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 下り方面の普通列車に乗ります。今日はずっと大歩危周辺の観光に明け暮れていたので、やっと鉄道に乗ります。土讃線の気動車普通列車=1000形のイメージは強く、例によって1000形なのですが、そういえば、土讃線にキハ40のイメージはありませんね。少なくとも私は土讃線でそれに乗ったことは1度もなく、Wikipediaにもいつ土讃線でキハ40の運用が終了したのかが書かれていません。

 土佐岩原、豊永、大田口、と各駅に停車していきますが、これらは特急列車に乗っていたら、その存在に気付くかどうかも分からない駅ばかりです。「見過ごされてしまう駅」の様子まで見ることができるのは、普通列車の良いところだと認めざるを得ません。「それでも遅いものは遅い・・・」のですが、土讃線の1000形普通列車は、その高性能のおかげで、区間によっては、かつての急行列車並みの所要時間で走れるのだとか。

 大杉で上りの特急列車と出会います。高松方にしまんと号、高知方に南風号がある、2つの列車が併結している便でした。日中は南風号が単独で走り、朝晩になると、しまんと号と南風号が併結する便が出てくるほか、しまんと号単独で走るものを見ることもできます。

 普通列車に揺られてやってきたのは、土佐北川駅でした。ここが普通の駅ではないことは、降りた瞬間にすぐ認識できることでしょう。トラスに囲われた妙な空間は、全国でも類を見ない特殊な環境。大阪に帰る前に立ち寄っておきたかった観光スポット、それが土佐北川駅です。




                           















 「川の上にある駅」、土佐北川は、その特別な立地で多くの人々に知られています。プラットホームは鉄橋の上にあり、北側はすぐにトンネルになっていて、その中を見通すことはできません(これがまた土佐北川の「変な場所にある」感を高めてくれるのですが)。写真では伝わりませんが、夕刻になっていたこともあってか、水が流れる音とヒグラシの声が心地良いBGMとなり、土佐北川駅の雰囲気によく合っていました。

 土佐北川駅はまさに鉄橋の上にあり、左右と上方はトラスが構えています。1960年に開業したときは、まだ普通の駅だったのですが、線路付け替えに伴う1986年の駅移転により、現在の立地となりました。「鉄橋の上にホームがある」こと以外には何もない・・・といえばその通りですが、それ自体が他の何にも勝る大きな特徴です。

 外に出るための階段は、2つの線路の間にあり、ここを上り下りしているちょうどそのときに列車が通ると、もうスリルは満点です(通過する特急列車ならば、なおのこと)。階段を下りた先は薄暗く、さながら秘密基地の様相。駅には待合室が設けられており、掃除用具や殺虫剤が置かれていることから、誰かが定期的に手入れをしてくれているのであろうことが分かります。

 駅の出口からは、北へ行くか、南へ行くかを選ぶことができます。場所が場所なので、ある一方は市街地に繋がり、もう一方は裏口に繋がり・・・とかではないのですが、とりあえず北を選んでみると、線路に沿った細い道をしばらく歩くことになりました。列車通過の迫力は、このときにも味わうことができそうです。

 その道をずっと進んでゆくと、階段を下ろされ、国道32号に降り立つことになります。もし南に向かっても、穴内川を渡ればすぐに国道32号線に辿り着くような場所に出るので、南北どちらを選んでも、結局行き着く先には大差がありません。橋脚に貼り付けられた「土佐北川駅」のプレートは小さく、しかもそれがある場所が連絡通路の端なので、これによってここが駅であることを認識することは困難です。




                       













 上りの普通列車に乗車します。土佐北川駅は1日に5往復しかなく、うまいこと”行って帰って”をすることができる列車の組み合わせは、非常に限られています。列車の後端から駅を遠望すると、鉄橋の上にあるという土佐北川駅の環境が、より一層分かりやすいです。

 私は隣の大杉で下車します。時刻表上は、みどりの窓口があることにはなっていませんが、簡易委託による窓口が営業しているようで、様々な切符を購入することができます。しかし、乗車券でいえば、北海道の一部の駅に対しては発売できず、寝台券も除外(ノビノビ座席は良いらしい)されています。同じJR線なのに、かわいそうなJR北海道(の駅)・・・。

 駅舎は2005年3月に完成したもので、大小2つの三角屋根が並ぶ駅舎です。見ようによっては、本体部分が地中に埋もれ、屋根だけが飛び出しているようにも見えますが・・・。その隣には、足場で囲われていて全貌が分かりませんが、何か大き目の建物があり(Google Mapでも名称が出ておらず、詳細は不明)、1階にある公衆便所だけが、建物の改修中も使用できるように開放されていました。

 大杉駅には「大豊町つどいの広場”とまレール大杉”」の愛称がついています。左右の三角屋根の部分で、何かちょっとした集会くらいは開けるようになっているのでしょうか。少し調べる限りでは、大杉駅周辺には、宿泊施設が一切ないようなので、とまレールはとまレールでも、”泊まレール”になってくれたら・・・。

 大杉駅の発車時刻表を見てみると、それなりの本数があることが分かります。しかし、それは全て特急列車のおかげであり、普通列車に限っていえば、1日5往復という本数は、先ほどの土佐北川駅と全く同じです。


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