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 自ら「へんぴなミュージアム」と名乗っている通り、海洋堂ホビー館四万十は、たしかにアクセス的には不便な場所に位置しています。一応、打井川駅が最寄り駅で、先の通り送迎バスもあるということになっていますが、だいたい予土線の本数を考えれば、あれをこの博物館へのアクセスに使えというのは、少々無理があるかと・・・。

 海洋堂は、模型やフィギュアなどを製造しているメーカーで、その業界ではかなり名前を知られている一流メーカーとのこと。ここ海洋堂ホビー館は、1964年の同社創業からの歴史を紹介したり、同社が制作してきた作品を展示したりしている、まさしく「海洋堂の博物館」です。もともと打井川小学校の体育館として使われていた建物を改修して使用しており、同校の校歌のパネルも見られます。

 体育館としての面影を残したまま博物館として運用していることで、館内を歩き回っているだけでも、どこか懐かしい感じがしてきます。例えば、2階部分に通された廊下とか・・・。私はいわゆるガンプラをよく作っていたこと以外には、模型やフィギュアに触れていた記憶はないのですが、展示内容は、刺さる人には刺さるのだろうと思います。それ+小学生のときの記憶を呼び起こしてくれそうな、この建物。良い組み合わせですね。

 7月22日から「ウルトラマンフィギュア展」が開催されており、ウルトラ戦士たちが大小様々なサイズで立体化されていました。個人的にポイントと思うのは、ここでいう「ウルトラマンのフィギュア」とは、架空の巨人としてのウルトラマンを立体化したものというより、人間が中に入っている着ぐるみとしてのウルトラマンを立体化したものであることですね。それゆえに、フィギュアも”スーツの皴”が再現されています。

 土佐くろしお鉄道の中村駅でレンタカーを返却し、今回の旅におけるドライブはここで終了。愛媛で借りて高知で乗り捨てたので、乗り捨て手数料がなかなか痛かったですが、だからといってケチって愛媛県内で返却していたら、その後の移動が非常に面倒なものになり、旅程が成り立たなくなってしまいます。




                         














 特急あしずり10号に乗って窪川を目指します。南風号・しまんと号からは退いた2000系ですが、あしずり号・宇和海号では引き続き運用されており、まだ2000系に乗れるチャンスが完全に失われたわけではありません。中村はマルス設置駅となっていたので、普通のJR様式のマルス券が出てくるのかなと思っていましたが、切符は手書きの出札補充券での発行でした。

 音、揺れ、車内放送、空間。いくつかの要素が2000系を2000系たらしめるものとして出現し、「そういえば2000系ってこんな感じだったよな・・・」と懐かしませてくれます。懐かしませるといっても、2600系や2700系に乗車した回数と比べれば、2000系に乗った回数の方が遥かに多いのですが、最もよく見かけていた「2000系特急南風号」がもはやないという事実が、そうした感傷を呼び起こすのかもしれません。

 古い車両であるからこそ新型車両に置き換えられたというのが事実ですが、単線・非電化の路線を振り子を作動させて走り抜けるその姿には、古いも新しいもありません。その豪快な走りが展開されている一瞬においては、落成したばかりの新車も、明日引退する老兵も、そこに違いという違いはないのです。どちらも特別急行の看板にふさわしい走りがそこにあります。

 中村からは36分で窪川に到着します。新幹線でもないのにプラグドア(2600系、2700系は普通の引き戸)というところに、1989年登場という時代的な背景(バブリーというか、そういうところにもコストをかけられるだけの余裕と価値観があったのでしょうか)を感じつつ、高知に向かって発車してゆくあしずり号を見送りました。




                                         





















 窪川で約1時間の待ち時間があります。実を言うと、乗り継ぎそのものは、あしずり10号の次の普通列車でも十分に成立することになっていたのですが、「2000系に乗れるときがあるなら乗っておきたい」ということで、あしずり10号で中村〜窪川間を移動しました。その分、窪川での待ち時間がやけに長くなってしまったというわけですが。

 窪川に乗り入れてくる予土線の列車には、しばしば変わり種の車両が投入されます。世間的にも多くの話題を振り撒いたのは、0系風のキハ32形でしたが、海洋堂の模型をショーケースに入れて車内で展示したり、鬼のラッピングを施した車両があったりしたかと思えば、いま窪川駅にやってきたのは、ウルトラマンフィギュア展の告知を兼ねた「ウルトラマンラッピング車両」でした。その名も”ウルトラトレイン”。

 唐揚げを貪りながらホームで待ちぼうけていると、お目当ての列車がやってきました。その列車こそは、「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」号です。キハ185系改造による観光列車で、「特急列車として」窪川〜高知間を結んでいます。もっとも、速達性度外視の観光列車なので、特急列車といっても、速さは・・・ですが(快速では収益が上がらないというのであれば、個人的には、急行がちょうど良いのではという気もしますが)。

 今やってきたのは下り列車で、上り列車として折り返すための車内清掃・準備が進められます。おとといの伊予灘ものがたり号もそうでしたが、もとより人気のある観光列車で、それが連休時となると、果たして指定席券を無事に購入できるだろうかという問題がありましたが、幸いどちらも「1か月前の同じ日に、会社の昼休みに窓口に駆け込む」ことで事なきを得ました。
 伊予灘ものがたり号と時代の夜明けのものがたり号に乗ることは、今回の旅の中核ともいうべき要素だったので、それらが不成立となると、たちまち旅の価値がだだ下がりする羽目になっていましたが、ホント、回避できて良かったです・・・。

 外観はラッピングによって大きく変化していますが、しかし種車のキハ185系の面影はよく残っていて、1両につき2か所ある乗降扉のうちの1か所が閉塞された点を除けば、方向幕部分すらも元のキハ185系のものが残っており、ひと頃のジョイフルトレインにありがちだった「元の車両が原形をとどめていない」という状態にはなっていません(もっとも、それゆえに面白みがないといえば、たしかにその通りなのですが)。

 乗客を出迎えるカーペットが用意されれば、まもなく準備は完了です。志国土佐 時代の夜明けのものがたり号に乗り込みましょう。


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