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 残念ながら、歴史そのものには大した関心はないので、展示内容にはさほど目はくれず、順路に従って前に進みます。しかしながら、城というものにある、一般的な家やオフィスとは全く異なる内装、雰囲気は面白いと思うので、城内の空間にいることそのものは楽しいです。一種の博物館としての松山城ではなく、建築としての城を味わいます。

 天守のてっぺんまで上がれば、そこは他にない「展望台」。山の上から松山市内を360度見渡すことができるのは、まさに松山城ならではの眺めであると言えます。その都会的な街並みの広がりを目撃すると、人口50万人はいる松山市は、四国で一番の街であるということがよく分かります。そんな「2021年の都市のど真ん中」に、考えようによっては素晴らしく時代遅れな代物が象徴的に鎮座しているのですから、実に不思議な話です。

 街の東側は山ですが、西は海となっているのが松山市の立地。よって天守からは、瀬戸内海も望むことができます。四国と本州を結ぶ航路としては、宇高連絡船は誰もが知っている知名度がありますが、広島(呉市)〜愛媛(松山市)にも、仁堀航路と呼ばれる連絡船がありました。もっとも、名前が示す通り、片や呉線の仁方駅、片や予讃線の堀江駅が最寄りということで、場所としては中途半端なところ同士を結んでいたようです。

 行きがリフトだったので、帰りはロープウェイに乗りたいところでしたが、タイミングが合わなかったので、帰りもリフトにしました。所要時間は長いですが、このように晴れている日であれば、外の風を浴びながら山を下りるのも悪くはないでしょう。ロープウェイには冷房などありませんから、むしろこちらの方が快適かもしれません。




         







 大街道に戻って伊予鉄道の路面電車でJR松山駅を目指します。今度は坊っちゃん列車などではなく、ごくごく普通の路面電車。大手町駅前駅(ややこしい・・・)付近にある平面交差は、路面電車と普通鉄道という異なる種類同士の鉄道が交わるという点において、日本でも唯一の存在です。鉄道設備が観光スポットになるという、珍しい事例と言えます。

 松山〜名古屋を結ぶ高速バス・オリーブ松山号は、明石海峡大橋経由とすることで、高松と徳島にも立ち寄りながら名古屋まで向かうという便利な路線になっています。名古屋行きは松山19:30〜名古屋6:04、松山行きは名古屋23:00〜松山9:37というダイヤになっており、これでも十分利便性に優れていますが、高松・徳島ベースで考えれば、深夜発・早朝着となり、なおのこと便利な路線です。




                                         





















 人口50万人の街の中心駅として些か小規模に見える松山駅・・・、分かる人には分かりますが、徳島駅のアレのことを考えると、こちらは逆に「都市の規模に対して不自然なほどに小さい」代表駅であると言えます。言うに及ばず、松山市のみならず愛媛県の代表となる駅なのですが・・・、都市の駅であるはずなのに、駅2階に入居しているダイソーの存在がやたらと目立っています。

 さて、ここから乗る列車はといえば、13:28発の伊予灘ものがたり号 八幡浜行きです。列車としては八幡浜行きですが、駅の表示は「八幡浜編」となっています。伊予灘ものがたり号にはサブタイトルのようなものがあり、大洲編、八幡浜編、双海編、道後編と名付けられた4つの名称が、運行される1本1本に別個に与えられています。

 松山駅の裏手では、現在高架化に向けた工事が進行しており、かつて松山運転所があった土地が整備されています。一応、高架化の名目としては「東西市街地の分断、交通渋滞を解消する」とのことなのですが、予讃線の運転本数で開かずの踏切になるわけでもないですし・・・、「本当か、それは」と内心思ってはしまいます(高架駅の方がカッコいいですから、見栄としては理解しますが)。

 伊予灘ものがたり号には、専用のキハ47形が使われていました(既に後継のキハ185系改造編成に交代)。きょう運転される分のグリーン券が売り出されたときには、既にその引退が発表されていたので、「この4連休のときに”引退する列車”のグリーン券が買えるだろうか?」と大いに心配していましたが、幸い10時打ちでなくても買えました(会社の昼休みに職場の最寄り駅の窓口に急行し、速やかにグリーン券を確保しました)。

 JR四国でもキハ40系の観光列車は引退してゆくのだというときになっても、JR西日本とJR九州では、未だにキハ40系を改造した新たな観光列車が生まれているということで、個人的には、いい加減「都度イチから設計しないまでも、JR東日本のHB-E300のように、観光列車用の形式を何かひとつ起こしてはどうか」と思うのですが。

 伊予灘ものがたり号の車内整備が行われているころ、隣の2番線には宇和海号として到着した2000系の姿が。南風号・しまんと号からは退いたものの、宇和海号ではまだ2000系の雄姿が見られ、あの独特の自動放送も健在です。しかし一方で、うずしお号から押し出されたN2000系が入り込んできてもおり、写真に見える2119も、ここから約1か月後の2021年8月30日付で廃車となりました。


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