◆7月25日◆
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 旅の4日目です。今日は動き出しが早く、朝6時前にはホテルを発ち、高知駅に向かって歩き出します。何か社会的制限がかかるたびに閉鎖されてしまうコンビニのイートインコーナーは、もはや開けている方が珍しいもので(と、当時は思っていた)、「イートインコーナーが普通にやっているとは・・・」と、ちょっとした感動を覚えながらその写真を撮った覚えがあります。

 人気もまばらな早朝の高知駅ですが、みどりの窓口は4:30〜23:00で営業するという、現代では珍しい長時間営業。個人的なイメージとして、長く開けているみどりの窓口というのは、大都市にこそあるものだと思っていたのですが、実際はそうではなく、こういった長時間営業の窓口は、地方部にこそ多いようです(特に四国)。都市圏ほど券売機で代替されやすいからということもあるのでしょうが。

 本当は6:00ちょうど発の特急南風2号に乗ると言いたいところですが、残念、決してフリー切符を持っているわけではないので、ここではそのような無意味な贅沢はできません。向かう先がなにぶんにも後免ですから・・・、いくら自由席は特急料金330円だとしても、10分も乗らない特急はナンセンスです(それで1本早い乗り継ぎができるようになるとかなら、話は別ですが)。

 そういうわけで、私が乗り込んだのは、6:03発の土佐山田行きの普通列車でした。ガラガラの車内ならば、誰に気兼ねすることもありません。のんびりくつろぎながら移動してゆきましょう。

 2021年3月のダイヤ改正で2000系の運用が大幅に減ったこともあってか、高知運転所には行き場を失ったのであろう2000系の姿も・・・。11番の写真は、2155と2156の組み合わせで、2155の角度が明らかに変(動いてもいないのに振り子が動作しているような角度)だったので、ああ、これも廃車の順番待ちかと思っていたら、この編成、どうも現役続行だったようで。。。




                                       




















 後免ですぐに土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線の列車に乗り換えました。写真だとなかなか伝わりづらいのですが、土佐くろしお鉄道の普通列車の転換式クロスシートは、恐らく日本一ではないだろうかというくらいに背もたれが高く、前の座席の背もたれによる圧迫感が凄いです。どんなに背が高い人でも、頭が背もたれから出ることがなく、身体が安定するという点では良いと思いますが、これ、ある意味”名物”だと思います。

 2002年7月に開業した新しい路線ということもあってか、ほぼ全線が高架であり、海沿いを走っている路線であることも相俟って、眺望は良好です。また線形が良い高架路線という特性を生かして、地方の第三セクター路線で、しかも定期的な特急列車がない路線であるにも関わらず、最高時速は110km/hという速さが奢られています。

 南国市・香南市の市街地を離れれば、もう海景色に飢えることはないでしょう。この恵まれた路線環境を生かすための車両として、外に出られるオープンデッキを設けた車両による列車も走っています(本当にはそれに当たりたかったのですが・・・)。海と戯れながら約1時間10分を過ごせば、列車は終点の奈半利に到着しています。

 2002年という、鉄道がやってくるには遅すぎる時期に開業した駅ということもあってか、駅の周りの町ができるという構図にはなっていないように感じられる奈半利駅。なんとなく、何もないところにコンクリート高架の鉄道が貫いてきたような具合があります。ここから更に甲浦までを鉄道で繋ぐ計画がありましたが、それは未成線としての夢物語になっています(そして甲浦は、DMVの導入により、もはや鉄道と呼ぶには・・・)。

 朝7時30分過ぎの奈半利駅周辺は、まだ人も車もまばらでしたが、クマゼミの鳴き声はとてもけたたましいものでした。そして言うに及ばず暑い、と。こんなとき、ザ・ハイロウズの”夏なんだな”が頭をよぎりますが・・・、でもアレにセミは出てきませんね。

 鉄道では行かれないこの先は、高知東部交通の路線バスで進んでゆきます。奈半利からは、鉄道と並行するように安芸方面行きの路線バスも出ているようですが、ほとんどの便が「病院経由」となっているところに、地方の路線バスに課せられた役割を垣間見ることができます。




           








 バスに乗って室戸岬を目指します。いかに休日の早朝であるといっても、私ひとりしか乗客がいないというのはいかがなものかと思いますが・・・(この後、片手で数えられるくらいの人数は乗ってきましたが、お年寄りだけではなく、高校生もいたのは印象的でした)。

 やはりというべきか、鉄道からバスに乗り換えても、海沿いを走る区間は多いです。今日は主に室戸岬周辺を観光しますが、きっと海に触れられずに困るということはないはずです。そして同時に、場所が場所ですから、海とは反対側に目をやれば、そこには山があります。海にも山にも恵まれた1日は、まだ号砲が鳴ったばかりです。

 高知東部交通の室戸営業所では、徳島バスの高速バス「エディ号」の乗車券も発売しているようです。エディ号とは、徳島エリアと四国島外各地を結ぶ高速バスの総称で、対大阪エリアの便の一部は、室戸方面にも足を延ばしています。バス停など、いうなれば「そこらへんの道」にもあるわけですが、そこから大阪まで乗り換えなしで行けるというのは、まさしくバスの機動力でしょう。

 地方ではたまにあるらしい・・・、「人の家が名前になったバス停」。ここにも”山田邸前”というバス停が。その人が引っ越してしまったらどうなるのか云々という心配はたぶん無意味で、そのときにはトラブルもなくあっさりとバス停もまた名前が変わるか、あるいはもはや固有名詞として存続するのだろうと思います。


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