上米内駅にやってきました[①]。「ハァ?」と思われる方もいらっしゃることでしょうが、上米内駅にやってきました。嘘ではありません。
「宮古で列車に乗り、川内で降りた。川内停留所から106急行バスに乗り、茶畑公園停留所で降りた。そして上米内にやってきていた」。この一連の謎めいた動きは、詳細な説明がなければ意味不明なだけですが、あらゆる思考と知識を駆使し、考えうる様々な可能性、パターンを考え抜いた果てに生まれた、私の”生まれながらの旅人としての腕の見せ所”でした。
2015年12月の土砂災害による川内〜上米内間の不通を受け、今回、山田線の宮古〜盛岡間の乗車に当たっては、「不通区間は飛ばしても良い。ただし、宮古〜川内・上米内〜盛岡は、鉄道できちんと動いているので、同区間に関しては、列車に乗ることとする」という条件を付しました。まずは宮古から川内まで列車で移動せねば、ということで、宮古15:53発の普通列車で川内へ行くことを決定。
幸い、川内駅の近くには、106急行バスの川内停留所がありました。また、列車16:47着に対してバス16:55発と、綺麗に乗り継ぎ(もちろん、仮に列車が遅れても、バスは待ちません)ができることが分かりました。「そこから106急行バスへ乗り換えれば、ひとまず、鉄道で動いている宮古〜川内を乗りつつ、更に”不通区間越え”ができそうだ」。そうしたら、次は上米内〜盛岡の乗車だ、となるわけですが、そうは問屋が卸さなかった。
宮古〜区界では、山田線と106急行バスは、ほぼ同じルートをとりますが、区界で両者は分かれ、その後は、それぞれ全く違うルートを辿っていくようになります。これが何を意味するのかというと、つまり、106急行バスには、上米内という停留所がないのです。それは、宮古<山田線>川内<106急行バス>上米内<山田線>盛岡という移動は成立しない、ということを意味していました。
106急行バスは盛岡駅行きですから、バスでひとまず盛岡駅まで行き、そして盛岡〜上米内を山田線で往復するという手立てもありました。ただ、そうすると、盛岡駅に着いた(バスは18:20着)後は、盛岡19:06発・上米内19:20着、上米内20:19発・盛岡20:33着という移動をすることになり、時間の無駄が大きいばかりか、今日の最終目的地、青森への到着が非常に遅くなるという問題がありました。
そんな中、私は、上米内18:41発の盛岡行きという列車があることに気づきました。これに乗れれば、時間の無駄は少なくなり、青森にも早く到着できるじゃないか。どうにかしてそれに乗りたい。でも、どうやって106急行バスから上米内駅まで行けば良いのか?
そこで私が編み出したのは、106急行バスからタクシーに乗り換えて上米内駅を目指すというものでした。バスを途中の停留所で下車し、予め呼び出しておいたタクシーに乗り換える。これならば上米内18:41発の列車に間に合うだろう、と。
いろいろと調べてみた結果、茶畑公園という停留所が上米内駅に近そうで、かつ、その眼前にローソンがあるため、タクシーが待機できそうだということが分かりました。また、Google Mapにお尋ねした結果、そのローソンから上米内駅までは、車では20分弱で行けそうだということも判明。106急行バスの茶畑公園着は17:59で、山田線の列車の上米内発は18:41。これだ、これなら行けるぞ。(金はかかるが)無駄のない、美しい移動だ。
・・・これが、事の顛末です。茶畑公園で106急行バスを下車した私は、すぐにローソンで待機しているタクシーに乗り換え、上米内駅にやってきた、というわけです。バスが定刻に・・・とは言わないまでも、5分、あるいは10分程度の遅れで茶畑公園に到着してくれていれば、何の問題もありませんでしたが、結局、20分ほど遅れて到着したため、乗り継ぎに黄信号。タクシーで上米内に到着したのは、何と列車発車3分前の18:38でした。
上米内のひとつ宮古寄りの駅は大志田でしたが、2016年3月のダイヤ改正で、浅岸と共に廃駅になりました。ダイヤ改正前日の今日3月25日、駅名標を見ると、大志田はシール貼りになっていました[②]。これは、駅名標は既に廃駅に対応した新しいものに取り換えられていて、ダイヤ改正を迎えたときには、このシールを剥がすだけで良い、という状態にあるということでしょうか。
ホームには、盛岡行きの列車が既に停車していました[③]。まあ当たり前ですね。現在、山田線の盛岡〜上米内間では、列車増発の「社会実験」が行われており、平日に限り、1日2往復の列車が増発されることになっていますが、これから乗る上米内18:41発の盛岡行きは、その社会実験によって運転される列車です。もっとも、”帰宅時間帯”の今から盛岡へ行く人はいないようで、他の乗客は0人でしたが・・・[④]。
・・・と思っていたら、意外にも、次の山岸で2人の乗車がありました。この上米内発盛岡行きについて、私は、「こんなもの、帰宅用に運転する盛岡発上米内行きのただの返しじゃないか」と思っていたのですが、この時間帯から街(盛岡)へ向かう需要もあるようです。
マンションに挟まれかけている駅、上盛岡に到着[⑤]。ここでは乗車も降車もありませんでした。写真では分かりませんが、駅の本当にすぐ脇には、規模の大きめなマンションが3軒建てられていて、上盛岡駅は、それらに囲まれているかのような状態になっています。
車窓に街明かりが増えだすと、終点の盛岡はもうすぐです[⑥]。上米内から14分で、列車は終点の盛岡に到着しました[⑦]。
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