AIR DO 128便は、いつの間にか新潟県上空を通り過ぎていました[①]。鉄道であれば、窓越しに建物が流れたり、木々が流れたり、車が流れたりし、駅を通過すれば、駅名標を見ることにより、そこがどこであるのかが分かります。そのため、「移動している」という実感があります。
しかし、飛行機の場合、青いだけの空が見え、白い雲が繰り返し流れ、場所も分からないミニチュアのような街並みが見えるだけであり、「移動している」、「場所が変わっている」という感覚がありません。また、最高巡航速度は830km/hですが、地上のものは非常にゆっくりと流れているように見えるため、それだけの速度を出しているという実感もないものです。
長野県飯山市・木島平村の上空を通過するとき、面白い光景が見られました。写真右側の地帯は全く雪がないのに、左側は辺り一帯が雪に覆われています[②]。写真の右端から左端までの距離は、直線で測ると、およそ10kmと算出されましたが、その10kmの間に、気候が大きく変化しているということが窺えます。上空から眺めると、右から雪が無→少→中→多と徐々に変化しているのがよく分かり、面白いですね。
さて、ここはどこでしょうか[③]。どうやら新幹線が通っているようで、駅の裏側には川があり、駅前には、やや都会的な街並みが広がっているようです。その正解は・・・、長野県上田市でした。写真の右側に写っている駅は、上田駅です。その場では、ここがいったいどこなのかはさっぱり分かりませんでしたが、帰宅後に行った、Google Earthを用いての場所当ては、なかなか楽しいものでした。
そこから17分もすると、当機は既に名古屋の上空までやってきていました[④]。ここまでに眼下に眺めてきたどの街よりも都会的で、市域が広く、窓越しの視界いっぱいに住宅地と繁華街が広がっています。そして私の興奮が最高潮に達したのは、名古屋駅付近を通過するときでした[⑤]。名古屋市の中でもとりわけ高速建築が集結する区域で、それらを上空から眺められたのは、素晴らしい一瞬でした。
海上空港である中部国際空港と陸地を結ぶ連絡橋が見えてきました[⑥]。普通の道路だけでなく、名鉄線の線路も架けられています。これが見えれば、着陸はもうすぐです。徐々に高度を下げていったB737-700は、滑走路を捉え、無事に着陸に成功しました[⑦]。
・・・と書くと、いかにも平和的にフライトが終わったかのように思えますが、実は、「当機はこれより高度を下げていきます」との放送が流れた後、機体が高度を下げていくようになると、耐え難い激痛が耳を襲いました。しかし、飛行機に乗り慣れていない私は、耳抜きなどという手法の存在も知りませんでしたし、ひたすら痛みに耐えるほかありませんでした。終盤の方に撮った写真は、いずれも内心は泣きながら撮ったものです。
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