岐阜県下最高峰の建築物の展望室から、40万都市、岐阜の街並みを見る[①]。この展望室には、スカイラウンジという愛称がつけられていますが、なるほど、たしかに空から街を見下ろしているような気分になります。昨日は飛行機に搭乗しましたが、飛行機の場合は、視点があまりにも高すぎるため、都市の全体像を見ることはできても、ひとつひとつの建造物の存在感や街の息遣いといったものは、あまり感じられません。
その点、152m程度の高さの展望室からであれば、街の「動き」を、手に取るように観察できます。特に、岐阜駅前は、人や車が多く集まりますから、そういったものたちの活動がよく見えます[②]。地上にいれば、「都市を形作る一員」にしかなれませんが、こうして上の方にいれば、「都市を眺める人」になれます。巨大な模型をカバーの外側から見ているような気分に近いかもしれません。
「杜の架け橋」は、U字型をしていますが、展望室から見ると、それがよく分かります[③]。U字の先端は、駅前を横切る通りを越えた先で途切れていますが、これにより、地上部には、通りを渡るための横断歩道がありません。車は車、人は人(ペデストリアンデッキ)という棲み分けが立体的に行われていることで、事故率の減少も期待できましょう。
岐阜シティ・タワー43は、岐阜駅のほど近くに建てられているため、岐阜駅を見下ろすことができます[④]。鉄道好きの人たちからすれば、ここにスカイラウンジの大きな価値を見出すのかもしれません。もちろん、岐阜駅が見えるということで、駅に出入りする列車を眺めることもできます[⑤]。
スカイラウンジ内には、2つのエリアがあります。ひとつは、エレベーターを降りた先にある、北と東が見えるエリア。もうひとつは、廊下を歩いて行った先にある、北と西が見えるエリアです[⑥] [⑦]。まあ、どうして南と西にしてくれていないのかと思ってしまいますが・・・。北東エリアにはカップルがおり、私にとってはなかなか居心地の悪い空間でしたが、南西エリアは、ありがたいことに無人でした。
忠節橋通り(国道157号線)は、ナトリウムランプの街灯によって橙色に染まっており、それがひとつの筋となって伸びることで、暗闇の中では、とてもよく目立っています[⑨]。街中を貫いていく幹線道路として、夜景の中で存在感を見せつけているかのようです。
スカイラウンジを後にし、岐阜駅に戻ってきました[⑪]。日曜日の22:00過ぎ、これから岐阜へ帰ってくる人は多いとしても、岐阜から列車に乗ってどこかへ行く人は、そう多いものではないはずです。それでも、自動券売機で切符を求める人たちがいましたが、彼らの目指す先はどこでしょうか。
今日は月が大きいようです[⑬]。こうして月が見えているということは、夜空が綺麗に見えるような晴れであるということも意味しています。ムーンライトながらに冠されている「ムーンライト」とは、当然、月明かりのことですが、同列車には、このような夜が一番似合うことでしょう。寝台列車のような華やかさとは対極にある、格安旅行の友。今春の運転は、今日発の上り列車で終了し、夏までしばしの休眠に入ります。
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