1号車と4号車は50系を改造した車両ですが、ノロッコ号仕様にするにあたって、特に天井をいじりすぎたようで、鉄道車両では一般的な天井や壁に埋め込むスピーカーがなくなりました。その代わり、スタジオなどで使われる吊り下げ型のスピーカーが取り付けられました[①]。分散して複数個が埋め込まれる通常のスピーカーと異なり、ノロッコ号のこのスピーカーは1両に2個しかないので、車内放送の聞こえ方が独特のものになります。
秘境駅の風情を感じる板張りのホーム[②]。この駅はどこでしょうか。今停車しているこの板張りのホームの駅は、ラベンダー畑で有名なファーム富田への最寄り駅、臨時駅・ラベンダー畑駅です[③]。富良野といえばラベンダー、ラベンダーといえばファーム富田ですから、この駅では、多くの下車がありました。駅は見ての通りの簡易な作りで、非営業期間は撤去されています。
列車は美瑛に向かって走ります[④]。通常では退屈なものでしかない鉄道での移動も、富良野・美瑛ノロッコ号においては例外なのでしょう。次々と繰り広げられる見事な車窓に、多くの人が見とれていました。そこで印象に残ったのが、他の普通の列車ではスマートフォンを凝視し続ける人が後を絶たないのに、この列車では、そういった人たちがほとんど見られなかったことです。富良野・美瑛ノロッコ号は、乗る人たちを退屈させません。
富良野・美瑛ノロッコ号には、駅ノートならぬ列車ノート(?)があります[⑤]。このようなノートはカシオペア号にも置かれていて、乗車した人たちが思い思いに言葉を書き残していきます。カシオペア号のノートと比較して気がついたのは、外国人(まあアジアの人が中心ですが)の乗客が残していった言葉の割合の違い。今まさに1号車にも中国人らしき乗客がいますが、そういった人が書いたと思われるものが多かったと思います。
ラベンダー畑の次は上富良野に停車します[⑥]。列車交換のために少々停車するとのことだったので、ホームに降りてみました。客車の茶色一色というその塗装はとても地味であり、旧型客車を思わせないこともありません[⑦]。しかし、窓を開けて走るのが基本で、木製の座席が置かれているということを考えると、それはまさに旧型客車に近いものがあります。そう考えると、この列車の別の楽しみ方が見えてきます。
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