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 室戸岬に着きました。海と空を見つめる中岡慎太郎像が鎮座し、彼が見つめる先にはどのような景色が待っているのだろうかと想像してしまいます。約75mの散歩道を通り抜けると、視界は急に開け、室戸岬が誇る多くの奇岩が出迎えてくれます。1日2日では、ましてや人間が彫刻しても創ることはできないであろう自然の造形美がここにはあります。

 ここまでは奈半利駅からバスで1時間ほどであり、そもそも奈半利に行くまでも手間だということ(高知から普通列車同士の乗り継ぎで約1時間30分)を思うと、なかなか不便な場所にあるものだと感じずにはいられません。行く場所が場所なので、今日は高知でレンタカーを借りるかなとも考えていましたが、今日は最後までレンタカーは使いません。だいたい、”公共交通機関があるだけ”マシとも言えますから。

 打ち寄せる波の音が耳を震わせれば、ひとつとして同じ形をしたものはない奇岩が視界に焼き付きます。こういったものは、千年単位や万年単位に及ぶ歳月によって生み出されるわけですが、今でもなお岩々は日々の移り変わる自然に晒されているわけですから、極めて長い歴史の中で見れば、今日もまた昨日とは異なる奇岩が生まれている”歴史の中のささやかな1日”とも言えます。

 層が横に重なっている岩もあれば、縦に積み重なる岩もある。ひとつひとつの岩を見たところで、知識たっぷりな蘊蓄を語ることができるほど地理や歴史に詳しくはありませんが、その眺めには、ただただ圧倒されるばかりです。私は常々思っていますが、真に心に響く絶景は、いつも困難の先にこそ待っています。室戸岬へのアクセス性程度で”困難”とは笑止千万ですが、でもこれは街中では手に入りません。

 岩場を駆け上がってちょっと高いところから太平洋を見れば、綺麗に整備された展望台とはまた違う最高の景色を得られます。




         







 波は時折大きなしぶきを上げます。その波の形は毎回必ず異なり、以前と同じになることは一度もありません。これもまた、室戸岬における一期一会の一瞬を作り出す仕掛けとなっています。ここから南を眺めても、そこには陸地の影は全くなく、室戸岬から南方向に進んで最も近いところにある島は、約2,800km以上は遠くのパラオです。

 ところで、特急むろと号というのは、当然この室戸岬が名前の由来であるわけですが、現在の終着駅は牟岐で、それはここから直線距離で50kmは離れています。もし甲浦と奈半利を鉄道で結ぶという計画が実現していれば、室戸岬に来る「むろと」が実現していたのでしょう。もっとも、この手の話の筆頭格は、物理的に沖縄県に行けないのに名付けられた「なは」で、最後は鹿児島からも更に手前に来た熊本止まりでした。

 南に突き出した室戸岬は、日の出も日没も美しいという場所。日中は、海の青さに負けない青空が旅人を出迎えてくれます。ここにあるのは、決して最果ての殺風景というわけではなく、亜熱帯植物にも恵まれた、自然が持つ険しさと豊かな緑の両方を兼ね備えている空間です。四国の中では行きたいと思っていた場所のうちのひとつでしたが、その期待は裏切られませんでした。




           








 室戸岬からもう一度バスに乗って目指す先は、「むろと廃校水族館」です。室戸岬まで来たからには、そこにも行きたいと強く思っていましたが、少ないバス本数でそれをうまく実現するには、前後の時間帯での過ごし方になかなか苦労させられたものでした。

 奈半利方面から来るバスは、全て途中の室戸世界ジオパークセンター止まりで、そこで別路線に乗り換えなければ、むろと廃校水族館には行くことができません。バス会社の都合で運行系統が分けられてしまっているということもあり、同バス停で乗り継ぐ場合には、一定の料金が割引される制度があります。今回は50円引きになります。

 岬の東側に来ても、海の近くを道が通っているのは相変わらずで、今日は本当に海には不足しません。そして、今から行く場所は水族館=海の生き物が展示されている場所ですから、結局海の生き物にさえも困りません。むろと廃校水族館は、旧椎名小学校を水族館に転用したという施設で、それはいったいどのようなところかと気になっていたのですが、さて、実際のところは・・・?


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