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 8000系リニューアル車両で指定席として運用されることになった車両は、座席が交換され、青色または茶色の、クッションの厚みが強化された座席となりました(自由席車両は落成当時の座席のまま)。8000系は、2018年に1本だけ(試作車のS1編成)が廃車になっていますが、そこから持ってきたものなのでしょうか。どうせならこれも座席を丸ごと持ってきてくれれば・・・。

 14系座席車で使われていた簡易リクライニングシートは、私にとっては、急行はまなす号での思い出があります。指定席の場合、それはドリームカーと呼ばれ、キハ183系のグリーン車の座席を流用した座席が使われていましたが、自由席は、14系オリジナルの簡易リクライニングシートの表地を張り替えただけのものが使われていました。そうそう、この浅いリクライニング角度よ・・・なんて。

 室内には、往年の土讃線を再現したというNゲージジオラマが設置されています。もっとも、こちらは残念ながら、部屋の清掃をする際に一緒に手入れをしているということはないようで、線路上には埃が積もり、列車を走らせてもすぐに止まってしまいます。この宿、そして清掃員の人は、鉄道模型のプロではないというのは分かりますが、せっかくこういったものが置いてあっても、まともに使えないのはちょっとどうかと。

 この部屋のウリは「トレインビュー」であることらしく、”土讃線撮影本部”と称して、土讃線のダイヤグラムが提供されています(もっとも、私は、それよりも鉄道に関するあらゆるグッズがあるという点に惹かれていましたが)。瀬戸中央自動車道の与島PAに行くと、瀬戸大橋を通過する列車の時刻が公開されていますが、あちらは深夜でも貨物列車があるのが良いですね。残念ながら、土讃線は深夜帯の列車がありません。

 サボといった鉄道用品、実物のヘッドマーク、各所で使われたポスター等、ありとあらゆるものが宿泊者を楽しませてくれますが、それは布団を入れている押し入れの中にまで来ていて、本当に鉄道グッズが存在していない場所を探す方が難しいくらいになっています。ちなみに、便所の水洗の”大小”には、大歩危・小歩危の駅名標が割り当てられ、抜かりがありません。




                         














 周辺に徒歩で行けるようなコンビニ等がないという事情も踏まえ、今回は朝食のみならず夕食もつけました。まあ、このような観光ホテルに泊まるときならば、それも悪くないでしょう。周りを見れば皆家族連れという、少々居心地の悪さを感じながらも、”せせらぎ会席”を味わいました。旅先での夕飯はコンビニ弁当ということも多い私にとっては、さながらフランス料理のような緊張感を覚えます。

 食前酒、前菜、お造り、焼き物、煮物、替り鉢、進め肴、蒸し物、ご飯、汁物、香の物、水物という構成で料理が運ばれてきて、それらをビールと共に味わい、そして日本酒を挿めば、幸せな気持ちと共に1日が終わります。会席料理というからには、まあ満腹になるものではないのかなと思っていましたが、案外量もきちんとありました。ご飯と蕎麦がありましたからね。

 地元素材を活かしたという料理を楽しんだ私は、もう後は寝床にイン・・・ではなく、売店に寄ってから、もう少し続きを行いました。




           








 窓際に置かれた14系の座席を見たとき、私はふと思いました。「これ、夜に明かりを消してここに座りながら酒を呑めば、絶対にうまいだろうな」と。先ほどビールと日本酒は飲んだものの、まだワインは飲んでいないと気付いた私は、売店で”すだちワイン”を購入し、それを部屋に持ち帰って、早速持ち歩いていた白州と共に、14系の窓下に付いていた小テーブルに置きました。

 おお、これは良い雰囲気じゃないか・・・と自らご満悦。写真は状況が分かりやすくなるように、部屋の灯りを点けて撮影しましたが、消灯して座席に座り、これらのお酒を片手に土讃線の通過列車を眺めれば、そこにこれ以上ない素敵な時間が流れます。吉野川第二橋梁を渡る列車が奏でる、低く響き渡る走行音が辺りを包むとき、BGMとなった走行音が酒を促進させてくれます。結局、この晩は、程よくほろ酔いコースでした。

 ちなみにこの14系の座席は、温泉に向かうところの通路にもありました。ムーンライトおおぼけ以外に宿泊する人でも座ることはできると分かって、少しがっかりしたような気がしないでもない。。。


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