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 奈半利から後免に戻ります。運良く快速列車に当たることができましたが、朝の普通列車と比べてどれくらい速いかというと、結論その差は8分なので、まあ「あって悪いことはない」というレベルでしょうか。奈半利〜安芸間が列車本数が少なく、そこは各駅停車になってしまうことが、速達性の向上には支障となります。

 乗車する車両は、平成14年富士重工業製の9640形。車よりも鉄道に馴染みがある人間にとっては、自動車ではスバルブランドで知られ、世間でもそう呼ばれることが多い富士重工業も、むしろ「スバルより富士重工業の方が分かる」というところでした。が、富士重工業は2003年2月に鉄道車両事業を譲渡し、「富士重工業」の社名も2017年4月に「SUBARU」に変更され、富士重工業の名は忘却の彼方へ。

 路線のほとんどが高架となっているごめん・なはり線では、築堤を走る区間は希少です。窓の外を見て、下に土草があると、思わずそれを写真に撮りたくなってしまいます。多くの区間で海沿いを走るという環境は、観光的には大きな利点になると思うのですが、実際、昨日乗った志国土佐時代の夜明けのものがたり号が奈半利まで乗り入れるということがありました。

 こうも海沿いを通っているとなると、恐れるべきは津波の存在で、ごめん・なはり線の沿線には、津波避難タワーが点在しています。ごめん・なはり線も、津波避難タワーほどの高さはないにしても、高架になっていることで、それだけで防災性という点にメリットがあると言えます。緊急時には、駅から線路に出ること自体が、津波からの非難になるかもしれません。

 後免で土讃線の普通列車に乗り換えました。高知行きの快速列車と入れ替わりにごめん・なはり線に入っていく奈半利行きは、阪神タイガースラッピング車両でしたが、同球団では、2023年より、高知県安芸市で行っていた春キャンプを、沖縄県うるま市に移転することになりました。このラッピング車両も、もう走らせることができないですね・・・。

 普通列車を土佐山田で降りて、後続の特急列車に乗り換えます。JR四国といえばアンパンマン列車ですが、JR四国バスの大栃線では、”アンパンマンバス”が運転されています。アンパンマン特急からアンパンマンバスに乗り換えてゆく先の終点・美良布には、アンパンマンミュージアムがあるということで、子供達にはたまらないでしょう。




                   











 特急南風24号に乗車します。前側に高松行きの特急しまんと6号を連結しており、行く先は大歩危なので、どちらに乗っても違いはありません。上に「特急南風24号」と書いてありますが、しまんと号とのどちらに乗ろうかで迷い、結局その場で「しまんと号の方が乗る機会が少ないだろうから」という理由で、前方のしまんと6号に乗りました。まあ、自由席なので、しまんと号に乗ったという証明は作れないのですが。

 単線非電化というのは、ごめん・なはり線も同じですが、土讃線はとにかく険しいです。その環境を速く駆け抜けるためには、振り子式車両であることは必須です。2600系は、当初2000系全体の置き換えを標榜していましたが、空気ばねによる車体傾斜方式では、土讃線を走るには空気容量が不足するということで、再設計して振り子車両とした2700系が生まれました。

 スイッチバック駅、山間部の小駅、川の上の橋梁部にある駅・・・、様々な駅をかわしながら、列車は土讃線を駆け抜けてゆきます。振り子式車両が非振り子式車両、あるいは車体傾斜式車両になるような退化が連発している中で、2000系の置き換えのために振り子式車両の2700系を造ったJR四国には、拍手を送りたいものです(ま、本当は、スジを起こして高速化もしてくれと言いたいところですが)。

 列車は38分で今日の目的地・大歩危に着きます。普通のホテルが多くありそうな都市部ではありませんが、私がここにやってきたのは・・・。




           








 送迎車に来てもらってやってきたのは、「サンリバー大歩危」です。吉野川を望む場所に位置する、典型的な観光ホテルですが、ここを”選んだ”ことには意味があります。当サイトにお越しになるような鉄道好きの方々なら、その理由は、もうお分かりかもしれませんが・・・。

 「吉野川第二橋りょうが見える鉄道部屋」、「ムーンライトおおぼけ」と称された屋島450が、今日の私の部屋です。何やら随分と期待をさせてくれるような文言が貼られているその扉を開けると、そこには、あらゆる鉄道グッズが置かれている、鉄道ファン向けに仕立てられた特別な空間がありました。新旧の時刻表に鉄道雑誌、ポスター、Nゲージ、果ては廃車発生品の座席まで、もはや至れり尽くせりです。

 今回、サンリバー大歩危にある「ムーンライトおおぼけ」には、是非泊まりたいと思っていました。しかし、このような部屋は当然1室しかなく、その1部屋が埋まってしまえば、もはやどうすることもできません。その人気は当然高く、どうしたものかと思っていましたが、明日月曜日は、今年の会社カレンダーでは休みです。”翌日が平日”ならば、ここが埋まることはなく、また料金も休日前より安いということで、お得に泊まれました。

 鉄道要素は多すぎて、もはやひとつひとつを詳しく語ることは難しいのですが、個人的には、窓際にある14系座席車の簡易リクライニングシートとその前方にある8000系リニューアル車両の座面が、やはり特に価値あるものだと思います。この座席に座って座面に脚を投げ出せば、グランクラスよりもファーストクラスよりも贅沢かもしれない時間が得られます。


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