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 盛岡にやってきました[①]。山田線の列車から何気なく下車してきましたが、実はその瞬間、JR東日本線の(仮)全線乗車が完了していました。上米内〜川内間の不通さえなければ、自信を持って”JR東日本線の全線乗車をした”と言え、今回の旅が終了した暁には、本当の”JR線全線乗車”ができたのですが・・・。今回の旅に「(仮)」がつくことになったのは、とにもかくにも、上米内〜川内間の不通が理由です。

 今日は3月25日。明日3月26日は、JRグループのダイヤ改正日であり、北海道新幹線の新青森〜新函館北斗間が開業します。駅に掲示されるダイヤ改正の要綱ポスターで大々的に宣伝されるのは、やはり、北海道新幹線関連のことです[②]。言うまでもなく、盛岡は、東北新幹線が通っていますから、北海道新幹線の開業は重要案件です。八戸、新青森に続く、3度目の”北への延伸”がやってきます。

 北海道新幹線の開業を明日に控え、盛岡でも、それを祝福する機運が高まってきています。売店の看板部分には、「3月26日 北海道新幹線開業」の文字が[③]。そして、駅構内の一角では、駅員が、北海道新幹線の開業を祝う掲示を行っている最中でした[④]。世間では、「盛り上がりに欠ける」などと言われていましたが、さすがにその開業が直接関係してくる場所では、一応、祝賀ムードはあります。

 これから乗車するのは、19:07発のはやて369号です[⑤]。はやぶさ号への格上げが進められていった結果、本数は非常に少なくなり、今ではすっかり影の薄い存在になってしまいました。と言っても、はやて号も、やまびこ号からの格上げで本数を増やしていた時期がありましたから、文句は言えないというか、歴史は繰り返すということで・・・。

 14番線ホームに上がって真っ先に目についたのは、”あからさますぎる”状態の案内板でした[⑥]。上野駅にも、路線名が全てシールになっている案内板や、「北海道」をシールで隠した状態の発車標などがありましたが、もう少し綺麗に処理していました。これは処理の仕方が汚いというか、さすがにシールが目立ちすぎのような気が。このシールが剥がされる瞬間は、もうまもなくです。

 はやて369号では、8号車の普通車指定席に乗車します[⑦]。指定席券を適当にとった結果、たまたまそうなったのではなく、意図的に8号車の指定席をとりました。はやて369号はE2系J編成で運転されますが、E2系J編成の普通車に乗車する場合、私は、慣例的に8号車をよく選びます。

 それは、「揺れが少なそうだから」。E2系J編成では、1号車(先頭車)、9号車(グリーン車)、10号車(先頭車)にフルアクティブサスペンションが搭載され、それ以外の車両には、セミアクティブ―が搭載されています。そう考えたとき、8号車であれば、「中間車両」「隣2つは揺れがかなり少ないフルアクティブ―車」ということで、揺れが少ないものだと勝手に信じています。9、10号車の揺れの少なさに釣られて、8号車の揺れも・・・という。





















 E2系のはやて369号がやってきました[①]。先ほど、「はやて号の影はすっかり薄くなった」と申し上げましたが、盛岡以北におけるE2系の影は、もう薄いなどというものではありません。というのも、盛岡以北では、E5系ではありながらも、定期のはやて号が運転されていますが、E2系は、実は既に盛岡以北での定期運用を持っていません。ここから分かるように、これから乗るはやて369号は、臨時列車です。

 いざ列車に乗り込むと・・・、ガラガラ[②] [③]。それはもうガラガラ。仙台・盛岡で降りた人が多いんだろうなとは思いますが、いくら需要の少ない盛岡以北といっても、さすがに空席率が高すぎやしないだろうかと思いました。本当は盛岡止まりでも良いところを、車両運用の都合で新青森まで行かなければならないため、その”おまけ”として客扱いをしているのでしょうか?

 ただ、よくよく考えれば、金曜日とはいえ、ただの平日にこのような臨時列車を走らせていること自体がちょっと不思議です。ゴールデンウィークや夏休みであれば、この増発は当然ですが、今日3月25日は、それほど激しい混雑を見せる日とは思えません。一応、小中学校の春休み期間中には含まれているようですが、東京16:20発の定期はやぶさ27号の8分後に、このはやて369号を出さなければならないほどかというと、「?」です。

 盛岡を出た列車は、北を目指して進んでいきます[④]。しばらくの間は、盛岡の市街地の街明かりが見えますが、そこを抜けきると、都会らしい車窓は、もう現れることはありません(八戸市の中心駅は本八戸、新青森は青森の隣の駅)。更に、北海道新幹線は函館駅に乗り入れず、小樽駅にも乗り入れませんから、盛岡を出ると、東北・北海道新幹線は、「都市の中心駅に直接乗り入れる」駅は、終点の札幌までお預けということです。

 今日は3月25日ということで、まだ北海道新幹線は開業していません。しかし、車内販売のメニューを見ると、既に「北海道新幹線」という印字がなされていました[⑤]。今日の最終列車が終わった後に一斉に入れ替えたり、あるいは、シールで隠していたものを剥がすのは面倒極まりない(各座席にあるため、数が膨大)ということでしょうか。交換できそうなときに一気に交換しておいたのかもしれません。

 盛岡から33分で八戸に到着[⑥]。「新」などがつかない「八戸」を名乗りますが、市の実際の中心駅は、八戸線に乗り換えて2つ目の本八戸です。そのため、八戸駅は、至って長閑なところにあります。昔は、この駅が尻内を名乗り、本八戸が八戸を名乗っていましたが、1971年にそれぞれ改称されました。外部の人にとっては、八戸市の玄関口は、実質、大幹線・東北本線の尻内である、というのが、改称の理由かもしれません。

 夜になったため、車窓を楽しむことはほとんどできません(おまけにトンネルも多いし)が、そんな中でも、空にはっきり、大きく浮かび上がる月が、列車に乗っている人々を楽しませます[⑧]。ただ・・・、せっかくこんなに素晴らしい月が見えているのなら、やはり、さっさと駆け抜けてしまう新幹線の中からではなく、ゆっくりと(新幹線比で)走る寝台列車で、照明を消した個室寝台の中から眺めたいものです。

 七戸十和田を通過します[⑨]。はやて369号は、盛岡を出ると、二戸・八戸・新青森と停車します。盛岡〜新青森間(今や新函館北斗も)を各駅停車で走るはやぶさ号もある中、いわて沼宮内・七戸十和田を通過します。JR東日本においては、はやぶさ号は「E5系(E6系)で320km/h運転する列車」として定義しているようで、停車駅や所要時間は問題としていません。そのため、こうしたはやて号との逆転現象も起こります。

 全長約26500mの八甲田トンネルを抜けると、列車は既に青森市内に入っています。遠くには、青森駅付近に広がる市街地、青森の象徴ベイブリッジ(ライトアップ中)、観光物産館アスパムなどが見えています[⑩]。そして20:05、はやて369号は終点の新青森に着きました[⑪] [⑫]























 新青森駅が北の終着駅であるのも、今日が最後です。明日には、北海道新幹線の新青森〜新函館北斗間が開業し、ついに新青森駅は途中駅となります。駅名標は既に取り替えられていて、シールを剥がすのを待つのみとなっていました[①]。シールの表面に浮かび上がる凹凸から、新たなる隣の駅、「奥津軽いまべつ」がその下にあることが分かります[②]

 この先には、新青森開業のときから留置線があるため、線路自体は以前からありましたが、その線路を、いよいよ客を乗せたままの旅客列車が通るようになります[③]。もっとも、新青森発着の列車が全て新函館北斗まで延長されることはなく、新青森止まりとする列車も残るため、ひとつの拠点駅としての地位は残ります。八戸の場合は、新青森開業により、八戸を始終着とする列車は、全て失われてしまいました。

 番線標は、11・12番線のものには、「盛岡・仙台・東京方面」と書いてあります[⑤]。では、13・14番線のものはどうなっていたかというと、なんと何も書かれていませんでした[⑥]。ただ、2013年1月に撮影した写真を見直してみると、こちらにも、「盛岡・仙台・東京方面」と書いてありました。シールで隠している形跡もなさそうですし・・・、どうするつもりなのでしょうか。一方で、発車標はというと・・・、ああ、隠しきれないこの感じ(笑)[⑦]

 コンコースにある発車標を見ると、はやぶさ96号とはやて98号が表示されていました[⑧]。後者は最終列車です。北海道新幹線の開業によって失われるもの、見られなくなるものはいろいろありますが、これもそのひとつです[⑨]。これまで、早朝・夜の区間運転のはやぶさ号・はやて号には、自由席が連結されていましたが、3月26日のダイヤ改正以降は、自由席が廃止され、他の便と同様に全車指定席となります。

 2台ある発車標のうち、1台は、カバーがかけられ、使用停止状態となっていました[⑩]。以前は、2台とも稼働させていましたが、北海道新幹線の開業に先駆けて、元13・14番線用の発車標の使用を停止し、同開業に備えた仕様変更を実施。最終的に、北海道新幹線開業の直前は、元11・12番線用の発車標のみが稼働し、その1台に11〜14番線の発車列車全てを表示するようになっていました[⑪]

 明日はいよいよ北海道新幹線の新函館北斗開業、ということで、青森側でも、そのお祝い・北海道からやってくる人たちを出迎える準備がされたようです。版画、和紙オブジェ「雪だるま〜る」、ミニねぶたなどが展示され、明日に備えていました[⑫] [⑬] [⑭]


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