ムーンライトながら号に乗車する人たちは、大半は青春18きっぷを利用していることかと思いますが、私は、青空フリーパス+豊橋からの乗車券という組み合わせで乗車します。乗車券が豊橋からであるのは、青空フリーパスの効力として、日付が変わってから最初に停車する駅まで有効というものがあり、そして3月28日最初の停車駅が、0:15着の豊橋であるためです。
となると、「グリーン車があれば喜んでそれにするのに」と思ってしまうわけですが(私の切符の組み合わせであれば、グリーン車指定席に乗れる)、ムーンライトながら号の185系は、グリーン車を抜いた編成となっています。そんなわけで、普通車指定席に乗車します[②]。踊り子号用の編成を回してくれていれば、グリーン車も連結されることになり、とても嬉しいのですが・・・(大垣夜行時代はあったのに)。
今日の上りムーンライトながら号は満席とのことですが、空席が目立ちます[③]。高山本線からの乗り換えであれば岐阜、中央本線・関西本線からであれば名古屋、飯田線からであれば豊橋が、それぞれ便利ですから、そういった駅からの途中乗車が多いのでしょう。ただ、この列車では、「満席」という言葉は、安易には信用できません。1人で2席分の指定席券を購入し、座面で横になる不届き者が珍しくないからです。
歯を磨かないことには眠れないということで、洗面所へ行ってみると・・・、なんと、未だにレバーを捻るタイプの洗面台が使われていました[④]。自動水栓とは言わないまでも、せめて、単水栓(ハンドルを回せば水が出る)か、自閉式水栓(ボタンを押すと一定時間水が出る)になっているものと思っていました。このレバータイプって、捻っている間しか水が出ないので、特に水を掬うのが難しいのです。
列車は23:18に名古屋に到着します[⑤]。消灯したビルも増え始め、徐々に1日の終わりが近づいています。といっても、名古屋ですから、さすがに街全体が静まりゆくには、まだまだ早いですが。東海道新幹線については、既に発車列車はなくなっており、名古屋行きの列車が到着するのみとなっています。在来線は、0:20発の大府行きと高蔵寺行きが、名古屋駅の最終列車です。
このとき、デッキにいたので、窓に顔を近づけてホームの様子を確認してみると・・・、おお、多くの人がいますね[⑥]。やはり名古屋といった途中駅からムーンライトながら号に乗ってくる人も多いようです。東京へ向かう夜行快速列車ということで、軽装の人はまず見られず、乗ろうとしていた人たちの多くは、スーツケースやリュックサックを携えていました。長距離列車ならではの風物詩的光景と言えます。
ムーンライトながら号には何度か乗車していますが、ひとつ気が付いたのは、今回に限らず、中学生くらいの少年たちが少なくないということです。そして、彼らは、単独で乗車しているということはまずなく、大抵、2〜4人のグループで乗車しています。一応、青春18きっぷは、制度上、グループでの利用が認められていますが、実際にその制度を使っている人たちって、そういえば、案外見かけないかも。
検札時、「青春18きっぷで旅をすることは、一人前の鉄道ファンになるための登竜門」、「青春18きっぷといえばムーンライトながら号でしょ」、「みんな(大人たち)がやっていることを自分もやれている」と言わんばかりに、青春18きっぷと指定席券を、胸を張って堂々と車掌に差し出す光景は、ちょっと微笑ましくもあります。あの目の輝きよう、そしてウキウキとした様子。ちょっとうらやましいかもしれません。
余談として申し上げますが、いま思うと、いつからか、「まだ乗っていないところに乗らなければ」、「JR線を全て乗り尽くさなければ」という思いだけが先行するようになって、「楽しみながら旅をする」とか、「好奇心に駆られたから出かけてみる」といった要素が、抜け落ちがちになっていたような気がします。あの中学生たちのような、純粋に今その瞬間を楽しめる純真さを、私はいったい、いつ失ってしまったのかなぁ、と。
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