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 名古屋21:00発の東海道本線・下り新快速に乗車します[①]。通常は、特急のような優等列車こそが、毎正時などのキリの良い時刻に発車していきますが、東海道本線・名古屋発の下りは、10:00以降は、毎時00・15・30・45は、基本的に、新快速または特別快速に占拠されています。そのため、ひだ号・しらさぎ号は、中途半端な発車時刻を与えられてしまっています。

 5番線にやってきたのは、これから乗車する新快速・・・ではなく、岐阜行きの普通列車です[②]。新快速は、その2分後に、多くの利用客が待ち構える中で、6番線に入ります[③]。空(す)いている列車に乗りたいのであれば、ここで、あえて普通列車の方を選ぶというのもアリかもしれませんが、やはり、多少の混雑は我慢しても、速い列車に乗りたいという人が多いようです。

 普通列車は9分停車し、名古屋を21:05に発車します。従って、名古屋で、後からやってきた新快速を先行させます[④]。上下ともに、名古屋では、新快速・特別快速と普通列車の緩急接続が行われ、抜かれずに済む(すぐに発車する)普通列車は少ないです。

 多くの立ち客を乗せた状態で名古屋を発車し[⑤]、列車は、この先、尾張一宮・岐阜・岐阜からの各駅の順で停車していきます。今回は岐阜まで乗車しますが、木曽川で県境を超え、名古屋から19分で岐阜に到着しました[⑥]。降車する人の数はやはり多いです。






















 岐阜駅は高架になっています[②]。しかし、1997年3月には高架化が完了したという駅なので、当然、地上駅時代の記憶などありません。よく、地上駅から高架駅に変わった駅を再訪して、「〜駅は大きく変わっていました」という感想を述べているサイトがありますが、私には、そのようなことはまだできません。長崎駅がそのうち高架になるようですが、昨年8月に訪れていますし、それならできるかも・・・。

 下り列車が発車する6番線に降り立ちましたが、そこには、ムーンライトながら号の乗車位置案内がありました[③]。そりゃあ、たしかに岐阜駅にムーンライトながら号(下り)は停車しますが、岐阜の次は終点の大垣ですし、岐阜から下り列車に乗る人がいるものでしょうかね? 自由席を連結しているというのあればともかく、全車指定席であり、指定席券の購入が必須ですし。

 北口に出てきました[④]。岐阜市の市街地側への出口であり、ビルやマンションは、こちら側に多く建てられています。いかにも都市的な街並みが広がっていますが、そんな中でも、駅前広場には「杜(もり)の駅」というコンセプトが設定されており、樹木や小川などを設けた「里山広場」が整備され、緑のある駅前空間が作られました[⑤]。都会の中に自然が息づきます。

 立ち並ぶ建築部が周囲を支配する中で、多くのタクシーが待機し、街明かりが煌めくという光景は、まさに都市の風景そのものです[⑦]。駅前からはいくつもの道が出ていくものの、確固たる大通りが存在している、というのも、また、都市においてよく観察される特徴と言えます。

 駅前に灯る光はたくさんありますが、その中で、水平方向に広がっていくある青い光が、人々の目を惹きます[⑧]。緩やかに弧を描き、U字型の形状をしているこの光は、北口駅前に整備された歩行者用デッキ、「杜の架け橋」のライトアップです[⑨]。青色という、街中ではあまり積極的には使われない色を使用することにより、都市的な街並みの中でも、その存在感を手堅く高めています。

 さて、私は、そもそもなぜ岐阜駅で下車したのでしょうか。「ムーンライトながらに乗るまでの時間潰し」というのは、半分はあっていますが、半分は間違っています。岐阜駅では、ある場所を訪れようと思います。駅前から伸びていくペデストリアンデッキを歩いて行った先に見えてきたものは[⑩]、高さ約163mを誇る、岐阜県下で最も高さのある建築物、岐阜シティ・タワー43です[⑪]

 このビルの最上階(43階)には、実は、無料で入場できる展望室があります。そこを訪れてみようというわけです。専用エレベーターを利用すれば、43階まで、約45秒でひとっとび。その内部には、高さを示す電光表示がありますが、その数字が152Mに達すれば、いよいよ展望室です[⑬]






















 岐阜県下最高峰の建築物の展望室から、40万都市、岐阜の街並みを見る[①]。この展望室には、スカイラウンジという愛称がつけられていますが、なるほど、たしかに空から街を見下ろしているような気分になります。昨日は飛行機に搭乗しましたが、飛行機の場合は、視点があまりにも高すぎるため、都市の全体像を見ることはできても、ひとつひとつの建造物の存在感や街の息遣いといったものは、あまり感じられません。

 その点、152m程度の高さの展望室からであれば、街の「動き」を、手に取るように観察できます。特に、岐阜駅前は、人や車が多く集まりますから、そういったものたちの活動がよく見えます[②]。地上にいれば、「都市を形作る一員」にしかなれませんが、こうして上の方にいれば、「都市を眺める人」になれます。巨大な模型をカバーの外側から見ているような気分に近いかもしれません。

 「杜の架け橋」は、U字型をしていますが、展望室から見ると、それがよく分かります[③]。U字の先端は、駅前を横切る通りを越えた先で途切れていますが、これにより、地上部には、通りを渡るための横断歩道がありません。車は車、人は人(ペデストリアンデッキ)という棲み分けが立体的に行われていることで、事故率の減少も期待できましょう。

 岐阜シティ・タワー43は、岐阜駅のほど近くに建てられているため、岐阜駅を見下ろすことができます[④]。鉄道好きの人たちからすれば、ここにスカイラウンジの大きな価値を見出すのかもしれません。もちろん、岐阜駅が見えるということで、駅に出入りする列車を眺めることもできます[⑤]

 スカイラウンジ内には、2つのエリアがあります。ひとつは、エレベーターを降りた先にある、北と東が見えるエリア。もうひとつは、廊下を歩いて行った先にある、北と西が見えるエリアです[⑥] [⑦]。まあ、どうして南と西にしてくれていないのかと思ってしまいますが・・・。北東エリアにはカップルがおり、私にとってはなかなか居心地の悪い空間でしたが、南西エリアは、ありがたいことに無人でした。

 忠節橋通り(国道157号線)は、ナトリウムランプの街灯によって橙色に染まっており、それがひとつの筋となって伸びることで、暗闇の中では、とてもよく目立っています[⑨]。街中を貫いていく幹線道路として、夜景の中で存在感を見せつけているかのようです。

 スカイラウンジを後にし、岐阜駅に戻ってきました[⑪]。日曜日の22:00過ぎ、これから岐阜へ帰ってくる人は多いとしても、岐阜から列車に乗ってどこかへ行く人は、そう多いものではないはずです。それでも、自動券売機で切符を求める人たちがいましたが、彼らの目指す先はどこでしょうか。

 今日は月が大きいようです[⑬]。こうして月が見えているということは、夜空が綺麗に見えるような晴れであるということも意味しています。ムーンライトながらに冠されている「ムーンライト」とは、当然、月明かりのことですが、同列車には、このような夜が一番似合うことでしょう。寝台列車のような華やかさとは対極にある、格安旅行の友。今春の運転は、今日発の上り列車で終了し、夏までしばしの休眠に入ります。


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