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 北剣淵も、かつての47都道府県全制覇の旅のおまけ部分で訪問しています。約2年半ぶりの訪問ということになります。北海道の豪雪にも耐えうる木造の待合室は当時のままで、くたびれ感とも風合い感ともつかぬ様子で建っているのも、当時と変わりありません。あのときは何もかもが雪に覆われていて、周囲がどのような感じだったのかを掴めませんでしたが(降雪でもあったため)、今ようやく分かりました。

 あのときはホームへ行くための階段さえもが雪に埋もれていましたが、今日はきちんと段を上っていくことができます。いつもの板張りホームですが、北剣淵駅のものは、心なしか長めであるような気がします。衛星写真で測ってみると、北剣淵駅は約36mの長さであるのに対して、東六線駅は約22mであったため、少し長さがあることはたしかなようです。

 和寒駅の手前から続く長さ約7.4kmの直線にある北剣淵駅から和寒駅方面を見ると、まっすぐ伸びていく線路の先が陽炎で揺れていました。本州よりはがぜん涼しいと言っても、それでも夏は夏。どこまでも続いてくような線路が陽炎に揺れるとき、この自然に恵まれた環境とも相まって、何か童心を思い起こさせるような気分になります。

 季節的にはまだ夏ですが、麦と思しき農作物が収穫された畑もありました。そのようなところは一面が麦色になり、それが青空と組み合わさると、緑と青の組み合わせとはまた違った眺めが作り出されます。それはまるで晩秋の景色かのようで、ひと目見てそれを7月の景色であると見抜くのは難しいのではないでしょうか。本当に牧歌的というか何というか・・・。

 北剣淵駅周辺をうろうろしていると、下りの特急サロベツ号が通過していきました。このような駅に特急が停まるはずは当然ないのですが、列車に乗っていれば「あることに気が付けないかもしれない」レベルの小さな駅であるため、特急列車だからこそ通過したという感覚は薄いでしょう(普通列車でも一部が通過していましたし)。




                       













 続いて下士別にやってきました。ここも廃駅予定地で、今回最後の訪問駅です。ここは、これまで見てきた4つの廃駅予定地とは少々異なり、ホームはコンクリート板を敷き詰めたものになっているほか、そのホームに繋がるアプローチはスロープとなっていて、階段ではありませんでした。このため、造りは比較的かっちりとしていて、また図らずも?バリアフリーに対応した駅でした。

 待合室も鉄板で造られていて、非常に簡易な造りとなっていた4つの駅よりも遥かに立派でした。そのようなことから、他の4つの駅よりは利用客があったのだろうかと推測できますが、あいにく2021年3月のダイヤ改正で予定通り廃駅になりました。

 コンクリート板を敷き詰めたホームは、板張りホームとは異なり、”茶色”というよりは”灰色”です。このため、ホームがある景色というのが、板張りホームがある駅とは違ったものになります。また、ホーム上を歩いたときの足音というのも、木材同士が軋んだり擦れたりするような音ではなく、コンクリート板を支える鉄骨が響くような音です。

 周囲はだいぶ開けていて、北の大地の中にあるという雰囲気があります。いくつかの民家はあり、また郵便局も駅のすぐ近くにあるなど、秘境駅というよりは小ぢんまりとした駅という印象でした。が、結局隣が士別駅となれば、そちらを使えば事足りるわけで(特急列車も停まりますし)、わざわざ下士別を使う理由というのは薄かったのだろうかと思います。

 線路に交差する道道925号線は、乱れなき一直線が伸びています。その先端はやはり陽炎の中にありますが、それに沿うように設置されている矢羽根(冬期に道路の端の位置が分かるようにするための設備)もまた揺れています。道は左右に曲がることなくまっすぐですが、高低差はあり、奥へ行くほど坂を上っていることが分かります。




                           















 下士別を後にして名寄市街を目指します。名寄のトヨタレンタカー近くのガソリンスタンドを目指して車を走らせましたが、その距離は約19km。今回は短距離の移動を繰り返すようなドライブになったため(駅間同士の移動が基本だったため)、実はこの19kmがひと区間としては最も長いものでした。とはいえ30分くらいなので、運転して苦になるものではありません。

 郊外は「これこそ北の大地よ・・・」と呟きたくなるような景色が広がりますが、名寄市街に入ると、一気に”普通の街”という感じになります。それでも、市街地は見事なまでに碁盤の目状となっていて、交差点以外でステアリングを操作することはほとんどありません。これはまさに北海道の街らしいと言えましょう。

 車を返却して名寄駅に行きました。赤い屋根が特徴の名寄駅は、かつては宗谷本線以外にも、名寄本線と深名線も接続する駅でした。今は宗谷本線だけとなりましたが、列車の本数は名寄を境に南北で大幅に異なり、「使えないこともない」南線に比べると、北線は「鉄道としての存在意義が問われかねない」ものになっています。

 私は特急サロベツ4号に乗って札幌方面を目指します。


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