと思い、次の廃駅予定地に行く前にここに寄ることにしました。

 天候に恵まれた日のドライブというのは、もうとにかく最高です。単なる「乗り鉄」であれば、ぎりぎり悪天候でも楽しめないことはないものですが(特に雪国なら、大雪というのはそれはそれで良い)、ドライブにおける曇り空は困りもの、雨や雪は論外です。夏の北海道において晴れ空の下に車を走らせることができる喜びというのは、もう、本当にありがたいことで・・・。

 塩狩駅は、文字通り、塩狩峠の頂上にある駅で、周辺には民家も少なく、駅は自然の中にあります。一応、観光施設としては塩狩峠記念館がありますが、いずれにしても利用客は少ない駅です。そういうわけで、廃駅こそ逃れていますが、2021年度からは、地元・和寒町が意地・管理する駅に移行しています。正直雲行きは明るくはないと言えましょう。

 利用客数の比較で言えば、北比布や南比布に対しても目糞鼻糞を笑うの次元なのですが、こちらはコンクリート造りのしっかりとしたホームを持っており、またその長さも2両〜3両編成くらいは収まりそうなものになっています。構造としては列車交換が可能な相対式2面2線であり、列車運行上の役割は大きいです。

 駅舎は、それはもう北比布や南比布より遥かに立派なもので、これならば風雪にもきちんと耐えられようという安心感があります。待合室の中で歩き回ることができるくらいの大きさはありますが、これはやはりかつては有人駅であったというところに由来しているのでしょう。旅客案内の駅員がいなくなったあとも、運行管理の要員はしばらく残っていたため、これもまた駅舎を大きくした理由と言えます。

 峠のてっぺんにある駅で、かつてここであった悲劇に思いを馳せる・・・というほどに綺麗ごとが書ける人間ではないので、ここで頭に思い浮かんできたのは、「そういえば、塩狩峠を読書感想文で書いたような・・・」という事実だけ・・・。




           








 塩狩駅からほど近いところにある蕎麦屋「峠そば」で昼食を摂りました。明らかに市街地からは離れているので、主に物流のトラック運転手などの来客を見込んでいるのでしょうか(現に、そう遠くないところにトラックも多数駐車できるチェーン着脱場がある)。

 さて、今回借りている車は、「カローラツーリングハイブリッド」です。トヨタレンタカーの区分でいうところの「スタンダード」に属する車で、今回はクラスのみ指定して車種は指定しませんでしたが、これがやってきました。普段は「スタンダードプラス」のマークXばかり乗っているので(こんな風に)、今回もそうしようと思っていたのですが・・・。

 もとよりスタンダードとスタンダードプラスに金額差がある中で、後者はトヨタレンタカー会員による10%割引のみであるのに対して、前者はキャンペーンによって40%割引が適用されていたので、6時間しか乗らないというところからも考えて、やや不本意ではありますが、今回はマークXを諦めました。でも、私はビッグなセダンしか愛していません。




                       













 続いて東六線駅にやってきました。待合室には「東六線乗降場」とあり、ここが正式な駅ではなく仮乗降場であった時代を偲ばせます(1956年1月に仮乗降場として開業し、1959年11月に正式な駅となる)。

 ここを訪れるのは、今回は初めてではありません。2018年2月の47都道府県全制覇の旅でも訪れており、当時は真冬でしたが、今度は夏ということで、同じ駅でありながらも、全く異なる雰囲気を湛えているように感じられます。南比布と北比布は、今回が初めての来訪であり、「”にわか”か」という誹りも免れられぬものですが、こちらは2度目です。そして以前に行ったことがあったからこそ、もう1度行っておきたかったのです。

 この駅は、空撮写真で見ると、農作地帯の中にあることが分かりますが、駅の前後には防雪林が植樹されているため、駅ホームからは、周囲の様子が分かりません。そのため、一見、山奥かどこかにある駅であるように感じられるものでした。

 たとえどんなに小さな駅であっても、駅として存在している間は、地図上にも掲載されます。しかし、廃駅となった後は、地図からもその存在が消され、やがてはホームや駅舎といったものも解体され、いずれはそこに駅があった痕跡が消されてしまいます。だからこそ、せめて頭の中に記憶として刻むくらいのことはしておきたいのです。

 真冬に訪れたときは、防雪林による視界の遮りだけでなく、雪による見通しの悪さや”囲まれ感”もあって、まさにひっそりとした佇まいを見せていましたが、夏空に放り込んでみると、いやはや不思議なもので、急に「日本の長閑なローカル線」の雰囲気を醸し出す駅へと早変わりするのです。


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