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 特急しなの8号がやってきました[①]。この写真の右側を見ると分かるように、意外にも、多治見から特急に乗るという人は、結構多いようです。750円でゆったりと座れて(例え自由席でも、場所に拘らなければ、まず座れるでしょう)、かつ30分とかからずに名古屋まで行けるとなれば、そこには特急券を買うだけの価値があるということなのかもしれません。

 多治見を出ると、ほどなくして、列車はトンネルに突入します[③]。多治見市は、岐阜県の南端部に位置する街で、愛知県と接していますが、その境界部は、山が多い地形になっています。中央西線の線路は、そこをトンネルで一気に駆け抜けます。再び普通の平地に戻るのは高蔵寺からで、そこまでの間にある古虎渓[④]・定光寺は、およそ中央西線の名古屋寄りにある駅とは思えないような秘境感があります。

 古虎渓を通過した直後に入るトンネルで、列車は岐阜県から愛知県へと移ります。多治見の次は千種ですが、振り子機構を搭載している383系は、それを遺憾なく発揮し、千種に到着するまで、ほぼずっとトップスピードを維持して走ります[⑤]。一般的に、振り子機構は、都市寄りの区間(比較的線形が良いとされる)では停止することが多いと聞いていますが、383系は、中央西線の名古屋近郊区間でも稼働させているようです。

 神領通過後、神領車両区が見えてきます[⑥]。休日の真昼間ということで、多くの車両が入区していますが、平日の朝ラッシュ時は、大半の車両が出払っているのかもしれません。その神領のひとつ手前、高蔵寺からは、日中でも毎時8本の快速・普通列車が行き交う、名古屋近郊の高頻度運転区間となり、下り列車とすれ違う機会が増加します[⑦]

 金山を通過して、東海道本線・名鉄線と並行する区間に入りました[⑧]。これは進行方向右側の車窓ですが、このとき、左側には、東海道新幹線の線路も通っています。つまり、驚異の複々々々線状態ということです。もうすぐ終点の名古屋に到着しますが、駅構内が詰まっているのか、このあたりで不自然なノロノロ運転が始まり、東海道本線の新快速に抜かれてしまいました[⑨]

 JRセントラルタワーズが見えたら、いよいよ名古屋です[⑪]。結局、列車は2分ほど遅れて名古屋に到着しました[⑫]























 383系では、貫通型車両・非貫通型車両ともに、愛称表示機がついています[①]。JRになってからというもの、「車両は名を表す」というような車両が増え、787系(つばめ)、8000系(しおかぜ・いしづち)、E653系(フレッシュひたち)など、前面に内容を自由に変えられる愛称表示機をつけない特急型車両が珍しくなくなりましたが、JR東海とJR北海道が開発した特急型車両は、全て愛称表示機を備えています。

 貫通型車両も存在する383系ですが、やはりこちらの非貫通型車両こそが、383系の”顔”でしょう[③]。流線型に仕立て上げられた先頭車両は、前面展望ができるパノラマ型グリーン車でもあり、同様にパノラマ型グリーン車を連結していた先代・381系の置き換え用車両として君臨するにふさわしく、「特急しなの号にはパノラマ型グリーン車が連結されている」という新たな伝統を築き上げようとしています。

 貨物列車が通過していきました[④]。言うまでもなく、日中に名古屋駅を通過する旅客列車は存在しません。通過時間帯があまりにも深夜であるサンライズ瀬戸・出雲号は通過ですが、新幹線・在来線ともに、日中の旅客列車は、全てが名古屋に停車します。ただ、貨物列車に関しては、このように通過していく列車もあるようです。日中に名古屋を通過する旅客列車としては、やはりのぞみ301号が名高いでしょう。

 ホーム上に立てられた駅周辺案内ですが、いい加減、新しく作り直しても良い時期ではないでしょうか[⑤]。シールで訂正した個所が多すぎて、だいぶみっともない見た目になってしまいました。完全にゼロから作り直すのが面倒なら、せめて、ここ一面を覆う大きなシールにしてみるとか・・・。

 駅の中を適当に歩いていると、目の前に名鉄名古屋駅があるところに出てきました[⑥]。JRの出入り口で言うと、ここは「広小路口」です[⑦]。昨日、ミュースカイ号を下車した後は、名鉄名古屋駅のこの出口に出てきて、名古屋駅の外を通って太閤通口側に回り、ホテルに入りました。

 次に乗る列車は、快速みえ11号です[⑧]。名古屋〜多気間は特急南紀号と重複していますが、停車駅はどちらも同じで、所要時間に関しても、みえ号の方が短いという場合もあります。同区間内相互で乗車するときは、特にみえ号と南紀号の時刻がお互いに近い場合は、後者を選ぶ理由はまずありません。これからみえ11号に乗りますが、これに近い時間帯で走る下りの南紀号はなく、望む望まないに関わらずみえ号になりました。

 みえ11号は2両編成でした[⑨]。現在の快速みえ号は、4両または2両で運転されますが、後者の編成のようです。しかし、春休み、日曜日、青春18きっぷが使える時期ということで、混まないわけがないと思います。この快速みえ11号は鳥羽行きですが、一部の列車は伊勢市発着です[⑪]

 「もしかしたら混むんじゃないか」。そんな心配があっても、みえ号はしっかりと対応してくれます。快速列車として運転されるみえ号ですが、全ての列車に指定席が連結されています[⑫]。4両の場合は1両が、2両の場合は1両のうちの半室が指定席です。予め520円(通常期・繁忙期)の指定席券を購入しておけば、いかに混雑するときであっても、着席が保障されます。もちろん、私は指定席券を購入済みです。

 名古屋駅の在来線ホームには、LEDの乗車位置案内機が整備されていますが[⑬]、扉1つごとに設けられているため、その数が非常に多いです。3扉車であれば、1両につき3機が使用されます。横から眺めてみると、乗車位置案内機がいくつも並べられていることがよく分かります[⑭]























 1号車に乗車します。このうちの前半分が指定席、後ろ半分が自由席となっています[①]。JR東海の特急型車両は、いずれも窓が大きく、371系によるあさぎり号を除き、どの列車も「(ワイドビュー)」を接頭語としてつけていますが(しかし371系も窓は非常に大きい)、キハ75系も、なかなかの窓の大きさを誇ります[②]。「(ワイドビュー)みえ」を名乗っても、決して文句はつかないでしょう。

 発車前、車内放送でしきりに「この列車は、JR線ではない区間(伊勢鉄道線のこと)を通るため、青春18きっぷ、フルムーン夫婦グリーンパスなどでは、別途精算が必要になります」と案内していました。今日、私が使用しているのは「青空フリーパス」ですが、そのフリーエリアには、伊勢鉄道線が含まれています[③]。そのため、別途運賃を支払う必要はありません(精算する場合は河原田〜津間:510円)。

 「本日のこの列車の指定席は満席です」という状態で名古屋を発車。まずは関西本線を進んでいくみえ号は、進路を西にとり、東海道新幹線の高架の下をくぐっていきます[④]。そうすると、右手に名古屋車両区の敷地が現れます[⑤]。電車は所属しておらず、気動車のみが配置されていますが、一部の線路には架線が張られ、このように電車の留置に使用しています。

 名古屋の次の八田で列車交換を行いましたが、その相手は、DD51形が牽引する貨物列車でした[⑥]。普通の駅に貨物列車が停車する場合、中線に入ったり、側線に入ったりすることが多いと思いますが、列車交換のためとはいえ、ホームに接している線路で停車するというのは、珍しいことではないでしょうか。なお、編成の長い貨物列車との列車交換で使うことを見越してか、八田駅構内の複線区間は、非常に長くとられています。

 蟹江は停車駅ではありませんが、名古屋行きの普通列車との列車交換を行うために、運転停車をしました[⑧]。関西本線の名古屋地区は、複線化があまり進んでおらず、こうした運転停車があります。名古屋駅に直接出入りしている路線でありながら、その名古屋寄りの区間が単線主体というのは、ちょっと不思議にも感じられます。こちらは蟹江を通過する快速であるわけですから、できれば向こうを待たせてほしいところ。

 長島を通過し、長良川を渡っていきます[⑨]。この橋梁は、全長約990mで、なかなか「渡り応え」のある橋梁です。長島を通過する手前では、木曽川を渡っていますが、そこの橋梁は約860mで、そちらもまずまずの長さがあります。

 向こうに養老鉄道線の線路が見えてくると[⑩]、まもなく桑名です。この後、養老鉄道線が関西本線の右隣にやってきますが、その手前で、近鉄名古屋線が関西本線と養老鉄道線を跨ぎ、築堤をもって現れます[⑪]。その「跨ぎ」が起こるまで、近鉄の線路は、関西本線の左にいました。

 13:58に到着するのは桑名です[⑫]。指定席からは、ここで早くも老夫婦が下車していきました。私であれば、20分程度しか乗らないとなると、さすがに指定席券を購入しようとは思いませんが、お年寄りにとっては、520円で確実に座れるというのは、ありがたいものなのでしょう。

 桑名発車後、しばらくの間は、関西本線と近鉄線が並行しますが、員弁(いなべ)川に差し掛かる手前で、両線は分かれていきます[⑬]。しかし、一度は分かれるものの、川を渡った先で近鉄線が関西本線の上を跨いでいったり、富田駅の手前でやはり上を跨いでいったりと、この先も、何度か離合の機会があります。どの場面においても、必ず近鉄線が上であり、関西本線が上になることはないようです。

 名古屋から32分で四日市に到着します[⑭]。関西本線と伊勢鉄道線の接続駅は、正式には、この2つ先の河原田ですが、伊勢鉄道線の列車は、ほとんどが四日市まで乗り入れてきています。そのため、ホームにも、伊勢鉄道線用の乗り場が用意されています。


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