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 はやて91号が到着したのは12番線でしたが、その隣の、本来ならば13番線となるべき場所には、線路が敷設されていません。その代わり、そのためと思われる用地だけは確保してあります[①]。やがて迎える札幌開業の際は、ここに線路が敷設され、13番線が誕生するようです。現在の特急(スーパー)北斗号は、札幌〜函館間にて運転されていますから、新幹線でも、札幌〜新函館北斗間のみの列車が設定されることでしょう。

 先頭10号車付近は、マスコミと地元の人、鉄道好きの人が入り乱れて大混乱です[②]。これはまさに開業初日ならではの光景と言えるでしょう。私もE5系の顔を撮影しようとしましたが、人が多すぎたため、あえなく失敗[③]。「H5系ならともかく、E5系をそんなに撮りたいものか?」とも思いましたが、考えてみたら、北海道民にとっては、(地元で)初めて目撃する新幹線なわけです。そりゃあ写真を撮ってみたくもなりますね。

 北海道という地の天候を考慮してか、ホームは、全体が全て屋根に覆われています[④]。そんなわけで、そこらへんの駅でよく見かけるような「ホームの屋根」というものはありません。ホームから天井までの高さは、それほどのものではありませんから、横殴りの雨や吹雪の場合でも、致命的な問題は生じないでしょう。大阪駅での失敗を繰り返すわけにはいきません。

 北海道新幹線の駅(JR東日本管轄の新青森を除く)では、JR北海道の在来線の駅で使われているものとはまた違う、新しいデザインの駅名標が採用されました[⑤]。横に引かれた色帯は、緑から黒へとグラデーションで変化し、隣の駅へ向けられた矢印は、白色のものと色付きのものが繰り返しています。左上には新幹線のピクトグラムが入り、新幹線の駅であることを主張します。

 縦型の駅名標についても、新しいデザインとなっています[⑥]。在来線の駅では、青地を白文字で抜き、最下部に「本場の味 サッポロビール」という広告が入りますが、新幹線のものでは、緑から黒へ変化するところを白文字で抜き、広告は「ONLY 北海道 サッポロクラシック」となりました。また、左には、新たにローマ字表記も追加されました(それにしても、”Shin-Hakodate-Hokuto”と、ハイフンを2個もつけなければならない駅名って・・・)。

 はやて91号として到着したE5系は、そのまま折り返しで何か違う列車になるのかと思いましたが、回送列車となり、函館新幹線総合車両所へと出発しました[⑦]。まあ、本数が少ないですから、着いては折り返し、着いては折り返し、とする必要がないのかもしれませんね。

 大変な混雑を見せる新函館北斗駅は、ホームから改札へ向かうエスカレーターに乗るのも一苦労。何人かに区切ってエスカレーターに乗せるという段階を踏んでいたため、すぐには乗れませんでした。いざエスカレーターに乗ると、人は各段に隙間なく詰められ、まるで都会のラッシュのよう[⑨]。壁も照明も明るく、いかにも出来立てという雰囲気が残っていました。

 特に深刻な混雑であったのは、出口・在来線乗り換えの改札口の前でした[⑩]。動線がめちゃくちゃになっているので、一歩進んでは一歩戻り、左に避けては右に避けてと、前に進むのも一苦労です。そんな中、とりわけカメラの放列を受けているものがあったので、いったい何かと思ったら、新函館北斗駅で行われた開業記念式典の”跡地”でした[⑪]。もう今日の最終列車が出るまでは片づけないかもしれませんね。

 発車標には、8:47発のはやぶさ14号と9:31発のはやぶさ16号が表示されていました[⑫]。後者は、16号という数字から、一見、定期列車に見えますが、普段は新青森始発であり、多客期のみ新函館北斗へ延長するという列車です。定期列車のみで見ると、新函館北斗発8時台・11時台・15時台の列車はなく、全列車が停車する駅(まあ終点なので当たり前だが)でありながら、2時間に1本となる時間帯があります。

 この後ははこだてライナー号に乗りますが、はやて91号と接続する7:49発の便ではなく、その次の8:14発の便としたので、ちょっと時間があります。というわけで、いったん途中下車をし、駅の外へ出ましょう[⑬]。「新函館北斗」の下車印は、今日から使用を開始したばかりのもの。これまでの使用回数も非常に少ないでしょうから、彫りもしっかりとしているのか、綺麗な印影になりました。




















 南北を結ぶ自由通路には、非常に長い人の列ができていました[②]。いったい何を求めてこんなことになっているのだろうかと思ったら、どうやら、硬券入場券の販売のために成された列のようでした。ただ、全てが全て鉄道好きというようには見えません。「こちらで入場券を販売しています」といった案内に釣られて、特に硬券に興味があるわけではない、ただ単に見学のために来た人が並んでしまっているという可能性も否定できません。

 北口へ繋がる階段は、幅が広く、多くの人々が同時に上り下りしても大丈夫そうな余裕があります[③]。しかし、開業初日でさえこの程度の人数であれば、この先は、もっと悲惨な様相を呈することかと・・・。では、なぜこんなにも北口側は人が少ないのかといえば、理由はこれでしょう[④]。北口は裏側であり、表玄関となるのは南口ですが、それにしても何もありません。いや、北海道らしい風景ではありますが、それにしたって。

 新青森や新八代も、「何もない終着駅」でしたが(新青森は住宅地くらいはある)、新函館北斗駅は、それらの駅よりも、駅周辺の状況としては酷いかもしれません[⑤]。また、単に田舎であるだけならば、適当に笑い飛ばせるかもしれませんが、前出の2駅とは異なり、新函館北斗は、函館は隣の駅ではないということを覚えておく必要があります。間に4つもの駅があります。利便性という点でも、大きな問題があるのです。

 元々は渡島大野という小さな無人駅でしたが、ひとたび新幹線が来れば、このような立派な駅に変貌します[⑥]。新幹線が通り、駅舎は巨大化し、駅員も配置され、みどりの窓口も置かれ、自動改札機も置かれ、タクシーも多数待機(南口)・・・と、まるで違う駅になりました。新青森も、元々は小さな無人駅でしたが、東北新幹線が達したことによって、あのような姿になりました。

 一方、大きな駅前広場が整備された南口は、タクシーが多数待機し、レンタカー屋が進出し、人の数も多く、賑わっていました[⑦]。南口は、無人駅時代に小さな駅舎が置かれていた側で、新函館北斗駅のメインの出入り口となります。もっとも、そう言ったところで、この賑わいが長続きしそうにないというのが怖いところですが・・・。とにもかくにも、「ハリボテ」と化さないことを祈ります[⑨]

 さて、8:14発のはこだてライナー号に乗車しましょう[⑩]。発車標には、「普通」とのみ表示され、列車名は出ていませんでした。なお、新幹線が、7:38着のはやて91号、9:03着のはやて93号という順番で到着するのに対し、このはこだてライナー号は、新函館北斗8:14発となっており、どの新幹線にも接続せず、事実上単独で走るという便になっています(はやて91号には7:49発、はやて93号には9:18発が接続)。

 新幹線ホームの駅名標は、新しいデザインのものが採用されていましたが、在来線ホームのものは、旧来からのデザインのものでした[⑪]
















 五稜郭まで、はこだてライナー号で移動します[①]。函館〜新函館北斗間を走る新幹線接続列車、はこだてライナー号で使用するために用意された専用車両、733系1000番代で運転されます。当然、車両は出来立てほやほやであり、新しくて綺麗です。

 「まもなく発車します、お急ぎください」と急き立てられたため、とっさに最後尾の車両に乗車。列車は、静かに、そして滑るように、新函館北斗を発車しました。もし、新函館北斗で待ち受けているのがキハ40形であったならば、おんぼろで、エンジンをけたたましく唸らせながら発車し、乗り心地も不十分と、本州から来た人たちはガッカリしてしまったことでしょう。新函館北斗の次の七飯までは、北海道新幹線の高架橋が見えます[②]

 733系が走っているように、五稜郭〜新函館北斗間は、今回の北海道新幹線の開業に合わせて電化されました[③]。線路脇では、植えたばかりの綺麗な架線柱が目を惹きます。なお、道南いさりび鉄道の五稜郭〜木古内間は、貨物列車のために電化設備が存置されていますが、JRの旅客列車は乗り入れません。一方、新函館北斗以北は非電化のままですから、函館〜新函館北斗間は、とても珍しい”孤立電化区間”となっています。

 はこだてライナー号は、席にありつけずに立つ人こそいたものの、「混雑している」というほどではありませんでした[④]。新函館北斗を8:14に出る、新幹線とは接続しない便であり、更に6両編成だったということが大きいのかもしれません。それにしても、今後は大丈夫かもしれませんが、今日に限っては、「グランクラスで来たら通勤型車両にすし詰めにされた」という現象が多発するのかと思うと、哀れというか何というか・・・。

 新幹線接続列車として運転されるはこだてライナー号には、快速列車(途中停車駅:五稜郭)として運転される便と、普通列車(各駅停車)として運転される便の2種類があります。いま私が乗車しているのは、後者のタイプです。そのため、五稜郭以外の途中駅にも全て停車します[⑤]。こうした途中駅での下車もありましたが、彼らは、そのあたりの駅を最寄りとしている、新函館北斗駅見学に出かけていた人だったのでしょう。

 分岐器が入り乱れる地帯に入ると、まもなく五稜郭です[⑥]。8:31、定刻から2分ほど遅れて、列車は五稜郭に到着しました[⑦]。函館駅まで乗り通すのが筋なのでしょうが(私も本当はそうしたい)、ちょっとした事情があって、五稜郭での下車となります。


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