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 四万十川沿いにはいくつもの沈下橋がありますが、ここ高樋橋もそのひとつです。自動車の通行はできない細い橋で、「本流最上流の沈下橋」とのこと。エメラルドグリーンの四万十川に架橋されたコンクリート造りの素朴な橋は、飾り気一切なしのシンプルな構成であることで、夏の四万十の景色によく調和しています。

 青色の身体に茶色の翅を持った大きなトンボは・・・、調べてみたところでは、ミヤマカワトンボでしょうか。初日に佐田岬で見たトンボは、アキアカネのようなトンボ(でも夏に見られるものなのでしょうか)で、夏というよりはもはや秋という雰囲気を演出していましたが、清流四万十川に渓流特有のミヤマカワトンボ・・・。いかにも夏ですねぇ。

 四万十川に目をやってみると、なるほどたしかに日本三大清流に数えられているのも頷けるというもので、その美しさといい清らかさといい、並みの川とは比べ物にならないことがよく分かります。水というものは、綺麗さを極めたら透明からエメラルドグリーンになってしまうのだろうかと思わされてしまうくらい、この宝石のような緑色は印象的です。

 四万十川がこうして緑色に見えるのは、水中の栄養分となる植物プランクトンが豊富に含まれているからという理由もありますが、それはつまり、この川で豊かな生態系が営まれているということも意味します。水中を見てみれば、小魚が気持ち良さそうにノビノビと泳いでいます。単に郊外や田舎なら見られるというものでもない、選ばれし地だけで目撃できるこの一瞬は、実は大いに価値があるものなのでしょう。

 ひたすら車を走らせ続けて、なんとか土佐湾が見えるくらいのところにまで来ました。思えば、まあ四国カルストに行っていたからには当たり前なのですが、いつからかずっと内陸の山間部ばかり走っていたので、海は久しぶりです。




                           















 特に深い意味はなく影野駅に立ち寄りました。駅舎内には、志国土佐 時代の夜明けのものがたり号の幟が保管されていましたが、ここを同列車が通過する際に、地元住民による歓迎でも行われるのでしょうか(トワイライトエクスプレス瑞風等でもそうですが、最近、地元の人々が観光列車を出迎えるというものが流行っていますね)。

 ふと時刻表に目をやると、なんと影野駅、1日にたった5往復の普通列車しかありません。特急列車がそれなりに往来しているので、今まで考えたこともありませんでしたが、実は土讃線の西端はかなりのローカル線状態のようで、1日5往復の普通列車しか停まらないというのは、北海道のローカル線と良い勝負ができるレベルです。

 屋根もなく「これ、通過列車があるとき、結構スリリングなのでは」と思ってしまう狭小なホームがいかにもローカル線の小駅という佇まいであるのに対して、駅舎はそこそこ立派で、ベンチも2台置かれています。1970年10月に無人化されるまでは有人駅でした。

 ところで今回借りているマークX、旅行時にはしばしば借りる車種で(もっとも、2019年12月に生産終了となり、今後新しく配備される車両がないため、続々と全国のレンタカーから退役していますが)、実家の車の次によく運転している車種かもしれません。サイズ感といい走行性能といい、個人的には、とにかく扱いやすい車と感じています。ハイブリッドでもなければアイドリングストップもありませんが、リッター10kmは簡単に出ます。

 四国カルストを走ったときも思いましたが、夏の四国はバイク乗りにも人気があるようで、道の駅にも休憩中のツーリングをしている人たちが多くいました。北海道などと比べると地味ですが、でもたしかに四国は良いところです。




                           















 続いて予土線の打井川駅に立ち寄りました。駅は木陰に隠れるような立地で、そのようなこともあってか、7月半ばになりましたが、まだまだアジサイが綺麗に咲いていました。駅は道路よりも一段高いところにあり、ホームに辿り着くためには階段を上ってゆく必要がありますが、これは江川崎〜若井間は1974年開業で比較的新しい=高規格な路線という証左でもあります。

 「四万十川を望む駅」と言い張れるような言い張れないような、川に近からずとも遠からずという立地の駅ですが、1日平均の利用客数はゼロとなっていて、日常的な利用者はいないようです。本当に四万十川が眼下に見えるとかであれば、そのロケーションが注目されて、もっと多くの人々に名が知られても良いような気がしますが、少なくとも私は、打井川駅が多くの観光客が訪れる駅であるとは聞いていません。

 「木陰に隠れるような・・・」と書きましたが、実際ホームは、プラットホームも待合室も苔だらけで、なかなか陽射しが当たらないということが分かります。ここはフィギュアメーカー・海洋堂の歴史と制作物の博物館「海洋堂ホビー館」の最寄り駅ということになっていて、駅にもその掲示があるのですが、来館者を出迎える最寄り駅としては、お世辞にも整備されているとは言えず・・・。

 なお、列車で打井川駅に来た場合、平日・土曜日は電話をすれば送迎車がやってきて、日曜日・祝日は北幡観光バス(コミュニティバス)を利用せよとのことですが、なんか、普通は逆のような気もします(平日はコミュニティバスを使ってもらい、土曜・日曜・祝日は送迎車が迎えに来る方が自然であるような)。


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