約9時間ぶりに稚内の街に戻ってきました。私はあくまでも旅人ですが、利尻島をフェリーで発って稚内に来て、そしてこれから鉄道に乗るのだと思うと、島を出て上京する若者になったかのような気分です。もっとも、本当に上京する若者には、稚内空港から航空機で羽田空港へ行くのが一般的でしょうか。鉄道で稚内から東京まで行くのは、現代では酔狂と言えます。
昨晩に稚内駅にやってきたときに見た車止めをもう一度見てみましょう[③]。その隣に建てられている「日本最北端の線路」の碑によれば、駅舎を新築・移設する前の先代稚内駅で使用されていた車止めとレールを、新築・移設前の先代駅舎のときの位置に復元したものということです[④]。車止めとレールはもちろん本物で、列車が通らなくなったレールならではの錆がしっかりと残されています。
新しい車止めと線路は、駅舎の中から眺めることができます。そして、その車止めの前に鎮座する「最北端の線路」の木造看板[⑦]。コンクリート造りの車止めから”生える”2本の線路は、日本最北端の線路として稚内を発ち、北海道はもとより、本州や四国・九州へ至り、やがては日本最東端、最西端、最南端の線路に変化します。ときには、JR最高標高の線路や最低標高の線路にも変化します。線路は無限の可能性を秘めていますね。
これから乗車するのは、稚内16:49発の特急スーパー宗谷4号です[⑧]。もちろん札幌行きです。個人的には、旭川で特急料金を通算できる制度があれば、スーパー宗谷号やオホーツク号は別に旭川発着でも構わないのではないかと考えていますが・・・、これはさすがに部外者の戯れ言でしょうか。道内完結の特急列車は、臨時列車も含め、全て札幌発着となっているのが特徴です。
稚内駅のホームに停車するキハ261系が見つめる先に、無限の広がりを見せる線路が伸びています[⑩]。生まれてからかれこれ19年と5か月、どんな旅でも、私を目的地に導いてくれたのは線路でした。今のところ、空路に浮気はしていません。線路が示した道筋を辿れば、まだ見ぬどんな地にでも行くことができます。その線路が示す道筋(今のところはJR線に限る)を全て知ることが、私の大きな夢です。
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