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 T38の展望室は、360度いずれの方向も見ることが可能になっていて、東西南北に広がる札幌の街並みを見ることができます。旭川でも人はなぜこのような極寒の地に街を作ったのか?」と不思議に思ってしまうくらいでしたが、札幌は、寒さの度合いでいえば旭川には及ばないものの、街の規模は格段に上回っていて、一層そのような思いが強くなります。

 一般住居から商業施設までが入り乱れる札幌市街ですが、街はおおむね碁盤の目状に整備されていて、非常に整然としています(それゆえに、「どこに行っても十字方向に道路がある」ということで、私としては、結構道に迷いやすくて苦手なのですが・・・)。札幌駅の近くは、さすがに一軒家は少なく、住居というとマンションが目立ちます。

 札幌駅周辺は地下通路が凄まじく発達しているので、展望室から見ても、人の行き来というのはさほど多くなく、車が目立ちます。といっても、これは別に人がいないということではなく、人は外ではなく地下を歩いているということです。今は夏ですが、冬になれば、その傾向は顕著になることでしょう。大阪も地下移動する人が多いため、外を歩いている人というのは、想像しているほどには多くありません。

 行き来する列車の前照灯が目立つようになるころ、札幌の街は着実に夜へと歩んでいきます。空はまだ明るくとも、地表は時計の針が時間を刻むたびに暗くなってゆき、やがて街明かりが眺望を支配するようになります。今回は真っ暗になるまでいられないのですが、ここから見る夜景というのは、きっとこの上なく美しいものでしょう。

 T38に来るのは今回で3回目ということで、過去2回ではやっていなかった「街並みを見ながらの食事」をすることにしました。T'CAFEと呼ばれる軽食コーナーで料理を注文し、番号札3番でその完成を待ちます。




                         














 札幌の街並みを見ながら料理の完成を待ちます。札幌市は、北日本で一番の大都市であるとともに、日本でも5番目の街(人口で順位付けした場合。1位東京、2位横浜市、3位大阪市、4位名古屋市、5位札幌市)となります。気候的には、正直どう考えても過ごしやすいところとは言えないはずですが、非常に多くの人々が集っています。

 最近は東京のような都市をこきおろして地方を持ち上げる声もありますが、私は都市が大好きです。人の集積とは、即ち経済的賑わいや活気を意味し、たくさんの人々が1か所に集まって生活を営むことは、都市というひとつの人的集合体が織り成す物語です。街に明かりが灯るたび、人が街を歩くたび、車が道路を走るたびに、都市は生き物のような躍動を見せてくれます。

 さて、そうしていたら、注文していた料理が完成しました。この先夕飯という夕飯が得られそうな時間も場所もないので、ある程度お腹を満たせそうなものにするということで、チキントマトドリア・ソーセージロール・アイスコーヒーの注文としました(明日は仕事があるのでアルコールは入れない。例え旅行中であっても、これは私のポリシーです)。

 北海道で最も高い建築物からの眺望と共に摂る食事は、些細な軽食であっても、それを大変美味なものに変えてくれます。日没が迫ると、景色というのは本当に秒単位で移り変わってゆくもので、またとない刹那の美景が次々と展開されます。

 用を足してから展望室を後にしようと思うわけですが・・・、T38にあるお手洗いは「眺望トイレ」と名付けられ、札幌の街を望みながら用を足すことが可能です。「唯一無二の開放感を」とは公式サイトの弁ですが、まさにその通りかも・・・。

 街の灯火も美しくなってきたころに札幌駅に戻ってきた私は、19:35発の快速エアポート196号に乗ります。2020年3月のダイヤ改正で、普通の快速エアポート号に加えて、停車駅を絞った”特別快速エアポート号”が誕生しました。それと同時に、かつて”スーパー”を名乗っていたスーパーおおぞら・スーパーとかち・スーパー北斗から”スーパー”の冠が外れました。




                       













 快速エアポート号=721系というのは今や昔、現在は733系もエアポート号に使用されています。乗車するのはもちろん指定席・uシートで、エアポート号に乗るときは、例え小樽〜札幌間のような乗車であっても、必ずuシートを使います。混雑する普通車自由席の喧騒から離れ、リクライニングシートに身を任せて移動できるというのは、実にありがたいことです。

 すっかり夜になってしまった札幌を発って、列車は新千歳空港を目指します。新札幌、北広島、恵庭・・・と停車するということで、これは普通の快速エアポート号です。こちらとしては、当然特別快速の方に乗りたかったのですが、なにぶんあれは非空港利用客以外による都市間移動の需要が少ない朝晩しかないもので・・・。

 恵庭は、札幌でもまだ導入されていないフルカラーLEDの発車標が導入されていました。また、副駅名として「北海道文教大学前」が付けられていますが、正規の駅名標の中に記載されるようなことはなく、駅名標の下部に補足的に掲げられる程度になっています。

 駐機する飛行機の姿が見えたら、終点の新千歳空港はもうすぐです。その新千歳空港は、なぜかJR東日本の駅名標を彷彿とさせるようなデザインになっていて、元JR東日本エリアの住民としては、ちょっとした懐かしさがあります。

 20:46発のエアポート207号は、噂の特別快速としての運転です。途中停車駅は南千歳・新札幌のみと、特急列車並みに絞られているほか、通常の快速エアポート号では行われている小樽方面への乗り入れを実施せず、新千歳空港〜札幌間のみの運転となっています。どうせなら小樽まで行かせて、札幌〜小樽間の途中停車駅は手稲のみでどうでしょうか?


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