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 道後温泉は17年前に来た記憶があります。つまり2004年ということですね。当時は小学3年生だったということになります。道後温泉に行った、というそれ以上のことは何も覚えていないので、実質初訪問と言っても良いでしょう。が、そこまで言っておきながら、実はこのときは入浴まではしませんでした。だって時間がなかったもので・・・。

 地名に「道後湯之町」と付くほどに、道後温泉は地域に根付いています。今でこそ松山市内のいち地名ですが、かつては道後湯之町でひとつの自治体になっていました。ちなみに、当時道後湯之町が属していたのは「愛媛県温泉郡」とのことで、どこまでも温泉の存在が主張しています。

 道後温泉本館の近くには、地域猫と思しき個体が少なくとも2匹いるようです。さすがに人々から可愛がられているということなのでしょう、まるで警戒する様子がありません。しかし、陽射しは暑く、地面は暑く。上も下も暑いというサンドイッチ状態は、猫には少々かわいそうなこと。1匹目は、しばらくの間私が作る陰で横たわっていました。

 入湯しないのであればせめて本館の建築美を楽しもうと言いたいところですが、これまた残念、現在道後温泉本館は修復作業中であり、その工期は2019年1月〜2024年12月とのこと。惜しいどころか、まさに工期のど真ん中ともいうべきタイミング。それでも、誰が言ったか、「それが終われば”工事をしていない姿”がまた何年も続くのだから、工事中の姿はむしろ貴重なもの」。まあ、たしかに生きているうちに2度は見ないかもしれません。

 道後温泉での入浴はしませんが、その代わりに「道後ぎやまんガラス美術館」なるところに行ってみようと思います。道後温泉は知名度も高く、行けば逃されることはまずない(ここに逃しているヤツがいますが)と思いますが、このガラス美術館はそうとは限りません。現に私も、今回の旅の旅程を練るまで、その存在は知りませんでしたから。そういうところにこそ行ってみたくなります。

 道にあった割引券のストックから割引券を持ち出し、いざガラス美術館へ。入口に至るまでの道のりはまるで結婚式場のような感じでもあり、自分はここにふさわしいのだろうかと考えてしまいます。




                                         





















 ぎやまんガラス美術館とは、非常に簡単にまとめてしまえば、ガラス細工を展示している美術館であると考えればよいでしょう。しかし、”美術館”とは言ったものの、そこに展示されている品々には、なるほどたしかに外見の美を追求した作品もあれば、昔使われていたガラス製の徳利や煙管といった生活の道具もあり、当時のガラスの使われ方を窺い知ることもできます。

 ガラスの工芸品を見るときは、もちろんその形、曲線美、佇まいに目をやることになりますが、それらが光を受けたときに見せてくれる影の姿、浮かび上がる線の芸術、またその作品自身を透過した光の色合いにも注目するべきと言えます。そうすると、器ひとつであっても、しばらく眺めていたい気持ちになります。ま、そんなことだから時間が足りなくなるわけですが・・・。

 世の中の摂理というべきか、人間が自然とそう感じる本能というべきか、この世においては、儚く弱弱しいものほど美しく見えるというきらいがあります。ここに展示されているガラス細工など、いずれもちょっとした衝撃が与えられれば、ひび割れ、崩れ、その姿を失うことでしょう。ただ、そうであればあるほど、嫋やかな立ち姿には秀麗が宿り、人々はそれに対して慈しみを覚えるものです。

 個人的には、美術館といっても、世界のエラーイ先生が描いた絵画などはあまり心に響かないのですが、殊にぎやまんガラス美術館に展示されているガラス細工、いやガラス工芸品、はたまた”美いどろ”は、見に行った価値が十二分にありました。




                       













 子供のころの夏休みの思い出・・・、いや、思い出というにはヘンですが、ひどく記憶に残っているのは、8月6日の平和記念式典の中継映像。より正確に言えば、その映像から聞こえてくるクマゼミの鳴き声でした。広島=クマゼミ。両親が岡山出身なので、岡山の祖父母もよく訪ねていましたが、そこでもよく耳にするクマゼミの声。そういうわけで、私にとっては、クマゼミは西日本の夏の象徴なのです。

 別にテレビカメラを持ってくるほどではなかろうよという程度の人出の商店街を抜けると、もう一度道後温泉駅に戻ってきます。伊予鉄道の路面電車(市内線)には、古い車両も新しい車両もありますが、そのいずれも、私のお目当てではありません。10:47発の坊っちゃん列車がやってくるまで、しばらく駅で待つことにしましょう・・・。

 普通の列車に乗り込まない人たちは、きっと私と考えていることは同じ。坊っちゃん列車に乗りたい人たちですね。


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