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 駅前で見かけた「愛媛のタクシーは8月5日から禁煙」。年が書いていないので、いったいいつのことなのかと思って調べてみたら、2008年の出来事だったとのこと。現代では禁煙であるのは当然で、タクシーの中となればなおさら禁煙で当たり前と思っていますから、「2021年にわざわざこれを言うのか?」と思っていましたが、13年も前のこととは(その割にはシールが綺麗)。

 八幡浜〜別府・臼杵にはフェリーが就航しており、「いずれは乗ってみたい」と思っていましたが、それとは全く別の機会・・・伊予灘ものがたり号への乗車という形で、図らずも八幡浜で降りることになりました。伊予大洲は予讃線の旧線と新線が接続する駅なので、まだ降りるきっかけがありますが、八幡浜は他路線との接続がある駅でもないので、案外降りるチャンスには恵まれないものでした。

 今日最後の伊予灘ものがたり号、道後編の発車を遠くから見届けたら、駅舎内に入居しているトヨタレンタカーで貸出手続きを。JRの駅レンタカーとトヨタレンタカーを兼ねた店舗となっていますが、ここではトヨタレンタカーの方で車を借ります。”スタンダードプラス”のクラス指定で、カムリまたはマークXが来ることになっていましたが、選ばれたの後者でした。個人的には「当たり」です。

 ちなみに、マークXのような上級車両が貸し出されることは普段ほとんどないそうで、「こんな車を選ぶ客はどんな感じの人なのだろうかと気になっていた」とはレンタカー店員の弁。曰く「とてもお似合いだと思います」とのこと。




                           















 マークXを走らせて向かうのは佐田岬です。ここもまた「いつかは行ってみたい」と思っていた場所でしたが、思うだけで実行に移さないまま月日が流れていました。そのような中で、伊予灘ものがたり号に乗ると八幡浜で(強制的に)降りること、また今の時期であれば15:52に八幡浜に着いても、佐田岬の日没には十分間に合うということで、「やるなら今だ」と考え、レンタカーに乗り継いでの佐田岬突入です。

 佐田岬で日没を見ることは、今回の旅における重要な要素に位置づけられていましたが、幸いにも天候は良好でした。もちろん、雲の量が多い気がするとか、ケチをつけようと思えばいくらでも言えてしまいますが、それはあまりにも贅沢というものです。

 八幡浜〜佐田岬は50km以上はあるので、通しでは走らず、「道の駅瀬戸農業公園」などで適宜休憩をはさみながらの走行としました。一人旅の場合、車を運転する際の交代要員がいないという問題があるため、適切な休憩と「疲れない車選び」は大切です。私がレンタカーである程度良い車を選ぶのには、そういった理由があります(疲れたと弱音を吐こうにも、代わってくれる人は誰もいない)。

 駅前から1時間50分をかけて佐田岬の駐車場に辿り着きました。崖の下を見れば、とても人が立ち入ることはないであろう海岸、そして打ち寄せる波と、最果て感を漂わせる眺めが広がっています。それもそのはず、ここは四国で最西端の地となる場所ですから。

 とはいえ、有名観光地ではあるので、駐車場に多くの車やバイクが停まっていることが示すように、ここを訪れている人の数はそれなりにいました。




                                         





















 このように書くと「お前は己惚れているのか」と言われてしまいそうですが、それでもひとこと書くとすれば、佐田岬は、車の運転に自信がない人には、あまりオススメできません。というのも、駐車場に辿り着くまでの道には、狭隘な箇所や見通しが悪い場所がとても多く、対向車がやってきたときに難儀するようなポイントが多くあるためです(カムリよりも小回りが利くマークXで助かりました)。

 数多の難所を越えて佐田岬の駐車場まで来ましたが、ここで幾分心を折られてしまうのが、佐田岬の灯台は、駐車場から更に1.8km先の地点にあるという事実。舗装された歩道が整備されているとはいえ、ここまで決して楽とは言えない道のりを走ってきたのに、なおも1.8kmも歩かされてしまうとなると、いかにその先に絶景が待っていると言えども、かな〜り気力が削がれます。

 険しい道中、愛らしく咲く花々、絶え間なく打ち寄せる波、無機質な岩肌、錆を垂れ流す電柱。それらが目に飛び込んでくる光景は、明らかに「便利で快適な世界」とはかけ離れたものですが、絶景とはいつも困難の先にこそ待っているもの。そう心に言い聞かせるだけで、足取りは確実に変わります。四国の最果て、”最西端の地”に待つ他にない一瞬を求めて、1.8kmの山道を突き進んでいきます。

 鉄道に例えればまさに単線という細い道を歩んでゆくと、「椿山展望台」がある場所に至りました。ずっと山道を歩いているだけではうんざりしてくるので、ここでいったん椿山展望台に行ってみます。展望台となる山の腹には、相手方の戦闘機を照らすための「移動式探照灯」の格納庫があり、軍事施設の遺構も残された場所であることが分かります(これは岬の先端の御籠島も同じ)。

 椿山展望台に上がると・・・、そこには夕方の柔らかな日差しが差し込み、豊予海峡の先にある九州の地を拝んでいる、海の白亜の守り神が佇む光景が待っていました。九州が「なんとなく見える」ではなく「陸地として視認できる」というその事実が、ここが四国の果てであることを示してくれます。時計の針が進むごとに太陽は低くなり、その明かりは、海峡に光の路を作り出します。


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