さて、ここでひとつ重大な出来事が発生しました。今回の旅の予告編でご案内したように、当初の予定では、北海道への出入りには、往復とも急行はまなす号を利用する予定となっていました。しかし、往復ともはまなす号+新幹線ではつまらないものです。また、帰りがはまなす号+新幹線となると、新幹線で味気なく旅が終わるというむなしい結末を迎えてしまうので、それは避けたいと考えていました。
そこで、はまなす号と新幹線(はやぶさ号)の各指定席券を所持しつつ、北斗星号・カシオペア号・トワイライトエクスプレス号といった各種寝台列車の空席状況を適宜確認し、空きが出ていた場合はそちらにしようと考えていました。ホテルにいる間はもちろん、列車に乗車している最中にも空席状況を確認してきましたが、そう簡単には空きは出ませんでした。
今日もホテルに到着した後、パソコンの電源を入れ、空席状況の確認に向かったところ・・・、なんと、9月6日(=道内最終日)発の上りのカシオペア号のカシオペアツインに空きが出ていることが分かりました。そのときの私に迷いはありませんでした。「これは寝台券をとるしかないだろう」と思い、必要最小限のものだけを持って、すぐに札幌駅へ向かいました。
競歩っぽい速さで札幌駅のみどりの窓口へ向かい、すぐにカシオペア号の寝台券の発券をお願いしたところ、無事、カシオペア号の寝台券をとることができました[①]。「私が札幌駅に辿り着くまでの間に誰かにとられてしまったらどうしよう」という懸念を抱いていましたが、誰も横取りする者はいなかったようでした。これで、帰りはカシオペア号に乗れることになりました。
カシオペア号の寝台の中では最も下位のカシオペアツインとなりましたが、運よく、私は「カシオペアEX」の部屋をとることができました。カシオペアツインは、本来2人用のA寝台個室ですが、エキストラベッドを使用して3人で利用することも可能なタイプの部屋があります。今回、私はそのタイプの方の部屋をとることができました。通常の2人用タイプとの識別のため、マルスには「カシオペアEX」で登録されています。
で、結局どういうことなのかというと、1人で利用するわけですから、2人用の通常のタイプの部屋でも十分広々としているわけですが、「何なら3人で使ってくれてもいい」という部屋を1人で利用することになるので、3人での利用にも対応した物凄く広い空間を一人占めできるというわけです。それでも、3人分の料金が取られることはなく、2人分の料金を取られるだけで済みます。
・・・たった今書いた「2人分の料金」という言葉。ご存知のように、カシオペアツインは、2人用の個室です。規則上、2人用の個室を1人で利用する場合でも、2人分のおとなの特急料金と寝台料金を取られてしまいます(乗車券は1枚で可)。そして、カシオペアツインは”A寝台”個室です。ただでさえ2人分の特急・寝台料金を支払わなければならないのに、その寝台料金がお高いA寝台料金とは。これは辛いです。
手に入れたカシオペアツインの寝台券の値段は33580円。正直、痛いです。私の財政状況にかなりのダメージが与えられます。また、この値段のうちの半分は「乗りもしない架空の誰か」の分だと思うと、ものすごく馬鹿馬鹿しいことをしたとも思います。今ここをご覧になっている方々の中にも、「こいつはなんと馬鹿なことをしているのか」「あんたはお金持ちか何かなのか」と思われた方がいらっしゃることでしょう。
ただ、考えてみてください。北海道新幹線が新函館までくれば、カシオペア号は廃止となる公算が非常に大きいです。もしカシオペア号が廃止になったら、どうなるのでしょうか。10万出すと言っても、20万出すと言っても、100万出すと言っても、上野〜札幌間を走る寝台特急「カシオペア号」に乗ることはできないんです。クルーズトレインとして走ることはあっても、それは移動手段として使えるものではありません。
では、「今ここでちょっと33580円を奮発してやれば、カシオペア号に乗れる」と考えると、それはなんだか安いことのように思われてきませんか。いや、冷静に考えれば、安いことのはずはありません。ただ、何より最悪なことは、そこに乗れる機会があったのに、何かと事情をつけてそれを逸して、後から「あのとき乗っておけば・・・」と後悔してしまうことです。それだけは避けなければなりません。
今回、お金の事情は一切考えませんでした。ここで旅費がかさもうが知ったことではない、そんなものは後からバイトでせっせと稼いで穴埋めすればいいじゃないか、と。とにもかくにも、カシオペア号の寝台券の購入に当たっては、私に迷いはありませんでした。
さて、こうして最高のフィナーレが用意されました。明日は9月4日。今日で旅の折り返し地点を越えました。
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